真霊論-第六感

第六感

第六感とは、五感(味覚・触覚・嗅覚・視覚・聴覚)の範疇には納まらない、人間の感覚全体を指す言葉である。
第六感が何であるかに関しては、科学的な正式見解は無く、人によって定義が異なっている。
多くの場合、「直感」、「勘」、「インスピレーション」、「ひらめき」などを想定している。
また中村天風氏(故人)のように、「霊感」とする説もある。
M・ナイト・シャマラン監督の映画作品『シックス・センス』では、第六感=霊感という解釈だった。
この映画の公開後は、第六感を霊感と考える人も増えたようである。
しかし、五感の次に来るものとしては、「霊感」はいささか飛躍しすぎのように筆者は感じる。
一方、直感やひらめきなどの知覚能力であれば、ほとんど誰もが自然に身に付けているものである。
従って第六感の解釈としてとしては、「直感」、「勘」、「インスピレーション」、「ひらめき」などの感覚をイメージすることが望ましいのではないだろうか。
ちなみに霊感は、さらにその次の第七感あたりに位置していると思われる。

第六感によるテレパシー・予知

しかし直感やひらめきとはいえ、決して軽視してはいけない身体機能である。
この第六感に磨きをかけることで、さまざまなことが可能になってくるからである。
第六感と一緒に語られることが多いのが「虫の知らせ」である。
「虫の知らせ」に関しては本サイトに該当記事があるので詳しくはそちらを参照いただきたい。
ここでは「虫の知らせ」は一種のテレパシー現象である、とだけ記しておく。
つまり、直感が研ぎ澄まされることで、テレパシー能力はより洗練されていく。
また、研ぎ澄まされた直感が感知する情報には、未来からのものもある。
これは例えば、天変地異を事前に察知する動物たちの本能の存在などが、生体と未来予知の関係性をすでに証明している。
本来こうした「生(種)の保存に関わる情報」は、人間であっても本能の一部でもある直感によって敏感に察知できたはずである。
しかし現代においては、人間が直感をはじめとする精神的な感覚に対して、不信感を持つかあるいはまったく使用しないからか、その能力を後退させてしまっているのである。
予知能力とはいっても、何も誰もがノストラダムスのような予言者になることはない。
自分の人生を豊かにするため、本来は、自分の与えられた宿命への危機や脅威に対し、近い未来に起こる危険因子を予知能力として直感は感じ取れるのである。
つまり、第六感を信頼し、磨きをかけることで、より与えられた宿命に沿った生き方を選択することができるわけである。
このことがまさに第六感の存在意義なのであろう。

第六感の強い人とは

基本的に男性よりも女性の方が、第六感の優れている人が多いと言われている。これは古来より、身体的能力の低さを補ったり、狩へ行く男性たちに安否を願うべく何気ないことから危険を読み取ったりするべく能力が発達したことが起源らしい。巫女やシャーマンには女性が多いのはそのせいである。
また、髪の毛の長さも重要である。髪はいわゆるインスピレーションや感受性のセンサーとなっているので、短いよりは長く伸ばしていた方が感覚は冴えるそうだ。男性であれば髭をのばすこともここに含まれる。

第六感の正体は何か

第六感の実体については諸説あり、一概には言えないが大きく分けて3種類あると考えられる。

1. 地磁気や超音波など、目に見えない感覚を読み取る、または活用するもの
このような経験をした人は居るだろうか。
ある場所を訪れたが、何となく嫌な感じがしてすぐに去ったら事故や災害が起きたとか、またしばらく疎遠になっていた人の顔が繰り返し頭に浮かんできて不思議に思っていると、その人から突然連絡があった、というようなことだ。
これは第六感のはたらきによるものと言ってよいだろう。
そこには、地球や人間から発せられている磁気・電磁波などが関係していると考えられている。
例えば目印のない空を正確に飛来し、目的地へ向かう渡り鳥や、地震などの直前に大移動や大量死などをする動物がいる。彼らには地磁気や電磁波の変化や異常を感知する能力があると言われている。
これに関しては既に研究が進んでおり、生物の網膜に含まれている「クリプトクロム」という特殊なタンパク質のはたらきによるものだそうだ。これは光を感知するタンパク質であるが、磁場を見つけるセンサーの役割も果たしていることが分かっている。
ちなみにこの特殊タンパク質は人間も持っており、実験によって磁気を感知できることが判明している。
つまり、生き物が元々、危機感知のために備わっている能力が第六感というわけである。

