生霊とは、生きている人の魂が、肉体から離れて自由に移動しているもののことを指す。
恨みや祈りなど、特定の人へ対して激しい感情を持った結果、魂だけがその人の元へ飛んでいき、霊的な現象を引き起こすのだ。
大きくわけると2つのパターンがある。
最も多いのは恨みや憎しみ、嫉妬の気持ちを相手にぶつけるものだ。
もうひとつは死ぬ間際に、別れを告げようと身近な人のところへ現れるものである。
ときに呪い殺されるほど強いものもあるので、対策は万全にしたものだ。
その症状、さまざまな生霊の紹介、防御対策について以下に説明する。
1 生霊にとりつかれている場合
・だるさ、眠気が普段より強くなる。
・思考力・判断力が低下する。
・言葉づかいや行動パターンが変わる。
・米、いも、穀類など炭水化物を異常に食べたくなる
・嫌いな食べ物が好きになる。
・頭痛や肩こりなども激しくなる場合がある。
・身体の右側全体、または一部がしびれたり痛くなったりする。
2 自分の魂を生霊として飛ばしている場合
・思考力・判断力が低下する。
・ボーっとする時間が増える
・人の話していることが理解できなくなる
・うつ病のような状態になる。
「生霊」とはアミニズム(自然信仰)から生まれたものだ。
人も自然も命あるものは皆、実体と魂に分かれているという発想の、土着信仰が根強い地域文化と密接な関係にある。
各地の生霊を簡単に紹介する。
日本
日本は世界で最も生霊が見られる場所といっても過言ではない。物語の中には、しばしば生霊が出てくる。
「源氏物語」には、六条御息所(光源氏の年上の愛人)が、葵の上(正妻)や夕顔(恋人、身分は低く容姿端麗)を怨念で殺すというくだりがある。
東北の民話「遠野物語」(正確には遠野物語拾遺)でも生霊が出てくる。
とある娘が病気で死ぬ寸前、実際にはいない場所に姿を見せたそうだ。
当時の人はこの現象を「オマク」と表現した。
江戸時代には「離魂病」なるものがあった。
別名を「カゲワズライ」とも言う。死期が近くなると、自分の分身が市井をさまようと言い伝えられていた。
タイ
タイの古い土着信仰に、若干違う形の生霊がでてくる。
それは「クワン」と呼ばれている。体のエネルギーを宿す場所のことで、中国の「ツボ」やインドのヨガに出てくる「チャクラ」に近いものだ。
人には32のクワンがあり、それが肉体の中に正しくおさまっていれば健康である。
ただしクワンが身体から遊離すると病気になり、最悪の場合死ぬこともあるそうだ。
クワンが身体から離れるのを防ぐためには、ある儀式が行われる。これを「タム・クワン」と呼ぶ。
祭礼ののち、腕に白い糸のようなものを巻きつけて封印するらしい。
ドイツ
ヨーロッパにはほとんど生霊信仰はなく、唯一あるのは「ドッペルゲンガー」だ。
これはドイツ語で〈Doppelganger〉と記す。直訳すると「二重に歩く(動く)」で、分身と意訳されることが多い。
日本の離魂病に近いもので、もし自分のドッペルゲンガーに会ったり、誰かに見つかったりしたら死期が近いと言い伝えられている。
生霊対策はおもに2つ。
身の回りを清潔に保つことと、確固たる意志を持つことだ。
詳細は以下。
1 清潔な環境を作る
霊は不潔な環境によってきやすい。そのため、まめに風呂に入る、掃除を念入りにする、などはよい対策になる。
風呂は、湯船にもちゃんとつかることで、効果が高まる。
2 強い意志を持つ
生霊にとり憑かれる、または飛ばす、などの原因は、実は両方とも一緒だ。
恨みは、「己への不信・自己嫌悪」が大きい人ほど持ちやすい。
己に自信がないと、その気持ちは他者に向く。
身近な人に対し、自分への過剰な愛を要求しがちだ。
それが報われないと「自分の想いが満たされなかった」と不信感が相手に向き恨みが始まる。逆もまたしかりだ。
しかし、他者に自分の存在意義を依存するのは、無駄な行為である。
全ての人間は、未熟な内面を持って生きているからだ。
満たされない原因を周囲ではなく、自分の中から探すことが肝要である。
