真霊論-気功

気功

「気功」は中国発祥の「健康法」である。「気功」の基本哲学においては、この大気中、そして生命体内、および宇宙空間には、有効に活用すべき「生命エネルギー」である「気」が満ちていると考える。
そこで「気功法」(呼吸法をはじめとするさまざまなテクニック)によって、これらの「気エネルギー」を体内に取り込む、もしくは循環させる等の活用によって、「免疫力や治癒力の向上」につなげ、心身の健康のレベルを上げていくことを表す「自養其生」(みずからその生命を養う) を目的としている。

気功の歴史

気功に関する最古の資料としては、4000年以上前の新石器時代の壷に描かれている絵(「亀の呼吸」を真似している人の絵)に見られる。また、紀元前202年~紀元後8年に書かれたとされる、中国最古の医学書「皇帝内経」の中には生命エネルギーである「気」が、病気や人体といかに深い関わりを持つか等の詳細が書かれている。
このように古くから「気」という概念が存在していた中国ではあるが、「気功」という言葉とが生まれたのは比較的最近で、1957年に発表された『気功療法実践』(劉貴珍著)が初出とされている。
また、現在のように気功法がポピュラーな健康法として、多くの中国国民に実践され始めたのも戦後からである。戦後に中国政府は、医療事業の一貫として「中西医合作」(中国の伝統医学と西洋医学との)を始め、この時以来、気功を含めた中国医学が見直され気功も体系化されていくことになった。
ただし、これはあくまで「気功」という言葉上の歴史であり、実際的には紀元前の時代より中国では「気」研究活用がなされて来ており、現代気功はその叡智を基に改良案が加えられたものと言えるだろう。

気功の種類

気功は大きく分けて、健康法や医療気功(仏教、道教等の宗教気功を含む)として活用されている「軟気功」と、武術気功としての「硬気功」とに大別される。
中国の一般市民の多くが実践し、また日本に伝来している気功法のほとんどは健康法である「軟気功」である。一方の「硬気功」とは、例えば手刀で石を割る等の「強靭な人体作り」を目的にしたものであり、実践しているのは主に武術家である。
最近のテレビ番組に「のどや急所を思い切り攻撃されても痛くない空手家(白人)」というのが登場し、日本の格闘家が遠慮なく攻撃してもまったく動じず、ゲストや視聴者を驚かせた。それもそのはずで、じつはこの空手団体「Juko Kai」は単なる空手ではなく「硬気功」を取り込んで実践している集団なのである。
「硬気功」はこのように武術的な応用が中心となるため、気を集めた部分に棒を打ちつけたり、馬歩で腹部の気を高め拳で叩き続けるなど、修行法も健康目的の「軟気功」とは大きく異なる。
そのため本稿においてはこの後、一般的な「軟気功」について触れていくことにする。

軟気功の種類

健康法、または医療法でもある「軟気功」は、さらに「内気功」と「外気功」とに分けられる。
「内気功」とは、自分ひとりで「気を循環させる」気功法である。 一方の「外気功」とは、内気功で鍛錬した「気」を外に出して、他人に与える(もしくは調整する)気功法である。例えば、「具合が悪くなったので森林浴をして気を取り込んだ」という場合は「内気功」であり、「具合が悪くなったので気功師の人に気を送ってもらった」という場合は「外気功」のことになる。
中国の病院には内科、外科などと並んで「気功科」がある。この気功科では、患者に「外気功治療」を施す一方で、患者自身が気の鍛錬を行えるように「内気功」を指導してくれる。

気功の効果

気功によって得られる効果としては、主に以下のものが挙げられる。
1.免疫力の向上、自然治癒力の増強。
2.リラックスすることにより心身ストレスの除去。
3.気の通り道である「経絡」の通りを改善し、気血を調和させる。
4.大脳皮質の興奮を和らげ、内臓の働きを良くする。
5.自律神経のバランスをよくする。
6.基礎代謝を低下させて、エネルギーを貯える。
7.腹部の刺激により、消化吸収を活発にする。
8.直観力や超能力を含む潜在能力の開花の誘発。

軟気功のメソッド

軟気功のメソッド(気功法)は多く存在しており、一般的には2000種類を超えるとも言われている。多くの気功法は「気」を取り込む、もしくは循環させるため、呼吸法と体操のような体の動き(動功)によって構成されている。一方で、座禅瞑想のようにじっと動かない気功法(静功)も存在している。
いずれの気功法であれ、共通しているのは、体内の気の浄化によって心身の健全性を高めることである。そのためほとんどのメソッドは、1.調心(リラックスした状態での精神集中:入静)、2.調息(呼吸を整える)、3.調身(姿勢を整える)という三つの要素で構成されている。

スピリチュアルなパワーも活性化させる

気功は心身の健康の向上が主目的ではあるが、メソッドによっては「第3の目を開く」、「神通力を得る」等の、スピリチュアルなパワーを覚醒させる気功法を兼ね備えたものもある。
その一例が「禅密気功」である。「禅密気功」は背骨の動きと意識の鍛錬が中心となる気功法である。しかし上級者になると、「慧功」と呼ばれる第3の目を覚醒させる気功法によって潜在能力を引き出すことができる。「洗心法」という「心身の邪気払い」の功法や、「神通法」という瞑想によって予知能力などを身につける功法などもある。
またこの「禅密気功」は、空海の真言密教などとも大きなつながりを持つ気功法として知られている。
中でも「三密相応」という功法では、三密(呪文、手印、意念)を用いて瞑想することで意識を深層へと到達させ、そこから集合無意識の世界や高次意識存在などへのアクセスも目的とした気功法である。

気の実在・非実在

中国で言うところの「気」は、インド哲学においては「プラーナ」と呼ばれるものと同質のものと考えられている。また日本でも、気持ち、病は気からといった「気」をルーツにした言葉は多く存在している。
果たして「気」が実在か否かについては、医者から量子物理学者までが賛否両論を繰り広げているが、決定的な確証を科学はまだ認めているとはいえない。
しかし、「歴史的、臨床的、実績上」、と言う観点からすれば、「気」という見えざるエネルギーが、この人体や宇宙空間にはさまざまに存在しており、心身の健康と大いに関係を持っているということはもはや事実であろうと考えられる。

気功とホリスティック医療、霊感商法

日本のホリスティック医療現場においても、気功を取り入れているクリニックはすでに多い。ただし、あくまでも「補完医療」としての位置づけであり、気功のみで難病が改善できるとは断言できるものではない。
また、見えないエネルギーを扱う気功だけに、「霊感商法」的な行為と無関係であるとは言えない。もし気功の習得や、気功による何かしらの治療を受ける際には、気功師選定には十分なリサーチをされることが望ましい。

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