仏教の言葉で、領域を分けて聖なる領域と俗なる領域を区切り、秩序を維持すること。仏教以外に、古神道や神道における神社なども、同様の概念がある。
僧が戒律を犯さないようにするために一定のエリアを制限することや、そのエリアのことを結界という。
結界には次のようなものがある。
摂僧界(しょうそうかい)……その内側で受戒や布薩などを行う。外からの出入りを制限する。
摂衣界(しょういかい)……その内側で衣を脱げる。止宿しても良い。
摂食界(しょうじきかい)……その内側で食べ物を貯蔵、調理しても良い。
修行する場所に外道・悪魔が入るのを防ぐため、結界が行われる。
3種類ある。
国土結界……広域の結界。高野山や比叡山は国土結界と言われている。周囲の山などを浄化し結界とする。
道場結界……道場に魔が入らぬように特別の修法によって結界する。
壇上結界……護摩修法は壇上結界の例に挙げられる。
結界のことを大和語で「端境(はざかい)」または「境」と言う。
臨時に神を呼ぶときの依り代(よりしろ)として神籬(ひもろぎ)や磐座(いわくら)信仰があるが、その信仰の対象となる鎮守の森や山や海や川や岩や木などはまた、神域(しんいき。神をもてなす場所。神がいる場所)である常世(とこよ)と現世(うつしよ)の端境を示し、結界としての役割も果たしている。
神道においても、結界は用いられている。たとえば神社の建築物では意図的に段差を設けて境とする。扉、柵や鳥居、注連縄などを用いるのも結界である。それらは、そのエリアが禁足地である境を視覚化したものであり、常世と現世という2つの世「界」を「結」びつけてもいる。
一般の家庭の中にも結界は行われている。注連縄飾りや節分の鰯の干物などがそうである。また、ふすま、障子、ついたて、縁側、のれんなども広義では結界である。
また、郊外などので見られる昔から辻や町の境目に置かれているような道祖神や祠、石仏なども、結界の役割があると言われている。
もてなす側と客との間にある暗黙のルールを視覚化するため、入り口を低くし入りにくくしたり、茶道具で仕切ったり、庭など客が入るべき場所ではないところ石を置いたりし、結界とする。
とくに霊山における女性の入山の規制を「女人結界」と言い、境界には女人結界石が置かれた。しかし女人堂も建てられ、結界の外で女性が念仏に励む場所として使われた。「女人高野」は、女性の参拝と修行を許している場所である。
明治以降は、多くの山で女人結界が解かれた。近年になって、女性の社会進出にともない「女人解禁」議論が起き、解禁された場所もある。
現在、ごく一部の山では女人禁制の伝統が残っている。
本来の仏教には、結界した特定の場所に女性の立ち入りを禁止する戒律は存在しない。道元や法然、親鸞も女人結界に批判的であった。しかし、仏教は煩悩の1つである性欲を刺激する行為には厳しい制限がある。せめて修行中は不淫戒を守りたいもの。そこで女性を排したと思われる。
気軽な気持でやってはいけないと言う人もあれば、外出前などに簡単な結界をはることで、リラックスできる、自信を持ってことに挑めるなどの効果があると言う人もいる。強い結界を張り続けると変な物を呼び寄せてしまうから、よほど外部からの邪気や霊的なものが原因で起きていると思うことがあるときだけ結界をはるべきだと言う人もいる。
【音による方法】……外出前などに。
パンパンと手を叩く。
足踏みして、足音を鳴らす。
音の出る物(鈴など)で音を出す。
【水晶を使う方法】
完全に浄化された水晶を四隅に置く。球体に加工されていないものがよい。
【塩】……安全かつ簡単な方法。飲食店などの店先でよく見かける。
陶器や紙など自然素材の物に塩を盛り、四隅に置く。建物に結界をはる場合は、内側、室内に置くと人目につかなくてスムーズである。
1日経ったら塩を取り替え、以後は様子を見ながら2?1週間日くらいおきに塩を取り替える。取り替えた塩は邪気を吸収しているので、台所の流しで流す。