そこで、自分の情けなさに押しつぶされそうになることもあるかもしれない。
けれども、あるがままの自分をよく見て熟考することで、希望の光はおのずと見えてくるものだ。感謝の念すらわくであろう。
そうすれば、自然に人への恨みは消える。また人から恨まれることもほぼなくなる。
生霊を飛ばすような人にあったとしても、自分が精神を強く持ってさえいれば、決して被害に遭うことはない。
生霊とは生きているにも拘らず肉体から一時的に離れてしまった霊魂の事を言う。
本来肉体が死んでしまってから霊魂と肉体が分離するのだが、稀に生きたまま霊魂と肉体が離れてしまう事がある。
幽体離脱(※)もその一種であるが、生霊の場合は当人も気付かない(実感の無い)うちに肉体から霊魂が離れてしまうのである。
その多くは他の人への恨み辛み等執着の精神が引き起こしていると言われている。
一定の人への怒りや執着を現実の世界で発散する事が出来なくなると、混在意識レベル(※)にその想念が移行する事がある。
つまり妄想の延長のような症状だが、これが過度になると肉体から霊魂が離れるのである。
例えば片思いの異性を強く思い続けることで接触は無くても何となく相手の異性もその事に気付く思想の伝達のようなものがこの世には存在するのである。
この混在意識レベルからの意識の伝達が生霊の原点である。
生霊は恨みや執着の塊のようなものであるため、人に災いを齎す事が頻繁にある。
憑依し霊的な復讐などをする事ももちろんあるが、現実の世界で事故に巻き込んだり人を殺めたりする事もあるため非常に危険である。
生霊の中で最も多いのは、恋愛関係のトラブルが原因になっているものである。
よくあるパターンとしては、不倫相手への恨みがつのり、例えば奥さんが相手の女性に生霊を飛ばしてしまう、あるいは反対に女性が離婚してほしくて奥さんに念を送るというものだ。その他では、こっぴどく振られた相手に対しての怒りや憎悪から念を送るというものや、かつて恋人だった人と寄りを戻したい執着心が生霊と化す、などが挙げられるだろう。
生霊というと、「源氏物語」や江戸時代の草子などで語り継がれていることから、女性のイメージが強いかもしれない。
しかし、実際のところは男女差がなく。誰でもある一定の怨念が溜まると魂の分離が始まり、生霊と化すのである。
■恋愛の生霊が起こすトラブル
恋愛の生霊がもたらす災いは、他に比べ時期が長い。
特徴的なものは、女性の子宮内膜症や子宮外妊娠など、子宮に関するトラブルと、放火等の火に関するトラブルがある。
身体的には、腎臓と子宮に疾患が生まれる場合が多い。流産もその一つだ。その他には、ひどい肩凝りや片頭痛、背中の痛み、手や肘の関節の違和感などがある。また足のトラブルも多い。くるぶし付近にできものが出来たり、骨折しやすくなったりするようだ。
また夫婦関係や職場の人間関係の不和も引き起こす。特に第3者による割り込みが増えるというのは恋愛の生霊に最も多い現象である。
火に関するトラブルには、電気関係も含まれる。突然電化製品が壊れやすくなるだとか、車のブレーキが甘くなる、あるいは壊れるなどのトラブルも起こりがちだ。
■生霊におかされないためには
まず、不倫や略奪愛など、誰かを傷つけるような恋愛は絶対に避けるべきだろう。
相手の家庭を不幸にして壊したり、現在の彼や彼女の気持ちを傷つけたりすることは、恨みや怒りの感情に火をつける。そのため、相手が生霊と化してしまうのだ。たとえ一時の火遊びと割り切っていたとして変わりはない。
また、自分が生霊にならないためには己を磨き、人格や霊格を上げる努力が必要だ。自分の強い怨念で相手を陥れることは簡単だが、そのような負のエネルギーは必ず自分に返ってくる。
恋愛や婚姻生活において辛い思いをしたのは不幸だったかもしれない。しかし相手云々ではなくまず自己を内省し、自分の魅力を高めることが得策だ。相手へ何らかの執着を持ち続けることで生霊が発生する。そのようなネガティブな思いを手放して生きることで、自然と幸福な状態が訪れやすくなるだろう。