真霊論-呪文

呪文

呪文とは、呪術、魔術、宗教などにおいて使用される言葉で、広義においては、見えざる霊的な力を借りる、もしくはコンタクトを取ることを意図した言葉群を指す。
狭義においては、特に呪術、魔術などで使用される「ある目的を達成するために、それを可能にしてくれる霊的パワーを引き寄せる言葉」である。
呪文=呪いの言葉などと勘違いされることが多いが、呪文にはポジティブ、ネガティブのどちらの言葉群がある。
三大宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)を含め、宗教にはそれぞれ公開されているもの、非公開なものを含め独自の呪文体系がある。
例えば、神道においては神々との対話に使われる「祝詞(のりと)」も呪文の一種であり、仏教で使われる「お経」、密教における「真言」(マントラ)も仏界や死者の霊との対話に使われる呪文である。

呪文の用途

呪文には様々な用途がある。
以下に主なものを挙げる。

●守護の依頼
心身を病気を含む諸々の外的から守護してもらうことを、呪文によって見えざる霊的エネルギーに依頼する。
言葉にして唱える以外にも、紙などに記して護符にして身に付けたり、身体に刺青するなどの方法で使われる。

●さまざまな願望の実現
恋愛・結婚の実現、仕事での成功など、人の心のコントロールに関する呪文は様々にある。
超能力の実現においても、呪文により時空を操作させることなどが現実に可能となっているケース(物質のテレポーテーション等)もある。
また、一般的に「呪い」と呼ばれる「人へのネガティブな効果」も、願望実現の呪文の応用である。

●霊的な存在への対処術
エクソシズム(悪魔祓い)などに代表されるように、人や物、家屋などに問題のある霊現象が起こった際に、それに対処する術としての呪文がある。
除霊・浄霊などの際に使用される呪文、平安時代の陰陽道における陰陽師たちの霊的存在の「使役術」の呪文なども、この代表格である。

●霊的存在とのコミュニケーション術
日頃の自身の霊的進化や成長を目的とした呪文で、特に目的は無く、霊的存在とのコミュニケーションのために使用される呪文である。
キリスト教の数々の祈りの言葉や、神道における祝詞などがこの代表格であろう。

呪文で使われる言葉

世界各地における呪文文化が始まりは、宗教やシャーマニズムの誕生や歩みと時を共にしている。
従って、呪文は多くの場合、現代語ではなく今では使われなくなった言語、古語である場合が多い。
例えばインド起源の呪文は古代サンスクリット語、キリスト教系やカバラ(ユダヤ教神秘主義)の呪文はラテン語やヘブライ語の古語、またイエス・キリストが使ったとされる西方アラム語(シリア等で使用されているアラム語の方言)などが使われることが多い。
また各宗教が設定した神や聖霊の名前などが呪文には取り入れられるため、意味不明と思われる言語も多くなる。
例えば、世界的に有名な呪文「アブラカダブラ」には、その解釈・語源を巡り諸説ある。
ひとつはアラム語を起源とする呪文であり、「私の言う通りになる」や、病気治しの際には「この言葉のようにいなくなれ」という意図で使われていたとする説がある。
もうひとつには、キリスト教グノーシス主義に登場する神霊「アブラクサス」に起源を持つという説もある。
神道の祝詞などには古代の「神世」(=神話時代)の言葉や神名などが使用されることもあり、現代の日本人がそれを読んでも意味が通じない呪文も多い。
また、シャーマニズムなどにおいては、古い時代に霊的存在が残したとされる地球外の言語が使用されたりもする。
かつてインドに滞在時に、筆者の「意味不明な言葉を口にして果たして効果があるのか」という疑問に対しインドのあるマントラ研究者は「意味がわからなくても言葉自体に力があるから、正しく発音さえすれば、自動的に見えざる世界にアクセスをする」と答えていた。
つまり呪文とは、意味がわからなくてもそれを口にすれば効果を得られる、神秘的な言葉とされる一方で、ネガティブな意図を持つ呪文であれば誰にでも悪用ができてしまうものとも言えるのである。

フィリピンのシャーマンが使う「オラシオン」

呪文の実例として、フィリピンのシャーマンたちに伝わる「オラシオン」と呼ばれる呪文をいくつか紹介する。
これらは筆者自身がフィリピンにおいてシャーマンたちから教えられたものである。
「オラシオン」は「祈り」を意味するスペイン語で、フィリピンがスペインの植民地だった時代にキリスト教神秘主義者たちからシャーマンへ伝道されたものである。
オラシオンを唱えることで、「特別な能力が無くても誰もがその恩恵にあずかることができる」と、フィリピンのシャーマンたちは信じており、エクソシズム(邪気払い)や心霊手術に使うシャーマン用のものから、一般の人が日常的に使えるものまで多数ある。

●ホーリースピリッツ五大聖霊の呪文
唱える呪文:サトール アレポ テネット オペラ ロータス
これは祈りの言葉として常に唱えることで、五大聖霊の守護が得られるとする呪文である。
また困ったことがあった際の守護の呪文でもある。
五大聖霊の名前は欧文にすると以下のようになる。
SATOR
AREPO
TENET
ORERA
ROTAS
縦・横・上・下(要は斜め以外)のどこからどう読んでも五大聖霊の名前を構成する「魔方陣(マジックワード)」を構成するため、紙などに書いて護符にしても効果的な霊的バリア(結界)が張られるとされている。

●大天使ミカエルへの守護依頼
唱える呪文:ミカエル ドゥミニ サルヴァトーレ サルヴァメ サルヴァメ
最後のサルヴァメはSAVE MEでお救い下さいの意味。

●イエス様、マリア様の本名
イエス様の本名:ジェホシュワ ハマサヤ
マリア様の本名:イネリム エメレンシアーナ ミタム
フィリピンのシャーマンたちに伝わる「オラシオン」では、上記がイエス、マリアの本名とされており、これを唱えることであらゆることからの守護や祈りの効果を持つ呪文となると考えられている。
ただし、これらの本名はバチカン公認ではなく、これが本当に本名か否かの真偽は定かではない。

《さ~そ》の心霊知識