2. 経験を重ねたことで得られたもの
仕事のキャリアを積み重ねていくと、とある資料を一瞥しただけでも、それが質の良いものか否かが即座に判断できるようになることがある。
勘の鋭い人は、詳細を見ていない状態でそれが出来るだろう。
これは、今までの経験や知識が適切に情報処理された結果である。脳の中に蓄積されてきたさまざまものを一瞬のうちに検索し、照らし合わせるという作業が知らないうちに行われている。
例えば、腕の良い料理人やトップアスリート、ミュージシャン、技術職や職人的な技術を求められる仕事などに従事している人に、このタイプに第六感が磨かれている人が多い。

3.身体的な感覚
第六感というのは五感以外の感覚のことを指すが、現在の研究では感覚には少なくとも9種類とされており、詳細分類をすれば20種類以上に及ぶ、とする考えもある。
その代表的なものには、体性感覚、表在感覚、深部感覚、皮質性感覚などがある。またその他には、内臓感覚、平衡感覚なども五感以外の感覚である。
だから特殊能力というよりは、元から全ての人が持つ力であり、これらが複雑に絡み合って、いわゆる「第六感の冴えた状態」というものが生み出されているのではという説がある。

仏教における「意識」との関連

仏教においても、第六感に類似した概念が存在する。
なかでも、大乗仏教においては顕著である。人間の存在にまつわるあらゆる要素は八つの「識」(しき)だけによってすべて構成されていると考えられているのだ。
ここでは、一般的にいわれる五感をそれぞれ、眼識(げんしき)、耳識(にしき)、鼻識(びしき)、舌識(ぜつしき)、身識(しんしき)と呼び、まとめて「前五識」と称している。そして、それと区別するものとして第六識=意識(いしき)が定義されているのである(なお、この「意識」は一般名詞として日常的に用いられる「意識」とは似て非なるものだと理解しておきたい)。
意識がはたらいているからこそ、前五識は適材適所で作用することができる。意識がなければ、前五識はただ物が見えていたり聞こえたりしているだけであり、それらがどのように見え、聞こえているかを理解することは意識のはたらきなのだと説明される。
ちなみに、大乗仏教では、この第六識=意識に加え、さらに第七識=末那識(まなしき)および第八識=阿頼耶識(あらやしき)も定義されている。これらは、より高次の精神的な識である。「悟り」も阿頼耶識の延長上に存在する概念だ。
すなわち、意識とは肉体と精神のちょうど中間にあるものであり、両者を結ぶものだと考えることもできるだろう。
この識という考えかたは、五感という機能的な部分とそれを理性でコントロールする部分とを統合的に捉えているものである。詳細にいたるまで理解するには相応の学習が求められるが、いわゆる第六感という概念を直観的に理解するにはむしろ近道であるともいえよう。
また、霊的な世界は高度に成熟した精神の持ち主であるほど近づきやすくなる。その意味で、第六感がいわゆる霊感と関連して語られることも充分に頷ける話である。

第六感の鍛え方

本稿においては第六感を、「直感」としてその鍛え方をいくつか提案する。
「直感」とは、透視、テレパシー、心を読み取るリーディングなど、数々の超能力の源泉である。
従って、「直感」を鍛えることで、各種の超能力の素地が培われると考えられる。

●直感を鍛えるコツ
直感がやって来るスピードは、理化学研究所と富士通の合同プロジェクトによる「棋士の直感力測定」によって、「0.1秒~0.3秒」と判明している。
つまり「何かを選択しよう」と考えた「0.1秒~0.3秒」後には、もう直感の答えはあなたの心に湧いているのである。
それほどに瞬時の直感を正確にキャッチするには、「考えないで、感じる」という作業がとても重要になる。

●トランプを使った直感訓練
1人で簡単にできる方法は、トランプを使った訓練である。
これはトランプを伏せた状態でめくっていき、数や柄を当てていく。
最初は柄だけを当てるようにする。
四分の一の確率なので、比較的当てやすいからである。
これを繰り返した後、今度は数を当て、最後には、数と柄を当てるように訓練する。
成功させるコツは「考えない、イメージしない」である。
従って、カードをめくったら、瞬時に即答する、という訓練を繰り返すのである。
当たりハズレを気にせず、とにかく即答を心がけるようにする。

