アミュレットとは、携帯用のお守り、護符、魔除け等である。
「黄金の夜明け団」などの魔術結社の定義によれば、「アミュレット」は携帯することで「霊的な保護」がされる「受動的護符」である。
ここで言う「受動的」とは、霊的エネルギーの攻撃から何かしらのバリアを作り守護はするが、相手に対しての反撃は行わない、という意味である。
一方で、攻撃も可能となる「能動的護符」は魔術結社では「タリズマン」と呼ばれた。
一般的には、アミュレットは単に「お守り」「福を招くもの」などとされ、「何をしてアミュレットか」という定義は特に決まっていない。
例えば、あるパワーストーンをアミュレットにする、とその人が決めれば、それがアミュレットになる。
古代エジプトでは、スカラベ(フンころがし)をアミュレットにしたというエピソードもある。
魔術結社などにおいては、目的に応じた天使の肖像などを描いたもの、神秘図形、文字等で構成された物を携帯したようである。
アミュレットやタリズマンといったお守り文化はそもそも、シャーマニズム文化やキリスト教における「エクソシズム」(悪魔祓い)から派生したものである。
シャーマンやエクソシストなどは、見えざるエネルギーとの戦いが必須であり、そうしたエネルギー体からの守護が必要なのである。
こうした背景からアミュレット、タリズマンは生み出されてきている。
例えばフィリピンなどには、エクソシズムも心霊治療も行うシャーマンなどがいる。
こうしたシャーマンが持つアミュレットのひとつに、「五大天使聖霊の護符」がある。
これはSATOR(サトール)、AREPO(アレポ)、TENET(テネット)、ORERA(オペラ)、ROTAS(ロータス)という聖霊名を並べて書くだけである。
SATOR
AREPO
TENET
ORERA
ROTAS
以上のように書くと、上下左右、どこから読んでも五大聖霊の名前になる「魔法陣」を形成する。
魔法陣とはエネルギー的な結界であり、これを紙に書いて持つだけで、聖霊からのエネルギー守護を受けられると考えるのである。
また、こうした何かしらの意味のある言葉・象徴図形などを、身体に刺青して掘り込むシャーマンも多数存在している。
また、シャーマン文化において最もアミュレットの対象とされるものとして「薬草」、「お香」などがある。
これは香りが邪悪なエネルギーに対して効力を持つという信仰から生まれている。
同様に、シャーマンが神聖化する植物の種子や一部、貝類等の海産物など、鉱物類など自然のエネルギーを蓄えたものもアミュレットとするシャーマンは多い。
アミュレットを単に「お守り」とした場合、世界中でその国独自の感覚でアミュレットが制作され販売されている。
国家宗教が明確な国においては、その宗教を象徴するなにかがアミュレットになることが多い。
韓国:唐辛子をモチーフにしたアミュレットが一般的である。
中国:陰陽を表す太極図や八卦をモチーフにしたものが一般的である。
モンゴル:遊牧民文化なだけにモンゴリアンボーンと呼ばれる骨をモチーフにしたものが一般的である。
インド:各神様の肖像を使ったものやサンスクリット語の「オーム文字」をモチーフにしたものが一般的である。
米国:蹄鉄、ネイティブアメリカン文化のドリームキャッチャーなどをモチーフにしたものが一般的である。
ブラジル:奇跡が叶えられるという「ボンフィン教会」のお守りが有名で所有者も多い。エジプト:「ホルスの目」「スカラベ」「アンク」などをモチーフにしたものが一般的である。