金運は、その人がどれほど金銭と深い縁にあるかを表す指標である。すなわち、金銭とのめぐり合わせの善し悪しを示しているのだと言い換えることもできる。
これは、ただ単純に金銭を稼ぐ能力の有無を問うているわけでも、資産運用の巧みさを比較しているわけでもない。節約上手かどうかという観点とも、やはり根本的に性格の異なる概念である。
たとえ多額の収入があったとしても、それを大幅に上回る支出が強いられるような生活をしているケースでは、金運が良いとはいいがたいだろう。反対に、湯水のごとく浪費していてもなお次々と金銭が舞い込んでくるのであれば、良い金運をもっているということになる。
「金は天下の回りもの」という有名な言葉がある。この言葉は、「金銭は一か所に永遠に留まり続けるものではなく、持てる者もいつか失うことになるし、持たざる者であってもいつかは手に入れる日がくるはずだ」という意味である。
資本主義経済が金銭と物品との交換可能性を前提に成立していることからわかるとおり、社会のなかを貨幣が循環しないことには、われわれの生活は成立しない。必ずや誰もが、金銭を手にしたり手放したりを繰り返しながら生きているはずだ。
しかしながら、現実に目を向けると、金銭はもともと潤っている場所だけでぐるぐると循環しているばかりのように見える。持たざる者のところへはわずかしかこぼれ落ちてこない。たしかに持たざる者たち同士のあいだでも金銭は回ってはいるが、その流通する絶対量が少ないのである。
この差こそが、金銭とのめぐり合わせ―つまり金運の善し悪しということになる。
では、金運を向上させるためには、どういった対策が有効だろうか。
まずは抜本的な意識改革が求められる。
必要なのは、金銭とふれあう機会を意識的に増やすことである。
金銭との出会いも、人間同士の出会いと同じように考えることができる。
日ごろから多くの人と会う機会を積極的に設けている人は、そのぶん友人が増えるし、また、その友人を介して新たな友人と出会う機会も増える。コミュニケーション能力の有無は大きな問題ではない。大勢の人と会話し交流を深めるうち、そういった能力は自然と向上するものだ。
一方、友人の少ない人は、人と会う機会がはじめから少ない。ふれあう機会が乏しいため、コミュニケーション能力も一向に上達しない。だからますます人と会うことをしなくなる。悪循環である。
このようにして、めぐり合わせの絶対数には差が生じ、ひとたび生じるとその差はますます拡大していくのである。
金銭がよく流れ、よく回る環境に身を置くこと。この重要性を徹底的に認識することが、金運向上のための最も基本的な心構えといえる。そして、その流れのなかに自分自身も乗るためには、ポジティブな態度を日ごろから心がけることである。ネガティブな考え方をしてばかりいる人間の周囲には人が集まってこないように、プラス思考であればあるほど金運もプラスの方向へ作用しやすくなるのである。
金運には先天的なものと後天的なものがある。前者は自力では解決しようのない問題かもしれないが、後者については、このように意識の持ちよう次第で改善することが可能だといえる。
意識づけが済んだら、具体的なノウハウを身につけることだ。
運気を自分のもとへ運び込むためには、なによりまず厄を落とすことが先決である。
神社仏閣へ訪れて本格的な厄除けを依頼するのもよいし、厄除けグッズを身につけることで対応してもよい。どれほど意識的にポジティブな態度を貫いていようとも、厄がまとわりついたままの状態では、寄ってくるはずの運も遠ざかってしまう。これを祓い落とし、きれいな体になることで、金運を迎え入れる準備がはじめて整う。
部屋の掃除をすることも有効である。
毎日過ごす部屋には、その人のもつ運気や心の状態が染みつき、堆積しやすい。定期的に一から整理整頓しリセットすることで、それまでの悪い流れを散らすことができる。特に、トイレ掃除はこまめにするとよい。
部屋が清潔な状態で保たれていると、自然と気分も明るく前向きになるものである。
この際、風水を参考にするのもよいだろう。風水においては、金運を司る方角は西方とされている。そして、ぴかぴかと光るものの近くへ金銭は集まるのだともされる。似た性質のもの同士が寄り集まるという意味では、これも人間関係と同様だといえるかもしれない。また、黄色いものが金運アップによいというのもよく聞く話だ。やはり金銭と色味が近いことは、無関係ではないだろう。
こうした傾向を踏まえ、部屋の西の方角に、クリスタルや貴金属でできたインテリア、あるいは黄色い家具などを飾ると金運アップの効果が期待できるはずだ。
ほかにも、金運アップを謳って販売されているグッズは無数にある。黄色い財布や金色の招き猫といった手頃なものから、高額なアクセサリー類まである。より高い効果を望む場合には、こうした品々も合わせて使うとよいだろう。
これらの金運グッズに科学的な根拠があるかどうかは、まったく重要ではない。
