真霊論-パワースポット

パワースポット

「パワースポット」とは「活力や癒しを得られる場所」を意味する言葉として使われている。
元々は、大地からのエネルギーが高い場所のことを意味していたが、現在では、神社仏閣や聖地、富士山等の名勝など、神聖かつ荘厳な雰囲気を持った場所までを含むようになっている。
パワースポットという言葉は和製英語であり、その名付け親はスプーン曲げで有名になった清田益章氏である。自著『超能力者 清田益章が選ぶ本物のパワースポット』において清田氏は、中学時代(1970年代)に「その場所に行くとエネルギーチャージができる」というスポットを発見し、「そこを自分で勝手にパワースポットとネーミングした」と告白している。
1990年代初頭にニューエイジやスピリチュアルがブームになると同時に、「パワースポット」という言葉も広まり始めた。その理由は、清田氏の周辺には地脈の測定を行うダウジング研究者などもいたため、大地の持つエネルギーをキーワードとして精神世界を探求する人々に関心が広がり、この言葉が頻繁に使われるようになったからだと推定される。
そもそも大地の持つ不思議なパワーに関しては、「レイライン」と呼ばれるものがある。レイラインは、1921年に英国のアマチュア考古学者アルフレッド・ワトキンスによって提唱された、「大地に潜む神秘的な力を持つ地脈のこと」である。ただし、あくまでも科学的に検証されたわけではない。
古代遺跡などが「直線的な配列」や「ある規則に従った配列」を示しているのは、古代もしくは超古代において、「レイライン」を使って神秘的な力を活用するためだったのでは、といった推測がなされている。
1990年代に、ニューエイジ・スピリチュアルブームが日本にやって来た際に、エジプトのピラミッドや、英国のストーンヘンジなど、神秘的な古代文明やレイラインという言葉にも注目が集まり、大地のパワーが「パワースポット」と言う言葉に変換され、現在に至るまでに使われ続けてきている。
話題になったパワースポット例としては、長野県伊那市と下伊那郡大鹿村の境界に位置する「分杭峠(ぶんぐいとうげ)」が挙げられるだろう。ここは大学の研究者などが「ゼロ磁場スポット」と呼称し、健康にも寄与する、としたことから多くの日本人がこの峠を訪れるようになった。
今では旅行雑誌や女性誌にも取り上げられるようになった「パワースポット」だが、ではどこが「パワースポット」なのかというと、明確な判断基準(科学的根拠)も認定機関もないため、あくまでも自己判断ということになる。
また「パワースポット」ブームの一方で、神社仏閣、その他沖縄の聖地である「御獄(うたき)」などがパワースポットであると報道されると、そこに人が集まりルールを無視した行動をとるなど、一部聖地にとっては迷惑な事態を招いていることも忘れてはいけない。
少々余談になるが、日本では1960年代にすでに、呼称は違うがパワースポットの存在を提唱していた人物がいる。それが、物理学者の楢崎皐月(ならさきこうげつ・1899年5月9日 - 1974年7月31日)である。
古代文献「カタカムナ」を分析した楢崎は、大地には「イヤシロチ」(いい土壌=パワースポット)と「ケガレチ」(悪い土壌)の二つがあるとし、農業などに「イヤシロチ」を活用する方法などを説いた。

パワースポット解説②

1990年代に登場した和製英語。清田益明が作ったと言われ清田氏の定義によると「大地のエネルギーを取り入れる場所」となる。気場、ゼロ磁場とも言い、疑似科学の1つと指摘されることがある。
学術的には聖地や霊場と同一か同等のものと考えられる。多くは、神仏、精霊など超自然的な存在がやってくるとされる場所であり古来より守られている空間を癒しの場ととらえたものがパワースポットである。スピリチュアルスポットとも呼ばれる。

パワースポットとはどのようなものか

定義がはっきり決まっているわけではないが、大地や空間に何らかの力がみなぎる場所のようである。
その何らかの力をマイナスイオンや気と解釈する場合そのパワースポットは「気場」や「ゼロ磁場」という表現が合うが、ゆえに疑似科学の1つであると指摘されることがある。
観光ビジネスや関連商品販売のための宣伝である側面もあるのは否めないだろう。しかし修行せずとも霊験あらたかで誰にでも力を与える場所であるとの効果を宣伝して聖地や霊場に人を寄せるのは、パワースポットという言葉がなかった古来からなされていた。
パワースポットはスピリチュアルスポットとも言われるだけに、科学風の説明はせずに、また健康に効能があるなどとは安易に期待せずに、それぞれの個人の感性で大地の気を感じとり元気になったり癒されたりする場所と考えるほうが妥当だろう。

気場・ゼロ磁場

中国の気功師が長野にある分杭峠(ぶんぐいとうげ)に「気場」を発見したという。巨大な断層地帯である中央構造線の真上に位置しており、2つの地層がぶつかり合う、つまりS極とN極が拮抗しあって互いのエネルギーを打ち消しつつも磁場の高低変動が激しくなる「ゼロ磁場」の状態でエネルギーが凝縮されている場所だと言う。その理由で世界でも有数のパワースポットとされる。マイナスイオンブームの際や2009年にテレビや雑誌などマスコミが取り上げたので、分杭峠に来る人が急増した。
「平常時の断層は、力学的に言って周囲の岩盤と同じであり『断層で岩盤が押し合っている』という考えは、地球物理的に誤り」という指摘も、中央構造線研究の第一人者によってなされている。
しかし、古くからある有名な神社仏閣や、修験道の聖地と呼ばれる場の多くが、先に述べた中央構造線沿いに設置されている

