サティア・サイババ (1926年11月23日 - 2011年4月24日)は、インドの霊的指導者、社会貢献活動家である。
今年(2011年)4月24日に死去した後、葬儀は国葬として執り行われたことからも、インド国内において、いかにその存在が重要であったかがうかがい知れる。
サティア・サイババがこのような扱いを受けた背景には、一宗教家、霊的指導者という枠を越え、世界に影響を与えた社会貢献活動家としての側面が、インド国内にて評価された結果である。
サティア・サイババは国内に数箇所の「アシュラム」(霊的な指導を行う場所・宿泊施設)を所有していたが、そのほかにも、病院・大学・孤児院等も設立し、広く国民に解放していた。
実際に、ノーベル賞の選考機関ノルウェー・ノーベル・インスティトュートは、完全無償で医療を提供する「シュリ・サティヤ・サイ高等医療機関」(特別専門病院)の社会および地域貢献を評し、サティア・サイババをノーベル平和賞候補としたが、サイババがこれを辞退したということもあった。
しかし、世界中から多くの人を連日に渡り、メインのアシュラムがあった「プッタパルティ」という小さなインドの田舎村に引き寄せたサティア・サイババの魅力は、独自の霊的指導者としての活動にあった、ということは言うまでも無いであろう。
サティア・サイババの教えの詳細は、専門のホームページや書籍に譲るとして、ここでは概略を述べておく。
サティア・サイババの教えはとてもシンプルである。
「愛を実践しましょう」という一言である。
そして、「すべての宗教は兄弟である」とし、アシュラムには、あらゆる宗教団体からの来訪者が訪れていた。
こうした間口の広さから、世界中に信者を持っていたのである。
サティア・サイババの信者は、インド国内だけでなく、世界各国にも存在しているが、外国人の多くがサイババを信仰するきっかけとなるものの中に、サイババが見せた数々の「奇跡現象」が存在している。
なぜあえて「外国人」と書いたかというと、インド国内には多数の奇跡現象を見せる霊的指導者が存在しているため、インド人はそうした現象面だけでは信仰の対象としないからである。
一方の外国人にとっては、物質を自在に空間から創り出す「物質化現象」などは、かなり稀有な現象として目に映ることになる。
こうした稀有な現象を起こせるのだから「聖者に違いない」と、信仰の対象となりやすいのである。
●物質化現象
さて、サイババが起こした「奇跡現象」はいくつかある。
その筆頭は「物質化現象」である。
これは手をクルクルと動かすと、その中に物体が出現する、というものである。
マスコミや批判本では「これはマジックである」とする説も多い。
また、「これがそのタネ明かし」などとした写真もある。
筆者は実際にインドにおいて、この「物質化現象」について研究したことがある。
そしてサティア・サイババの現象についても、目の前で確認をしている。
こうした経緯から体験した事実を書けば、これは本当に起こっている現象である。
ただし、「物質化現象」を起こせる聖者は、筆者が会っただけでも他にも5名はいたし、インド国内や世界で考えれば、かなりの数の人間が同様のことができるのである。
つまり、科学ではそのメカニズムは検証できないが、「物質化現象は本当に存在する」ことは事実である。
筆者の知り合いで、インド人の聖者からこの物質化を学びマスターしてきた日本人がいる。
その彼によればこの現象はこういうものである。
「これはテレポーテーション技術で、移動させる物品はあらかじめ別の場所に用意し、清めておく。次にマントラを捧げることで、移動が可能になる」と説明する。
その彼に実際にやってもらったが、手を回すだけで手の平の中には本当に彼が「あらかじめ用意していた」という品々が出現した。
ただし、その品々は東京からは遠方の場所にあるため、その空間を一瞬に繋いで東京で出現させたという意味においては、十分に「超能力」とも言えるのだろう。
また、これは物質化現象のトリックのひつであるが、サティア・サイババが同様のトリックを使っていたかどうかは確認していない。
●アムリタ現象
物質化現象はさまざまなトリックが疑われる現象である。
しかし、この「アムリタ現象」は、疑念の余地が無い現象である。
サイババの孤児院施設にある、サイババの顔写真がついた小さいペンダントヘッドからは、アムリタ(聖なる蜜)が、止まることなくにじみ出てきているのである。
筆者も実際にこの孤児院に行き、そのアムリタがにじみ出るペンダントヘッドを触らせてもらったことがある。
手のひらにこのペンダントヘッドを乗せておくと、その小さいペンダントヘッドからは、タラリタラリとアムリタがにじみ出てくる。
誰がなにをしようと、このアムリタは止めることはできないのだ。
なぜならこのアムリタはサイババが孤児たちに示している愛情の賜物、とされているからである。
このアムリタは施設で健康促進のための甘味料として使われ、孤児たちの健康に寄与している。
また、希望者は容器を持参すればいくらでも分けてくれる。
小さく薄っぺらの金属片であるペンダントヘッドから、なぜ、このような蜜が出続けるのか?
サイババの「物質化現象」を否定する科学者などは多いが、この「アムリタ現象」に触れる科学者はいない。
物質化現象やこのアムリタ現象も含め、「奇跡現象」にはつねに真贋論争が付きまとう。筆者はもし、否定派が現地で事実を確認した上で、こうした現象を否定するのであれば、ぜひその声は聞いて見たいと思う。
しかし、多くの否定論者は、現地に行くことはなく、間接的な映像等を見ただけでこうした現象を否定するのが常である。
この場合、真贋論争をする意味はまったく有意義なものとはならない。
したがって、サイババの奇跡現象に関しては、現地へ行ってみることではじめて、実際に起こっている様々な奇跡に出会えることがわかるのである。
サティア・サイババは自分の死ぬ年齢を95歳と予言し、また死後数年後に生まれ変わる、とも予言していた。
しかし実際には84歳で他界したことになる。
このことに関して、サイババの普及団体である「サティア・サイ・オーガニゼーション」では、「インド暦・太陰暦に換算すれば95歳で亡くなった、つまり予言通りであったことになるのです」としている。