霊能者とは肉体を離れた霊魂(※)とコンタクトをとる能力を持った人の事を言う。
主な活動は除霊や浄霊(※)を行う事にあるが、霊能者と自称する者の九割以上は能力を偽り霊感商法(※)で商売をしているのが現実である。
メディアに出ている霊能者も視聴率を上げるための様々なトリックをしかけて、さも霊が見えているような演出を平気で行う。
あくまでもメディアに出る自称霊能者は役者であり、出された企画書の指示に従い演技をしているだけである。
また今の世の中では寺の住職や、神社の神主も平気で偽り除霊を行うなどして生計を成りたてている。
そもそも彼らは能力が無くても学校に行けば住職や神主になれる、また親が住職や神主であれば、どんなに学が無くても簡単になれるのである。
金に欲を出せば、税金も払う必要が無い彼らは自分の身分を上手く利用して簡単に人をだます事が出来る。
住職や神主であると言うだけで、普通の人は、”徳の高い人、神に近い人”等と勘違いをしてしまう傾向がある。
裏社会と繋がっている住職や神主など日本にはごまんといるという事を知っておいてほしい。
一昔前まではお盆の時期になると霊能番組、心霊番組などが頻繁に放送されていた。
メジャーな番組では”奇跡体験!アンビリバボー”や”ほんとにあった怖い話”などがあげられるが、そこでも自称霊能者は活躍していた。
内容は心霊写真鑑定(※)や除霊(※)などがある。
除霊に関しては催眠術によるヤラセである。軽い催眠を番組が始まる前にあらかじめかけておき、お経を唱え放送中に深い催眠にさせ除霊の演出を行うと言うものである。(※)
心霊写真鑑定についても、合成写真をさも霊が写っているような見せ方にして、あらかじめ自称霊能者に渡してある怖い作り話の台本を読ませるだけであった。
現在はこれらの番組の影響により霊感商法(※)が増えた事により放送規制がかかり自称霊能番組は減ってきている。
①宗教法人肥後修験遍照院代表、下ヨシ子氏
除霊代として多額の現金を騙し取られたとして名古屋市在住の主婦が下ヨシ子主宰者ら幹部5人に約950万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こす。
②元僧侶、臨済宗建長寺派圓光禅寺の第49代目元住職、織田無道
宗教法人虚偽登記にて逮捕懲役処分。インチキ霊能者の暴露、給与不払いなど。
③六星占術、細木数子
相談者に不幸、不安につけこんで不当に高額な墓を買わされたと損害賠償を求める訴訟が全国各地で起こる。相談者は鑑定で勧められた1000万円を越える墓を購入させられる。購入先の墓石商と細木数子は手を組んでいた。
偽霊能者の事をくどく説明して来たが、本書でもお勧めしている様な正統派霊能者も存在する。
ただ、その数が霊能者と称す数に比べると極端に少なく、騙される人が非常に多いため注意を呼びかけているのである。
またインチキ霊能者の見分け方(※)も本書で書いているのでそちらも参考にして頂ければと思います。
霊能者はお金を請求する事が神の意に反するとよく言われるが、これは間違いである。
彼らは特殊な能力があるだけで普通の人と同じ生活をしている。
人は生きるのにお金が必要であるから、霊能者業を営む者も当然一般人と同じようにお金を請求する。
正当な霊視や除霊等を行う霊能者であれば、その行為にお金がかかる事はごく当り前である。
しかし、見えない世界を語る彼らの業界は何度も言うように偽りが多いという事を知って置く必要がある。
霊的祈願成就とは、霊能者のパワーによってさまざまな望みを叶えてもらうことである。
・祈願成就のプロセス
恋愛、人間関係、家族関係などに悩みを持ち、自分の思う方向に人生を進めたいと願って霊能者の元を訪れる者は、古今東西を問わず後を絶たない。
真の霊能者は、相談を受けるとまず、祈願内容が本当に霊的に正しい道なのかを見極める。
もし、それがただの我欲であったり、本人にとって望ましくない方向だと判断したりした場合は、その事を相談者へ伝える。そして真の道とこれからの来し方行く末についての助言を行う。
持ち込まれる相談の9割は、霊的な力を必要としない場合が多い。良心的な霊能者ならその旨を丁寧に話し、良き道へ進めるように諭すだろう。
ただ、霊的にみて道を誤っている人は、霊体(魂)に濁りがあるなど、魂が本来あるべき姿とかけ離れた状態であるケースがよく見られる。
もし必要であれば、本人と霊界・神界を結ぶ霊線を浄化し、神仏の加護を受けやすい状態へと導く祈祷を施す。
すると自然に、考え方や行動に変化が起き、本人の持つ宿命に相応しい人生へ近づいていける。
ゴールは本人が当初考えていたものとは違うかもしれないが、幸福度で言えば同等なレベルが得られる。これもある意味、祈願成就と言ってよいかもしれない。
また、悪霊などにより祈願が妨げられていたなら、除霊・浄霊を施して、霊体を正常な状態へ戻す。
祈願が霊的に正しい、と判断された時は、霊能者は守護霊やそれを統括する高級霊、あるいは神仏とのアクセスを図り、祈願のサポートを依頼し、願いを叶える。
・霊的祈願成就の落とし穴
前述にあるように、霊能者へ霊的祈願成就を申し出る人のほとんどは、その必要がないというのが現実だ。
霊能者のところへ赴いたからと言って全てが魔法のように叶う訳ではない。
しかし、悪徳霊能者は「○○は必ず叶う」などど依頼者の祈願内容を100%肯定するようだ。その挙句「その為には△△の霊を呼び出さなくてはならないので、別途祈祷料が必要」と詐欺まがいの商売を展開する。
