本来の「秘密結社」とは、極秘裏に構成された組織を意味し、その構成員たるメンバーは、その組織の存在、内部情報や構成員情報、さらには自分がメンバーであることさえも明かすことが禁じられている組織である。
秘密結社においては、何かしらの秘儀、隠語(符牒:ふちょう)等をメンバー間で共有し、それがメンバー間の絆を深めるという構造を持つことが多い。
しかし近年では、世界的に著名な秘密組織「フリーメイソン」のように、その存在そのものはすでに公になり、かつ、人によっては自らがメンバーであることを明かしても許される組織もある。
しかしフリーメイソンにおいても、内部に関する詳細情報は伏せられており、このように公に対して存在そのものは認めているものの、内部に関する詳細なデータは秘密にしている「秘密結社」も多数ある。
また秘密結社は、国や公の機関によって結成されるものではない。
秘密結社と言う場合、歴史的に見ても、「国勢・政治・経済・宗教・人種問題」のいずれかの分野において、社会的に何かしらの影響を与える、社会的に成功する、社会ないしは特定分野の情勢や利益等を牛耳ろうとする、などの意図・目的から結社活動をするケースが多い。
また別のケースとしては、国・権力機関が何かしらの理由により封印・禁止しようとしているもの(例えば、思想、宗教、文化・芸術、精神文化等)を、極秘裏に保護・保存・研究する意図・目的を持った秘密結社などもある。
従って、なんら社会的な影響とは関係のない単なる人々の秘密の集まり・組織、また、テロや暴力行為などを目的にする反社会的なギャング団、裏社会行為を専門にする暴力団組織・マフィア等は、秘密結社と呼ぶには至らない。
ただし、かつては秘密結社的な性格を色濃く持っていた団体が、現在は単なるビジネスマンが集まるロータリークラブや親睦会のような集まりになっている結社も存在している。
陰謀論・陰謀史観において、常にその存在が取り立たされる秘密結社に「イルミナティ」がある。
実在したイルミナティは、1776年5月1日、ドイツ系ユダヤ人、アダム・ヴァイスハウプト(1748~1830年)によって結成された。
わずか24歳でバヴァリア(現在のドイツ・バイエルン州)のインゴルシュタット大学法学部教授の地位をつかんだヴァイスハウプトがイルミナティを組織した目的は、以下のようなものだった。
●イルミナティの目的
「知的能力を実証された人々が世界を治める『世界単一政府』を作ること」。
この号令の元、文学・教育・美術・科学・財政・産業の分野で聡明な人々を含む二千人もの信奉者を集めた、とされている。
●イルミナティ・メンバーの顔ぶれ
勢いを見せたイルミナティには、フリーメーソンからも多くのメンバーを引き抜き、学者、弁護士、裁判官、学生、薬剤師、貴族らの知的エリートの他、ゲーテ、哲学者のヘルダー、ベートーベンの師クリスチャン・ネーフェ、モーツァルト、そして後の米国大統領トマス・ジェファーソンもいたとされる。
しかし、その影響力を恐れてか政府による弾圧がかかり、結成からわずか10年で解散を余儀なくされ、以降は現に至るまで「地下組織」となったとされている。
●解散後の地下組織「イルミナティ」
世界中のジャーナリストやドキュメンタリー作家がイルミナティに関する書籍を書いているが、それらによれば、イルミナティに結集したのは世界の富豪一族であり、以下の家系に属する人々であったとされている。
アスター家、バンデ家、コリンズ家、デュポン家、フリーマン家、ケネディ家、李家、オナシス家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、ラッセル家、ファン・ダイン家と、世界的に有名な超大富豪十二家に、イエスの血を引くと自称する第十三番目の「聖なる」ダビデの血流。
これらの人々のうち、現在でも世界のトップに君臨している一族は多々ある。
そして歴史上は解散したイルミナティであるが、完全に地下に潜った、まさに本格的な秘密結社として、現在も世界をコントロールしようとしている、というのが陰謀論・陰謀史観における「イルミナティ」の存在なのである。
●フリーメーソン
世界的な組織規模を持つ「友愛団体」である。
1360年、イギリスにおいて石工職人たちの集まりとして組織されたのが発端である。
その後の歴史の中で「テンプル騎士団」、「イルミナティ」などの秘密結社との関わりの中で、政治・宗教的な秘密結社としての目的を有したが、現在においては、「友愛団体」、「ビジネスマンたちの社交場」としての性質を強めているとされる。
一方で、現在地下に潜っているイルミナティ・メンバーが、密かにメイソンリー(フリーメーソン会員)として活動しており、フリーメーソンを通して「世界統一政府」樹立を目論んでいるとする説もある。
●スカル・アンド・ボーンズ
アメリカのイェール大学にある秘密結社。
元米国大統領のブッシュ親子は、揃ってスカル・アンド・ボーンズの出身である。
●クー・クラックス・クラン(略称:KKK)
アメリカの秘密結社で白人至上主義団体。
特に暴力事件や黒人差別事件の背後にその存在が見え隠れしている。
●薔薇十字団(ばらじゅうじだん)
中世から存在すると言われる秘密結社。
17世紀初頭のヨーロッパで初めて広く知られるようになった。
始祖クリスチャン・ローゼンクロイツは結成目的を「錬金術や魔術などの古代の英知を駆使して、人知れず世の人々を救う」とした。
●黄金の夜明け団
19世紀末にイギリスで創設された、西洋儀式魔術の秘密結社。
●黒龍会
日本・アジアを中心にした秘密結社。
その母体は、1901年(明治34年)1月に設立された国家主義(右翼)団体だが、その後解散。
そして2008年に有志によって再興されたとされている。
現在の主な活動目的は、世界統一を目的とする秘密結社に対抗すること、とされている。
●聖白色同胞団
神智学の創始、ブラヴァツキー夫人によってその存在が明かされた、超自然的人物の秘密結社である。
サナト・クマーラという「大師、マスター」によって組織され、人類に意識・霊性における覚醒を促すのがその目的とされる。
聖白色同胞団の本拠地は、ゴビ砂漠上空のエーテル界に存在する「シャンバラ」に築かれた、とされ、19世紀以降の「シャンバラ伝説」のモチーフの元ともなった。