「神授け」とは、授けるとあるように、霊能者やシャーマンなど神霊的なエネルギー、もしくは霊的存在とコンタクト可能な能力を有する者が、自身ではなく他者に対して、ある目的のために「神霊的なエネルギーを宿す」行為である。一方の「神降ろし」には、いくつかの意味がある。まずひとつには、祭祀などの際に、必要に応じてその場に「神霊的なエネルギー、もしくは存在を降ろす」こと。また、巫女などが託宣(神界からのメッセージ)を聞くために、自身の身体に「神霊的なエネルギー、もしくは存在を降ろす」ことである。「神授け」が、ある個人の問題解決のために使われるのに対して、真の「神降ろし」は、個人的な欲求を満たすためではなく、それによって多くの人々が恩恵に授かれる際にのみ、可能となるのが一般的である。
神授けの目的は多くの場合、「心身の健康状態の改善」や「人生運気全般の向上」などである。神授けのプロセスは、それを行う霊能者・シャーマンによって異なるが、多くの場合、神を授けられる該当者の心身の状態のチェックから始まる。心身の健康状態や運気の低迷が、その該当者に憑依する霊現象などに原因があれば、それを取り払う除霊などの行為がまず行われる。そして、心身の状態を健全にした上で「神」を授けていくことになる。では、この場合の「神」とはなんだろうか? 多くの場合、その該当者を守護してくれる存在を降ろしてくるということになる。その守護霊、もしくは守護神が、どのレベルの存在なのか、名のある神霊的存在なのか、あるいは、ご先祖様の誰かなのか、その辺りは神授けを行う霊能者、もしくはシャーマンの能力や方針等によって変わってくることになる。また、神授けは、シャーマンや霊能者が、後継者作りのために行う場合もある。
「神授けで運気好転」等といった宣伝文句によって、神授けを行う自称霊能者などが多く存在している。その場合、神授けのプロセスは、かなり細分化されていることがある。つまり、細分化することで多くの費用をかけていくわけである。また、授けの儀式も、数回に渡って行われる場合が多い。この場合も、回数の分だけお金が発生すると考えておいた方がいいだろう。こうした形での営業は、まさに霊感商法に近いものと考えておいて損はない。また、授ける神を、「著名な神」などとしている霊能者はさらに要注意である。単純に考えて、人間はそもそも神の分け御霊を持つ存在である。その意味で誰であれ、すでに神的エネルギーを有しているわけである。従って、著名な神であれば、そうした人間の構造と、神自身が特定の人にさらに宿る必要性が無いことなど、当然ながらわかっている。つまり、神授けでは、ご先祖様のようなサポーター的守護霊を授けられる可能性はあっても、大神を授けられる可能性などは、よほどの宿命の持ち主以外、まずないと考えたほうが懸命である。また「神降ろしをして運命鑑定する」といった触れ込みの霊能者などにも、霊感商法との接点があることも多いので、注意が必要である。「神降ろし」が可能になるのは、それによって不特定多数の人々が恩恵に授かれる場合であって、個人的な霊感商法による富を築くためにそうした助力が働くことなどはないのである。