過去世透視とは、霊的な能力を用いて、その人のいくつかの前世を透視することである。
ほとんどの人の魂は、現世に生きる前にいくつかの過去世を持っている。時代や国、そして生きた人生の数は千差万別だ。普通の人は数回~数十回ほどの過去世を生きている。
繰り返し魂が生まれ変わる理由は、その人の魂にもたらされた「使命」を達成するためである。
例えば「人を感動させる力を与えられた表現者」として命を授けられたものは、ミュージシャンや俳優としての人生に導かれるだろう。
しかし、人格的に未熟であれば、使命(この場合は表現者)の人生に至る前に、過酷な家庭環境で生きるというような、修業的な人生を与えられる。
しかし、過去世について知ることは、あまり重要ではない。
基本的にその人の魂が持つ使命や課題は、現世の生活の中でも十分に分かるからだ。その人が生まれた環境、元々の器質・性格などに現れる。
前例を参照すれば、「子どもの頃、魅力的な音楽に触れる機会があり、人との関わりや気持ちを表現する方法で悩むことが多かった。また、ステージに立つのが楽しい」という人なら、過去世を知らずとも、ミュージシャンとして生きるだろう。
幼少期などは前世の記憶がかすかに残っている人もいるが、過去世の膨大な記憶を持って生きるのは負担がかかるので、霊的な計らいにより自然に消えていくのが一般的だ。
昨今のスピリチュアルブームで「自分の過去世を知りたい」という人が増えたせいか、「前世療法」を誘い文句にしている霊能者も多いようだ。
しかし「前世を観てあなたの人生を好転させる」などと謳った霊能者はあまりあてにしない方がよい。
大概はまやかしで、悪党商法の一環として行っている。
また、低級霊に騙されて霊視を行っている霊能者もいる。この場合は、本人が低級次元の霊視と気づかずに進めているのでやっかいだ。
良心的な霊能者は過去世について安直なことは言わない。本当に必要だと思った場合のみ、端的な情報と知恵を授ける。
未来予知とは、ある人間の数カ月~数年先を霊能力によって予測する、もしくは災害や政治・経済状況などの世の中の流れを予知する力のことである。
個人の将来、世界地球全体の未来の両方ともに、大きな運命の流れが用意されている。そこには「変えられない未来と変えられる未来」があるのだ。
例えば、ある人が交通事故に遭ったとしよう。それはあらかじめ、魂の試練、運命として用意されていたもので、避けられない事態だったかもしれない。しかし、その後の状況、本人の意思などによって、人生を好転させるか、または不幸を引きずるのは、本人の意思にゆだねられている場合が多いのだ。「気の持ち方ひとつで人生が変わる」というのはあながち嘘ではないだろう。
最近、よくテレビやインターネットで「○月○日に××がおこる」などと、不安をあおるような予知が紹介されるが、ほとんど信じるに足らない。
未来に起こることで具体的な日時が決まっているものは、ほぼ皆無だからだ。その現象が起こるであろう大まかな時期と、その後に起こる複数の可能性が示されるのみである。
だから、適切な予知能力を持つ霊能力が高い人は、具体的な日時や現象は言わないのが普通だ。
もし細かな日時や場所などについて言及する霊能者があれば、予知を勝手に解釈した周囲やマスコミによって強引に決められたか、その人が偽物であるかのどちらかと考えてよい。
また霊視による未来予知は、悪徳商法の温床になりやすいジャンルでもある。
高額な祈祷料・商品を勧め「これを買えばあなたもよい未来を引き寄せられる」などと謳う者にはくれぐれも気をつけよう。
<過去生の記憶>
●イアン・スティーブンソン博士の研究
1960年代から80年代にかけて、当時、ヴァージニア大学医学部精神科主任教授だったイアン・スティーブンソン博士は、世界中の「過去生の記憶を持つ子供たち」についての調査を行った。
調査した数は「2000事例」にも上ったという。
その結果、前世の記憶を持つ子供たちには以下の傾向が見られたという。
1)前世を記憶していると主張する子供たちは、通常2才から5才までの間(平均3才2ヵ月)から前世の記憶を話し始め、5才から8才までの間に話をしなくなる。