●援助者とのクイズ問答
友人などとの暇つぶしにもってこいなのが、この訓練である。
この方法は、筆者がかつて超能力者として知られるロン・バード氏と会った際に、教わった方法である。
方法はいたって簡単で、相手にクイズを出し、即答するという訓練である。
例えば、「僕の乗っている車の色は?」と聞かれたら「赤」などと思いつくままに即答する。
バード氏も「直感を鍛えるには、とにかく考えないこと」と、即答する重要性をアピールしていた。
この場合の質問項目は、質問者が答えを知っていること、あるいはイメージできる内容、にすることが肝心である。
つまり回答者の直感は、質問者の心と繋がりながら、瞬時に答えを導くのである。
質問者自体が答えを知らないことを質問にしても、意味がないので注意しよう。

●直感の素地作り「内観」・「自問自答」
「内観」とは、自分の心を見つめる作業であるが、これも直感の訓練に応用できる。
直感を鍛えるための内観とは、「自問自答」である。
例えば、「自分がやりたいことは何か」、「この先どうしたいのか」、「今自分を満足させられる目標は何か」など、なんでもいいので自問自答を行うのである。
自分に答えを求めるとは、「魂」に語りかける作業である。
そして自分の心が答えを知らせるとは、内なる「魂」がその声を「直感」に乗せて答えてくるということなのである。
すなわち、内観や自問自答の真髄は、「魂との会話」であり、「直感をキャッチする」とは、内なる「魂のささやきを聞く」という行為なのである。
この作業を繰り返すうちに、答えを知りたいというあなたの欲求が、「直感に対して敏感な体質」を作ってくれるのである。

第六感と科学

第六感を直感として科学的に研究する試みは、理化学研究所と富士通の合同プロジェクトである「将棋棋士の直観の脳科学的研究」が最新のデータを提供してくれている。
このプロジェクトは、プロの棋士が「次の1手」をひらめく瞬間を脳科学的にとらえようとする試みである。
そこでMRI装置内に入った将棋の棋士が、詰め将棋の問題や必至問題の盤面を解くときの脳活動を測定し、プロ棋士とアマチュア棋士で比較している。
その結果、プロ棋士の脳で特異的に活動する2個所の領域が特定できたとしている。
その箇所とは、「大脳皮質頭頂葉の楔前部(けつぜんぶ)」と「大脳基底核の尾状核」であると発表している。
前者の「大脳皮質頭頂葉の楔前部(けつぜんぶ)」は、将棋盤面を見て瞬時に駒組を認識するときに活動する部位である。
つまり、直観をお膳立てする前段階の準備の際に活動する。
そしてこの部位が活動したその直後、時間にしておよそ「0.01秒」ほどのスピードで、「大脳基底核の尾状核」部位で直観が発生しているという結果になっているのである。
要は、直感の発生源は「大脳基底核の尾状核」としているのが、このプロジェクトにおける現段階での分析である。
ではこの「大脳基底核の尾状核」という部位について、もう少し詳しく見ていこう。
「大脳基底核の尾状核」とは、別名「線条体」と呼ばれている。
この部位が直観と関係しているということは、このプロジェクトが立ち上がる以前から、米国の脳科学者であるグレゴリー・バーンズ氏が、2006年の著書『脳が「生きがい」を感じるとき』(NHK出版)で明かしている。
バーンズ氏によれば、「線条体」とは、脳内から寄せられる情報が集中する「ターミナル駅」のような場所なのだという。
そしてこの膨大な情報から、行動に移すべきいくつかの情報が選択されることになる。
つまりこの「脳幹」にまたがる「線条体」での情報の取捨選択において、「直感が働きかけている」というわけである。
このバーンズ氏の推測を、最近の理化学研究所の研究結果が証明したことになる。
もちろん、これらのことは直観のメカニズムを、脳科学的な神経反応によってそのシステムがほんの少しわかったに過ぎない。
直観が果たして脳内だけの作業なのか、あるいは、見えざる魂からの何かしらの声なのか、科学が直観に関係するすべての問いを明らかにできるのはまだ先のことになりそうである。

《ら~わ》の心霊知識