繰り返し述べているように、ポジティブな態度こそが金運アップに繋がるのである。いかなることでも、効果があるのだと自分自身を信じ込ませることができれば、それだけでも金運アップの効果はあるのだ。迷信でも信じてみることで、運は開くだろう。
金運を招くとされる開運グッズにはさまざまなものがある。ここではそのごく一部を紹介する。
【熊手】
日本独特の金運招福グッズ。祭祀の際や年末などにおもに販売される縁起物である。これは、商売繁盛や招福を願って用いられている。熊手の形状は物を集めやすく出来ていることから。金銭や福をかき込むという願いが込められている。また地方によっては形状・使われ方を擬音化して「かっこめ」とも呼称されている。
飾る場所は、家や職場の良き方角や神棚などがよいとされている。出来れば人の身長よりも高い場所に飾ると、福を招きやすい。
また熊手を北の方位へ向けて飾るとかえって悪運を招くと言われるので気をつけたい。
【招き猫】
日本で生まれた金運を招くグッズだが今は海外でも幅広く普及しているそうだ。商売繁盛などを呼び込む。
ただ、招き猫にはいくつか種類があり、全てが金運招福というわけではない。購入するときは手と足の挙げ方をよく見よう。金運をまねくとされる招き猫は右手を挙げている。
そして、手の高さによっても引き寄せる運気の質が異なる。掌が耳よりも高くなっていれば遠くから来る大きな福、低くなっていたならば、身近にある小さな福を招くそうだ。また色や置く方位によっても招く幸福の質が異なる。金運アップを願うのであれば、黄色の招き猫を西の方位に置くとよいとされる。
【財布】
金運を招くという開運財布は最近ではよく見られる。
基本的には色は黄色やオレンジ、ゴールド、白などのお金を想起させるような色がよいと言われる。また、札入れと小銭入れは別々に持ち、領収書などは入れっぱなしにしないで常に軽い状態にしておくのも効果的だ。お札を財布の中に納める時には「羽が生えて飛んでいかないよう」にという願いを込めて、天地を逆さまにして入れておくとお金が溜まりやすい。
また、形状は二つ折りのものよりは長方形のロングタイプのものがよいとされる。
【龍亀(ロングイ)】
風水グッズの一つ。亀の体に龍の頭をした架空の動物を模しており、亀の甲羅が邪気を遠ざけ、龍は宇宙のパワーをもたらす。
仕事などで働いて得られる金運である正財運を招くとされている。
【パワーストーン】
パワーストーンは実に多くの種類が存在するが、金運に効果があると言われているものも数種類ある。また、自分が望む金運の質におよっても使い分けることが必要だ。
ここではその中で主だったもののみを挙げる。
・タイガーアイ
収入がアップする効果がある。またギャンブルなどの勝負事にも強くなり、決断力が高まる。
・シトリン
全体的な金運アップによいといわれる。より影響が出やすいのは貯蓄・財テクなどの財力運に関するものが多い。
・アズライト
宝くじなどの各種くじ、ギャンブルなどの金運を上げる役割を果たす。
・ルチルクオーツ
別名「針水晶」とも呼ばれる。金運を上昇させ、勝負強さや困難に打ち勝つ力、集中力アップにも効果を発揮する。ギャンブル運や仕事運のアップからの金運が見込める。
金運神社とは、そこを参拝すると金運が上がると言われている神社全般のことである。
無論、直接の呼称ではなく、それぞれの神社には固有の名前がついている。
その実体は古来より、商売繁盛の神として祀られている神社がほとんどだ。
それらの場所へ、起業家やビジネスに携わる人たちが参拝してから商売繁盛や仕事運上昇などの御利益を得たという話が広まり、「金運神社」の名がよく用いられるようになった。
■金運神社として著名なところ
金運神社を象徴する、財産を司る神様としては「宗像三神(むなかたさんしん)」がよく知られている。
これは多紀理姫命(たぎりひめのみこと)と市杵姫命(いちきしまひめのみこと)、そして、多岐都姫命(たぎつひめのみこと)の三姉妹の神様のことをまとめて呼称したものである。
特に市杵島姫命は、 仏教における「弁財天(弁才天とも言う)」と同様のご利益があると言われていて、金運のサポートをするそうだ。
これらの神々は、広島県の厳島神社、福岡県の宗像大社、そして神奈川県の江島神社(神奈川県)で祀られており、財運を上昇させる効果があると信じられている。
・富士の金運神社
富士山の二合目にある、「新屋山神社奥宮」は、ビジネス界の著名人が紹介したことで有名になった。
ここは特別な地磁気が発生しているため、パワースポットとしても、よく知られている。
元来は地元の刃物職人により信仰されており、商売繁盛の御利益があるとされる。
祀られている神々には、「大山津見神(おおやまつみのかみ)」、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」、そして「木花開耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)」が挙げられる。