歴史

パワースポットとされる場所の多くは古くから聖地・霊地であり自然崇拝が行われる場所である。自然崇拝の対象となるのは、山、川、湖、海、岩、木などで、そこは神や精霊がやってくる場所である。その場所は、神道や仏教と結び付いて、神社・仏閣の敷地内にあることも多い。
昔の人々が「この土地の力を取り入れよう」などと現代のパワースポット的な感覚で訪れていたかどうかはわからないが、ただ参拝して信仰心を表現するためだけではなく何らかのご利益を得ようと訪れることは昔からあったと考えられる。また、荒俣宏によると、昔から大地の気を得ようとする人はいたと言う。つまりスピリチュアルな発想による訪問者はいたということだろう。
90年代に清田氏がパワースポットという言葉を使い、2000年代のいわゆるスピリチュアルブームによりマスコミがパワースポットを取り上げる機会も増え、パワースポット巡りとして神社仏閣に訪れることがブームになった。

訪れる目的

なんらかの「気」や「力」を浴び吸収しに行くのが目的であるが、そこで何を感じるかは人それぞれであり、またそれでよしとされている。癒しや願望成就、金運向上、開運向上、祈願のために訪れる人が多いようである。

風水

風水も気の流れを扱うためか、大衆的な風水を扱う人の中にはパワースポットという言葉を使う人もいる。大地の気が吹き上がる場所である「龍穴」のことをパワースポットと表現しているようであるが、風水の「龍穴」とパワースポットは異なると言う人もいる。
「龍穴」は、陰陽道や古代道教、風水術では繁栄する土地とされている。遷都や神社の建立の際は、「龍穴」が選ばれた。
古来より陰陽道では露出した活断層が把握されており、山の配置などとともに考慮され、陰と陽が重ならない場所を「龍穴」として選んだ。活断層が拮抗する場所といえばゼロ磁場だが、古くからある神社のほとんどがゼロ磁場の上にあるという説があり、また、大きな「龍穴」のほとんどには古社が鎮座していると言われている。つまり「龍穴」は、ゼロ磁場と同一か付近のようである。
「龍穴」は天変地異とは無縁の地であるとされている。
また、パワースポットは神社が圧倒的に多く、お寺が少ないことについて「仏閣は人々の悩みや悲しみが集まるためパワーが劣る」とあるスピリチュアルカウンセラーは言うが、当記事で参照した資料と比べ合わせると誤りであると筆者は言いたい。そもそも古来から自然崇拝の場所であり、地の力がある場所であり、「龍穴」上にあることがパワースポットと言える要素である。仏閣は、自然崇拝由来ではなく、それよりも新参の外来宗教の建物であり、たとえ古来の信仰の影響を受けていようとも、ゼロ磁場や自然崇拝を意識して建てたわけではない建物も多い。逆に言うと、ゼロ磁場の上(にあるお寺があるかわからないが)や自然崇拝の対象となる場所にあるお寺はもちろんパワースポットとなることが多い。また、お寺は地元の檀家にしか開いていない閉鎖的なものも多いのでマスコミから「パワースポット呼ばわり」されにくい。逆に一般に開かれている寺などは、願掛けや癒しを求めて来る人々でにぎわっており、実際、パワースポットと言われている。
しかし、なんとなく自分なりに気を感じればいいという意味でのパワースポットとしては、各々で好きずきに解釈すれば良いものなのかもしれない。

パワースポットとされる場所の例

五稜郭……難攻不落の要塞にするためだが五茫星の型をしている。自然が多く癒されそうな場所ではある。
霊場恐山……霊場。地蔵信仰が伝わっている。
三峯神社……古来からある神社。縁結びにご利益がある。
明治神宮……以前から有数のパワースポットとして知られてたが、テレビで取り上げられたせいか「清正井」が有名になった。
高尾山……修験道の霊山として有名。密教のお寺がある。
富士山……「新屋山神社奥宮」に参ると金運がアップすると書籍で取り上げられ有名である。船井幸雄氏の言う「イヤシロチ(地磁気があるレベル以上あり、マイナスイオンが多い場所)」である。
箱根……世阿弥の作品に「箱根神社には男女のご利益がある」と記されている。他に、九頭龍神社や箱根元宮、大涌谷などがあり、箱根全体がパワースポットとされることもある。
諏訪大社……諏訪神社の本社。国内で最も古い神社の1つ。各地に諏訪神社がある。縁結びなどにご利益がある。
分杭峠……世界有数のパワースポットと言われる。ゼロ磁場。
金比羅宮……海の守り神。開運招福、金運招福などご利益がたくさんある。
貴船神社……恋愛成就、縁結びや復縁にご利益があるとされる。
鞍馬寺……六芒星がある。宇宙のパワーに満ちている。
鞍馬山……修験者の山。
出雲大社……恋愛成就、縁結びの頂点。
八重垣神社……縁結びパワースポット。
厳島神社……世界遺産。日本三景の1つ。恋を叶える。
秋芳洞……特別天然記念物。
屋久島……世界遺産。
高千穂……天岩戸神社や樹齢800年以上の秩父杉のご神木がある高千穂神社など自然がたくさんある。

《は~ほ》の心霊知識