真霊論-先祖供養

先祖供養

あなたが今この世に存在しているということは、あなたを生んでくれた両親がいるからだ。その両親が生まれたのは、父母それぞれにも両親がいたからである。そして、そのさらに両親のそのまた両親もあったからこそ、あなたがいる。
このように、連綿と続く代々の祖先たちのうち、誰一人が欠けても、あなたが誕生することはありえなかったのである。
いわば、先祖とは生命の源流だということができる。
つまり、先祖の霊を敬い、日々感謝の念を忘れることなく暮らすということは、自分自身のルーツを見つめ直し深く探求すことに等しいのである。反対に、先祖の存在を軽視し、疎かに扱ってしまっては、自分自身をも蔑ろにする結果になるだろう。
だからこそ、先祖供養をしっかりと行う必要性が出てくるのである。
先祖の霊が子孫の幸福を願わないことはない。しかしながら、自分を大切にできない人間が幸福になることもないのである。
先祖供養は先祖のためである以上に、自分自身のためのものでもあるのだということを忘れないようにしたい。

先祖供養を怠ってしまうと

先祖供養が充分になされていないとき、先祖の霊からなんらかの形でメッセージが送られてくることは、よく報告される現象である。
しかし、霊にとっては、生きている人間に対してコミュニケーションを図ることはきわめて困難なことだ。際立って霊感の強力な者でないかぎり、霊からのコンタクトを直接受け取ることのできる人間はほとんどいない。そこで、不満や言い分をどうにかして示すために、先祖の霊はやむをえず不可思議な現象を引き起こすことで、人間にも伝わるようアピールをする。
これが、一般的に霊障と呼ばれるものの正体である。
霊障には、大きく分けて「陽性的現象」と「陰性的現象」の二種類がある。
陽性的現象は、ラップ現象やポルターガイスト、冷気などといった、自覚症状として現れるものの総称である。一方、陰性的現象は、病気や事故などの形を借りて現れるものだ。いずれの場合も、日常生活を送るうえでは少なからぬ影響を受けることになるだろう。メッセージに気づかせるためのものである以上、認知してもらえなければ意味がないからだ。
だから霊障にあったとき、多くの人間は不安を覚えたり苦しみ悩んだりするはずである。祟りだと受け止める者もあるかもしれない。
しかし、誤解してはいけない。なにもこれは、子孫を呪って不幸にしてやろうというつもりで引き起こされるものではないのだ。繰り返しになるが、子孫の幸福を願わぬ先祖はいない。
子孫を怯えさせてまでわざわざなにかを伝えようとするのだから、これにはそれ相応の事情が考えられる。
最もポピュラーなのは、先祖が現世への思いを断ち切れず成仏できていないパターンである。不慮の事故によって突然死してしまったり、戦死のような不本意な亡くなり方をしていたりすると、地上への未練が根強く残っていることは大いに考えられる。
あるいは、子孫の日ごろの行いがあまりにも悪いと、成仏していても、それを憂い戒めるためにメッセージを送ることもある。子孫が心配をかけていては、安心して天国でのんびりと過ごすことはできないのである。
共通しているのは、それによって子孫の生活を正そうという意志である。あくまでも、子孫を正しい道へと引き戻し、幸福へ導きたいと願うゆえの先祖からシグナルなのである。
だからこそ、霊障にあった際には、厳粛にそのシグナルを受け止めなければならない。

供養の実際の方法

供養の方法として最も一般的なのは、僧侶を招いてお経をあげてもらうことだ。もちろん、信頼のおける祈祷師や霊媒師などがいるならば、そちらに供養を依頼しても構わない。
専門家に相談すれば、先祖供養のために必要な物品一式や儀式の様式など、つつがなく揃えてもらうことができるだろう。通常は六種供養といって、水、花、塗香、焼香、飲食、燈明を仏前に供える。これは仏教でいう六波羅道になぞらえたものであり、それぞれの品にはそれぞれの意味がある。万全を期して供養すれば、安心して先祖の霊に眠ってもらえることだろう。
ただし、ただ形式だけを整えればよいというものではないことに注意されたい。本当に重要なのは、どういった態度で供養に臨むかである。心の底から供養してあげようという気持ちがなければ、先祖の霊にそれが届くことはない。どれほど豪華な位牌を作り高価な仏壇を購入したとしても、どれほど香り高い線香と美しい生花を選ぼうとも、そこに気持ちが入っていなければ効果はないのである。
逆に、供養しようという強い気持ちがあるならば、形式に細かくこだわることの重要性はそこまで高くはない。分不相応に無理をしてまで形式にこだわることはない。
近年の日本人の生活スタイルでは、檀那寺をもたない者も多い。日ごろの供養はもちろん、年忌も満足にできない場合もあるだろう。それでも、心から先祖を供養しようという思いがあるのならば、狭い住宅環境でも置くことのできる小さな仏壇が売られているから、それを買って毎日拝むようにするとよい。
なにより最大の先祖供養は、日々の暮らしのなかで善行を心がけ、先祖への感謝の念を欠かすことなく生活することなのである。

《さ~そ》の心霊知識