エーテル体とは、肉体の外側に重層的にあるとされるエネルギー体のひとつで、オーラの構成要素のひとつともされている。
これらのエネルギー体は、肉体に最も近い方から順に、「エーテル体、アストラル体、メンタル体、コーザル体」であるとする説が、ヨガや神智学、人智学などの神秘学派などから提唱されている。
エーテル体の位置に関しては、「肉体と重なっている」という説と、「肉体から5~10センチくらいのあたり」等とする説がある。
エーテルの語源はギリシア語のアイテールで、その原義は「燃やす」または「輝く」である。
エーテルはそもそも「宇宙に充満している仮想の物質」として、古代ギリシア以来19世紀まで、科学者たちがその存在を想定していたものである。
人間のエネルギー体としての「エーテル体」に関しては、その正体、目的・機能、存在意義等については、様々な意見がある。
しかしおおむね共通しているのは「生命力・生命エネルギーと関係している」とする点である。
それらの諸説に関しては後述する。
人智学の創始者、ルドルフ・シュタイナー(1861年2月27日 - 1925年3月30日)は、エーテル体を「生命エネルギーの源」と位置づけている。
あらゆる生命が息づいているのはエーテル体があるからで、エーテル体が肉体から永遠に抜け出た状態が「死」であるとする。
また肉体は常に「酸化」状態にあり、すなわち病気へと向かう傾向を見せるが、エーテル体が「抗酸化作用」を持ち発病前に自然治癒させたりするのだという。
シュタイナーによれば、エーテル体があるのは「植物・動物・人間」で鉱物にはないとする。
またシュタイナーは、人間は7年毎に体を完成させてゆき、63歳で成長の頂点を迎えるとしている。
その成長の区分を記すと以下の通りである。
7歳までが「肉体」の完成、14歳までが「エーテル体」の完成、21歳までが「アストラル体」の完成で、それ以降は「自我」が独立して発達するとした。
ニューエイジ系の講師たちはしばしば、エーテル体をチャクラと関連付ける。
以下がエーテル体の解説である。
エーテル体は中国の「気」、インドの「プラーナ」に類するエネルギーで構成され、その生命の性格や資質、感情、記憶、潜在意識などと関係性を持つ。
過去の記憶の保存場所でもあり、従って、強いショックやトラウマはエーテル体に傷として残ることがある。
エーテル体を活性化するには、「前向き思考」をすることが効果的で、また、第一チャクラ、第二チャクラとつながっているため、この両チャクラの活性化がエーテル体の活性化にもつながる。
以上がニューエイジ講師たちの間において、ある程度共通した説明であるが、ただし、すべての講師が一様に同じ説明をするというわけではない。
エーテル体はしばしば「幽体」とも訳されてきた。
この場合は、死後の「幽体」であり、すなわち幽霊=エーテル体ということになる。
つまり、死後の世界(幽界)へはエーテル体になって向かうことになる。
ただ幽体であっても、生きている時の主な機能としては「生命の源」という定義となる。類似の説に、エーテル体は魂の身体である、とする「エーテル体=魂の肉体説」もある。
エーテル体とアストラル体は、混同されがちである。
多くの説の共通項としては、エーテル体=生命力、アストラル体=精神・感情などと解説されている。
しかし、肉体から意識体が抜け出す現象は、「幽体離脱」とも「アストラル・トリップ」とも言われ、果たしてエーテル体が抜け出しているのか、アストラル体が抜け出しているのか、あるいは共に抜け出しているのか、その明確なメカニズムは解明されてていない。
また、肉体を抜け出た後に向かう次元は、幽界とは別にアストラル界・アストラル次元など呼ばれるものある。
一体、どちらへ向かうことになるのか?
果たして人間のエネルギー体の構造はどうなっており、魂との関係性はどうなっているのか?
ちなみに、「ヘミシンク」という独特の周波数を使うことで「アストラル・トリップ」を意図的に行っている米国の研究団体に「モンロー研究所」がある。
このメソッドの実践者によれば、「アストラル・トリップによって霊界にアクセスして、死者の霊と会うことは可能だ」と言う。
これが事実だとすれば、エーテル体とアストラル体は、肉体から出た段階においては、統一されたエネルギー体となっている、という可能性も出てくるのだ。
客観的な事実が抽出できる科学的な検知にかけられない事象なだけに、エネルギー体に関する問題には、まだまだ疑問が多いのが現状だ。