このような霊能者は、自身が悪霊に侵されている、もしくは悪霊に魂を売っている場合が非常に多い。金銭的・物理的にも勿論だが、霊的にみても、関わるだけで悪影響が及ぶのである。
「あなたの願いを必ず成就させます」等の安請け合いをする霊能者には注意が必要だ。決して関わり合いになってはならないし、周囲に騙されている人がいたら助言してあげて欲しい。
何かと誤解を生みがちな霊能者であるが、古代から霊的文化・霊力を持つ人物は世界各地に存在していた。以下にその詳細を記していく。
■人類創生期
人間の祖先が現在の人類(ホモ・サピエンス)に進化したときに初めて精神世界を持ったと考えられている。そのひとつとして、故人を埋葬する文化が生まれた。
これは「死後の世界」や「霊的存在」を概念として認め、人智を超えた世界に畏怖心を持つという心のはたらきが芽生えたことを示している。
そして霊能力を保持するシャーマンがあらわれ、雨乞いなどの祈祷の中心的役割を担った。彼らは精霊・亡魂などとのコンタクトを取ることにより、仲間が現世的な利益(雨を降らせる、五穀豊穣をもたらす等)を得るための手助けをしていた。
すなわち、有史には残っていないが、霊能者は人類創生の時期より存在していたのでは、と推測される。
■欧米
ヨーロッパを中心とする西側諸国の霊能者の歴史は、迫害の歴史でもあった。
ユダヤ教・キリスト教を中心とする一神教文化圏では、神の存在が個々の霊をも統括していると捉えていたので、そこへ横入りできる霊能力者を認めるのは宗教的に問題があったためだ。
その厳しい歴史をかいくぐって、名を残した霊能力者を以下に挙げる。
・イエス
イエス=キリストは、人類最大の霊能力の持ち主だったそうだ。
旧約聖書マタイ伝の一節には、除霊治療による病気改善(病気の原因になっていた悪霊を追い払い直した)を示唆する記述がいくつかみられる。また「奇跡」と呼ばれる超常現象を(砂漠で水を持たず長期間生きながらえた、海を二つに割って歩いた等)起こしたことも知られているが、これも、霊能力によったものではないか、と考えられている。
・魔女狩り
中世~17世紀頃のヨーロッパでは、聖職者などが中心となり「手かざし」という方法で病気を治していたという記録がある。手かざし自体は催眠療法の一種だ。しかし、霊的な側面からこれに取り組み、その頃の催眠療法の技術以上の成果をあげる者もいた。この力を持つ者は女性が多かったそうだ。
しかし、まだ霊的世界への理解が浅かったせいか、ほとんどが黒魔術やまやかしの呪術だと誤解されていた。いわゆる「魔女狩り(宗教裁判にかけられ「火あぶり」などの拷問刑で死刑にされる)」の憂き目にあうものが後を絶たなかったそうだ。
・心霊治療
19世紀~20世紀にかけてイギリスやアメリカに、霊能力を用いて病気を治す「心霊治療者」があらわれた。以下に著名な人を3人記す。
ハリー・エドワーズ(英 1839~1976)は、イギリスの正統的スピリチュアリズムを使っていた心霊治療家である。
彼は交霊術や除霊術を生かして治癒をし、「奇跡のヒーラー」と呼ばれていた。
カール・ウイックランド(米1861~1945)はアメリカの精神科医だが、治療の際、霊媒体質の妻を解し交霊・除霊術を用いて精神病患者を直した。
ジョージ・チャップマンは、イギリスの消防夫であるが、患者に触れることなく目の疾患を治していた。それはイエス・キリストの霊能力に酷似していた。
■日本
日本では古くから精霊や祖霊への信仰が厚かったため、霊能者の存在は身近なものだった。
まず、神官や巫女は基本的には神社に仕える人々だが、霊的な力で占いや祈祷の出来る者が多かった。著名な人物には卑弥呼などが挙げられる。
・ユタ・イタコ・トゥスクル
沖縄のユタ、恐山のイタコ、アイヌ民族のトゥスクルなどはシャーマンの一種である。霊能力による祈祷や占い、また交霊術などを用いて民族に利益をはこぶ情報を与えていた。各満足や地域で尊ばる存在であった。
・陰陽師
平安時代、朝廷の「陰陽寮」という部署には陰陽師が仕えていた。彼らは修験者の一種で、加持祈祷により民衆に災いをもたらす霊を除霊した。
・菅原道真
学問の神様として有名な太宰府天満宮に祀られた、菅原道真も霊能力をもっていたのでは、と思われる記述が残っている。それは「飛梅伝説」と呼ばれている。
道真が藤原氏の陰謀により大宰権帥に左遷されることになり、都を離れる日、幼い頃より親しんできた紅梅殿の梅への思いを一句詠んだ。
東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春なわすれそ
すると彼を慕った梅は、道真が太宰府に着くと、一夜のうちに飛来してきたという伝説である。
また彼の死後、天変地異が多発したという記載もあることから、霊能力を秘めた人物だったのではないかと考えられている。
■その他の少数民族など
バイカル湖付近の少数民族、シベリア、ラップランド、カナダのエスキモー、チベット・中国の少数民族、アフリカ、北欧などには、古くからシャーマニズムの文化がある。
霊能力を持ったものがトランス状態になって交霊術を行い、故人や精霊とのとのやり取りを行うというものだ。一神教以外の文化圏では古代から脈々と受け継がれた術を伝承している霊能力者がある。文化人類学などではそれらのやり方を細かく採取し、学問の一つとして確立させている。