また、毎月1日と17日には例祭が行われ、神官から直接お祓いを受ける事も可能だ。
・石川県の金運神社
石川県白山市に「剱宮(きんけんぐう)」も金運神社として有名だ。
加賀百万石で知られるこの地域は古くより商売繁盛や金運を上げるために参拝する習慣が根付いている。そのため、金剱宮の境内には金比羅もあり、土地柄的にも財産を成した旧家が多い。
また、金運上昇の神である、「金勝金目尊(かなかつかなめのみこと)」が祀られている乙剣神社や金満神社も境内に祀られている。
その他、境内には源義経が座った石がある他、2100年もの歴史を持つ霊験あらたかな地としても知られている。
また、その他の全国各地域でも財運、仕事運、商売繁盛などの神社があるので、気になる人は地元で訪ねてみよう。
■参拝の方法、マナーについて
金運神社に限らず、あらゆる神社で参拝する際には、必ず定められた形式に従って行わなければならない。
これらを忘れると、ご利益があるどころか、むしろ罰が当たるという可能性も考えられる。
ここでは基本的な作法を紹介する。
ただ、その神社のみで行われている特有の形式を用いているところもある。
例えば、普通は「2礼2拍手1礼」だが、出雲大社では「2礼4拍手1礼」を正式参拝としているなど、神社によって違う場合もある。
他のケースでも大概、看板などで説明が施されているので、よくみて確認して欲しい。
・服装について
あまりカジュアルな服装は望ましくない。男性ならスーツにネクタイ、女性ならスーツやワンピースなど、改まった装いで望むのが神様への礼儀である。
・鳥居をくぐる順番について
大きな神社には大抵、「一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居」と名付けられた三つの鳥居がある。
これは一の鳥居より順番ににくぐっていゆなければならない。
ただ、大規模な神社だと、一の鳥居から、二の鳥居までが2km以上ある場合もある。このような際は二の鳥居からが境内になっているので、ここから入れば問題ない。
次に、最後の三の鳥居をくぐる際には身支度を整える。ここからが神の住む領域、「神域」であるためだ。
ネクタイなどを締め直すなど、身支度を確認し、帽子をかぶっていたなら、必ず脱がなくてはならない。
自転車、バイクなども入れてはならないし、ペットなどもこれより先は厳禁である。
ちなみに、飲食もだめだし大声をあげるのも禁物である。
そして、三の鳥居から中へ入る際は一度止まり、神に向かって一礼する。
これには神の領域へ入るための許しをいただくという意味がある。
鳥居をくくって中へ入ってからは、参道の真ん中を歩かぬようきをつけたい。そこは神気や、神の通り道であるためだ。
・手水の使い方
三の鳥居をくくると手水舎があり、参拝前にここで手と口を清める。
手水(ちょうず)とよばれる柄杓を使い、以下の順番で清めの儀式を行う。
1 手水を右手に持ち、左手を洗う。
2 手水を左手へ持ち替え、右手を洗う。
3 再び右手に手水を持ち替え、左手に水を入れ、口をすすぐ(直接手水に口をつけない)。
4 手水を垂直にたて、柄に水を流して手垢を流し清め、元の場所へ戻す。
清めた後の手は必ず、清潔なハンカチなどで拭く。
・本殿へ、参拝
手水舎で手を清めたあとは本殿へと進む。その際も、朱色の門などをくぐるケースが多いが、ここでも一礼してから入らなくてはならない。また、先程と同様に、門の真ん中を通らないようにする。
神殿の前に来たら、まず軽く一礼をしてからお賽銭を入れる。
この時、お金を投げ入れる人が多いが、それは神様への無礼に当たるので必ず静かに、なるべく音を立てないようにして入れる。
お札を納めるのであれば、封筒に「上」と書き、その下に自分の名前を添え、賽銭箱へ入れるのがよい。その際、金額は書いてはならない。
その後、鐘がある神社の場合は鐘を鳴らす。
参拝は「二礼二拍手一礼」が一般的だ。
まず「二礼」し、「二拍手」をする。
拍手の作法は、手を一度ぴったりと合わせた後、右手を指の関節一つ分後方へと下げてずらしてから、2拍手を行う。
拍手を終えた後は手のあわせを元に戻す。そしてそのまま願掛けを行う。
願掛けの際には、まず今まで生かしてもらい、神に助けられた過去への感謝のへ念を述べよう。
その後、自分の希望についてを「このような心算で○○を行い、人事を尽くします。その結果は、神様へ任せますゆえ、よろしくお願いいたします。」
などといった謙虚な態度が良いとされる。
一方的に「こうして下さい」と頼むよりも、自分自身の決意を表明して、後は神の采配に委ねる、と言ったほうが、神の助けや運気などのよいサポートを得られるようだ。
祈願後は手を一度下ろす。
そして男性は気を付けの姿勢をとり、女性は手を胸の前で合わせて1礼する。
その後、お尻を本殿に向けないように賽銭箱の前から本殿の階段の下まで後ろ向きのままゆっくり下がる。
下で最後に軽く一礼する。
以上が正しい参拝方法である。
この参拝方法で、より高い御利益を呼び込みたい。