八十年代にできた和製英語で、癒し効果や願望成就などの特殊な力を持つとされている石のことを指す。貴石や半貴石などの鉱物石がその範囲だったが、化石や金属、結晶などしだいに範囲が広がっている。
科学的合理主義の立場では証明されない力であるため、その力はお守りと同様のものと考えられる。ときに、世俗的な射幸心を煽る販売業者もおり、なかでも健康になる効果を謳うことについて厚生労働省は薬事法に触れるとの見解を示している。
古来から、貴石や半貴石など鉱物には特殊な力が宿ると考えられ、アメリカのヒッピー文化に取り込まれたことにより、クリスタルパワーという言葉が作られた。やがてそのニューエイジムーブメントが舶来した八十年代の日本においてパワーストーンという言葉が使われ始めた。
宝石類。象牙、べっこう、珊瑚などのもとは生物だったもの。砂漠のバラ(化合物が結晶してできた石)。金・銀などの貴金属、銅などの卑金属やゲルマニウムなどの半金属。岩塩。ガラス工芸品や、加工品もパワーがあると標榜されることがある。
日本では鉱物としてはほとんど需要がなかったが、80年代にパワーストーンとして広まると一気に売れ、いったん下火になったものの2000年代にスピリチュアルブームが起きると再びパワーストーンもブームになった。ニューエイジ思想とセットになることが多いため、チャネリングやリーディング、瞑想、チベットなどの東洋思想やネイティブアメリカンの思想、波動などと関連が深い。それらの中にはしばしば、オカルトの領域に入るものもある。
パワーストーンとして知られる前、古来、ヒスイは呪術に、紫水晶は魔よけ(除霊)や毒よけに使われて来た。その考えを取り入れたヒッピー文化では、水晶がとりわけ癒し効果の高いものと考えられるようになった。
【パワーストーンと、その効果の一例】
ヒスイ……病気や災害から身を守る。健康・長寿。
サメの歯……南国や海人のお守り。勇気。
岩塩……パワーストーンを浄化する。マイナスエネルギーを浄化する。
隕石(中でもコンドライトと呼ばれるもの)……地に足つけ現実で考えを実現する。
エレスチャル……至高の知識、天使の波動、深い洞察。
ストロベリークォーツ……恋愛、女性の魅力、他人に寛大になる、華やか。
天眼石……魔よけ、厄よけ、除霊、意思を強くする、事業や受験など現実的な成功。