サイコメトリーとは、対象物に触ることで、その対象物が含有(もしくは記憶)している各種の情報を引き出す、「物質感応能力」である。
例えば、アンティーク品などを触ることで、そのアンティーク品にまつわるエピソードや持ち主だった人物の情報を読み取る。
あるいは、行方不明者の物品に触り、行方不明者の現在の居場所や、事件等の場合であれば、何が起こったかなどを読み取る。
これらが代表的なサイコメトリー能力の活用法であろう。
こうした能力の持ち主は「サイコメトラー」と呼ばれる。
欧米の警察などでは、未解決事件捜査に協力者としてサイコメトラーが参加することも決して稀なことではない。
サイコメトリー能力と遠隔透視能力は、どちらもターゲット(対象物)から「直感的に情報をキャッチすること」が基本的な原理となっており、ほぼ等しい能力である。
著名サイコメトラーの一人、ステファン・オソヴィエッキー(1877-1944)は、「サイコメトリーによるリーディングはすべての分析的な推論をやめることによって始まる」と述べている。
この言葉の意味は、ターゲットを触った際に感じた情報に対し、脳でああだこうだと分析するのではなく「直感的に入ってくる情報を信用しろ」という意味である。
この鉄則は、『スターゲイト計画』として知られる米国陸軍の「遠隔透視プロジェクト」に参加した透視能力者たちにも、第一原則として教えられた原理である。
また、オーストラリアのタスマニア警察に事件捜査の協力をした実績のあるサイコメトラー、ジュディス・カーペンターは、サイコメトラーであると同時に透視能力者でもある。このようにサイコメトリーと透視は、「直感・霊感」をベースにして活用する同種の能力なのである。
また、実際のリーディング面においても両者には共通点が多い。
サイコメトリー・リーディングの実際は、物を触って、そこから得られる情報の断片をつなぎ合わせていくことが多いのである。
その断片とは、色、音、香り、味、温かさ、冷たさ等、要は五感に訴えてくる情報である。
これらの情報の断片を再構成することで、持ち主の情報を引き出していくわけである。
このプロセスは「遠隔透視」のものと同じである。
サイコメトリーというと、漫画のように触っただけでリアルな映像がビビっと流れてくる、というイメージを持つかもしれない。
しかし実際は違う。
このように映像としてキャッチできるのは、よほどの霊能者の場合で、多くのサイコメトラーたちは、情報の断片を正しく直感的にキャッチしていくのである。
遠隔透視能力者の場合も同様である。
従って「直感を研ぎ澄ませる訓練」を行っていけば、誰もがサイコメトリー能力や遠隔透視能力を身に付けていくことも可能なのである。
ただし、様々な情報をピックアップしてストーリーを構成する、という地道な作業が伴うことになるだろう。
また、遠隔透視は多くの場合、時間軸を超えないが、サイコメトリーの場合は、例えばアンティーク品などターゲットによってはいくつもの時間軸の情報が交錯している場合があり、これらの時間軸を情報としてしっかりと整理・分類できるかどうかが、能力の高低の分岐点となる可能性があるだろう。
①ノリーン・レニエ(米国)
1994年3月24日、アメリカのフロリダ州において、ノーマン・ルイスという66歳の男性が行方不明になった。
何の手がかりも得られないまま二年が経過し、地元警察はサイコメトリー調査に踏み切った。
担当したサイコメトラーは、女性超能力者のノリーン・レニエである。
レニエは、以前にも警察に協力していたことで知られており、また、1981年に起こったレーガン大統領の暗殺未遂事件も事前に予知していたことで、警察関係者にもその名前が知られていたのである。
レニエは行方不明となったノーマン・ルイスの財布と靴の片方をターゲットに、サイコメトリーを行った。
その結果、「トラックに乗って出かけ、ある程度走ったところでいきなり道路を外れてしまい、その横の大きな裂け目のようなところに落ちしまった」とリーディングした。
また、「事故現場はルイス氏の自宅から2.1マイルの辺りである」、「道路の番号は44番(44号線)である」、「近くに橋があり、大きな裂け目がある場所が事故現場である」、「まだ遺体がトラックに中にある」、「車が水の中にある可能性もある」などをリーディングした。
これらの情報を元に警察が捜索したところ、州道44号線沿いにある湿地帯の深みでノーマンのトラックが発見され、更に中に遺体があることも発見され、事件は悲しい結末で終止符が打たれた。
②ジェラルド・クロワゼット (1909-1980 オランダ)
1979年11月に、オランダのウオドリヘン地域で起きた連続放火事件の犯人捜査に協力。
管轄だった警察署の署長も、クロワゼットのリーディング結果が、事件解決のヒントになったことを認めた。
「聞き取りの内容はすべてビデオテープに録画されている。そしてビデオの内容はすべて調書として起こされ、イーコフ署長によって署名がされている」という。
またクロワゼットは、1976年5月に日本の番組内でもサイコメトリー能力を発揮した。
これは行方不明となっていた当時7歳の女の子のリーディングを行い、「遺体が山倉ダムにある」ことを指摘した。
その結果、実際に遺体を発見したことが1976年5月5日放送のテレビ番組『水曜スペシャル』で放送された。
上記はサイコメトリーの成功例の一部である。
ただし、クロワゼットに限らず、サイコメトラーの成功率はつねに100%ではない。
失敗例も必ずあるということを追記しておこう。