5才を過ぎると、言葉の発達から記憶の元になるイメージが覆い隠されて記憶の喪失が起こると考えられる。
2)前世における「自分の死に様」を記憶する子どもは約四分の三近くあり、しかも自然死ではなく、横変死を遂げた時の方が死の状況を記憶している比率が高い。
3)前世での名前、死に場所、死に方、友人の名前や事件だった場合には犯人の名前までも覚えている場合が多い。
4)身体のどこかに「あざ」を持つ子供たちが前世を記憶している確率が高い。
ちなみにスティーブン博士は、200人以上の「あざと前世の記憶」を持つ子供を調査した結果、子どもたちは「あざと同じ箇所に弾丸や刀剣などの武器が貫通して殺された」と証言したという。
さらに、そのうち17の事例について、子供たちが「前世ではこの人物だった」と主張する実在の人物が、実際に証言通りの死に方をしたことを証明するカルテを入手でき、これらの証言の信憑性を裏付けたという。
●親族が生まれ変わりを宣言した事例
スティーブンソン博士によると、「前世の人格が転生を宣言する場合がある」という。
アラスカに住む前世を記憶する子ども、「コーリス・チョトキン・ジュニア」のケースはまさにその典型である。
コーリスは1歳半から3歳までの間に、自分の前世が母のおじにあたる「ヴィクター・ヴィンセント」であることを、様々な言動から家族たちに伝えた。
これを聞いたコーリスの母は、生前にヴィクターが「自分が死んだらおまえの息子として生まれ変わるつもりだ」と語っていたことを思い出し驚愕した。
コーリスの体には、ヴィクターが見せてくれた手術痕と全く同じ部位に母斑があった。
また、ヴィクターが生前に知っていた人物を自分から数名見分け、ヴィクターの存命中に起こったふたつの出来事を言い当て、さらには、小さい頃から発動機に関心を示し、発動機を操作、修理する技術も持っていたという。
これはまさにエンジニアだったヴィクターの生まれ変わりと考えるしかないものだった。
●若くして死亡した元カレが自分の子どもに転生した事例
スティーブンソン博士によると、転生においては意志が介在する可能性があるという。
その典型例が前世を記憶する子供「マイケル・ライト」のケースである。
マイケルの母親キャサリン・ライトは、息子の言動にある種の違和感を感じた。
それは、かつて交際していた恋人の生涯を記憶しているかもしれない、というものだった。
そのため、スティーヴンソン教授へ連絡し調査を依頼したのである。
母親キャサリンの元恋人ウォルター・ミラーは、1967年に18歳弱で死亡した。
ショックを受けたキャサリンだったが、その1年後に立ち直り、現在の夫と結婚をした。
その頃、キャサリンはウォルターが生まれ変わってくる夢を見たという。
1975年にマイケルが誕生し、3歳になった頃、全く知らないはずの人たちや出来事を知っているらしい兆候を見せ始めたのである。
そしてある日、キャロル・ミラーというウォルターの妹の名前を口にしたという。
驚く母親をよそにマイケルは、さらにウォルターが事故死したときの模様を詳しく語るようになったのである。
●前世を記憶している魂とは
エマニュエル・スウェーデンボルグ(1688年-1772年)は、自身の多くの幽体離脱体験によって、人間が死後にまず向かう場所を「精霊界」とした。
ここは死んだことを自覚し、次のステップである「霊界」へと進む準備をする場所だとしている。
スウェーデンボルグが実際にアストラル体の状態で「精霊界」を訪れている時に、どうにも周囲となじめずに孤独でいる魂を目撃している。
そしてその魂はすぐに、精霊界から姿を消してしまったのである。
その後その魂が、アジアのある国で別の人間として生まれ、しかも「前世の記憶を語っている」ことで話題になっていることをスウェーデンボルグは知る。
これらのことからスウェーデンボルグは、「前世の記憶を持つ魂とは、物質界への何かしらの思いが強く、精霊界に来てすぐに生まれ変わりを選んだ魂である」と結論付けた。