テレパシー(Telepathy)とは、超感覚的知覚 (ESP・超能力)の一種で、「言語」や「感情」などの「情報」を、言動などによらず「精神力によって送受信できる能力」である。「テレパシー」という言葉は、19世紀後半にケンブリッジ大学のフレデリック・ウィリアム・ヘンリー・マイヤース教授によって提案された。テレパシー能力を有する者は「テレパス」と呼ばれる。テレパス同士であれば、距離の遠近は問わず、言語や道具等を使うことなく「意思の疎通」や「コミュニケーション」が可能となる。また、送受信能力のどちらかの欠如により、相手との意思の疎通ができないまでも、相手の意思や心の様子・悩み・声なき訴え等を、正確に読み取れる能力もテレパシー能力である。
テレパシーを感知するのは人間の心にあるセンサー(もしくはアンテナ)である。このセンサーが感知するのは、人間を含めた生命体が発信する「思い」「感情」等の「意識情報」である。テレパシーは、相手と対面しているくらいの至近距離であっても可能であるし、また、相手が例えば地球の裏側のような外国にいたとしても可能である。これは人間の心が送受信する「意識情報」というのは、ラジオやテレビの電波のように3次元的な時間・空間を伝播するのとは違う次元を使っている証左である。つまり3次元的な時空の制限にはとらわれずに、テレパシーは送受信が行えることになる。このことはまだ、科学的には十分に説明できないが、現象的事実として起こっていることである。また、テレパシー情報のやりとりは、過去から未来へと流れる時間軸にもとらわれない。現に筆者もこんな体験がある。筆者のある「直感情報」を、ある人物がその前の晩(筆者が直感した日の前日の夜)の瞑想時に、すでに正確に筆者の直感情報をキャッチしていたという事実があった。そのためその人物は、筆者が向かったとある場所で筆者を待ち構えていたのである。しかも、到着時間も正確にわかっていたのだ。「なぜここに、この時間に来ることが分かったのか?」と聞くと、「瞑想中にこの時間にこの場所に来るのをキャッチした。だから本当にそうなるか確かめに来たのだ」と言われたのである。つまり、有能なテレパスになると、未来からの意識情報をキャッチすることも可能ということになる。これはいわゆる「予知能力」が、テレパシー能力の一部であることを意味している。
テレパシーを構成する能力には、大きく分けて情報の「送信能力」と「受信能力」のふたつがある。この能力は本来、人間・動物・植物など、あらゆる生命に自然に備わっているとも言われている。しかし人間に関して言えば、テレパシー能力は大きく退化してしまっているのが現実である。特に「受信能力」の低下は著しい。真正のテレパスとは、このどちらの能力もが十分に備わっている必要がある。まず「送信能力」であるが、ほぼすべての現代人は、十分な送信能力は備わっていると言える。というのも送信能力は、「心に情報を思い浮かべ相手に送る」というきわめて単純な行為である。そのため別段、訓練等の必要も無い。一方で、「受信能力」の方は、いかに感知する心のアンテナ感度をいかに精巧にするかという点において、いくつかの課題があり、受信能力は人によって能力格差があるのが現状である。つまりテレパシー能力を向上させるための最大の課題にして難問なのは、「受信能力の精度をいかに高めるか」という点にあると言えるだろう。
テレパシー能力に関しては、超心理学分野の研究対象テーマとなっており、大学や研究機関などにおいてこれまでも数々の実験研究が行われている。例えば日本では、明治時代に東京大学の福来友吉博士によってテレパシーの研究が行われた。その結果として研究者たちは「テレパシー能力は、人間なら誰でも開発することが可能ではないか?」と考えてはいるものの、しかし現在のところ、特に課題となっている「受信能力の開発方法」に関する決定的なメソッドは発見されてはいない。
超心理学者、ディーン・ラディン博士(米国・ノエティックサイエンス研究所)が2004年に行ったテレパシー実験の結果は、テレパシー能力を理解する上で重要である。そのため少々長くなるが、そのレポートをまとめておこう。
●実験内容
ラディン博士は、11組の成人カップルと、2組の母娘のカップルに、「互いにつながりを持っているという感覚」を持ち続けるように要請した。さらにそれに集中できるように、指輪や時計などの個人的な品をカップル内で交換させ、実験するあいだ中ずっと握っているように指示した。カップルは相談して、どちらが「思いの送信側」か「思いの受信側」になるかを決める。その後、お互いから電磁気的に隔離された個室に独りづつ入った。
次に、「送信側」が「受信側」に思いを送るスタート合図として、「送信側」には別室で待機している「受信側」のビデオ画像がライブ放映された。このビデオ画像は1回あたり15秒で、その合図が17~25回をランダムな間隔で「送信側」に見せる。つまり、「送信側」は、「受信側」の画像がモニタに映る度に思いをテレパシー送信するわけである。もちろん「受信側」は、いつ思いが送信されたかはわからない。そしてカップルの頭部に電極が設置され、脳波が同時に測定された。
●実験結果
送信合図(ビデオ画像の放映)が開始されると、それを「送信側」の脳波には、「視覚性誘発電位」の揺れが、放映開始後368ミリ秒をピークとして生じた。この時、「受信側」の脳波を調べると、受信側にも(送信側の脳波のピークから64ミリ秒遅れて)、強度は小さいものの脳が活動したことを示す揺れが確かに生じていた。また、送り手の視覚性誘発電位が強く出ている場合には、受け手の脳波にあらわれる揺れも、やはり強い傾向があった。この実験の結果ラディン博士は、「何らかの、未知の情報的あるいはエネルギー的交換が、隔離された人々の間で存在する」という仮説を肯定せざるをえないことを示唆し、次のように述べた。「この研究で観察された脳活動の相関は、量子もつれを思い出させる。量子のもつれとは、互いに隔離された物理的な系が相関性のある行動を見せるという性質であり、これは、ふたつの系は見かけほどには隔離されていないということを示唆する。脳のような巨視的な物体であっても、ごく短時間ではあるが量子のもつれを示すことがあるのであれば、そのもつれあった脳が、この実験で観察されたような相関活動を示したとしても、不思議ではない」。
上記のディーン・ラディン博士の実験結果が有意になった背景には、実験対象が恋人または親子であったことと無関係ではないだろう。つまり相互に「愛情」が存在しているのである。この「愛情」はテレパシー能力と大きく関わっているといえる。日本には昔から「虫の知らせ」という言葉がある。この現象は例えば、「親が事故にあったことを、離れたところに住んでいる娘が察知する」など、親近者たちが、無意識的にテレパシー能力を働かせ、情報交換を行っていることを示す言葉である。ではなぜ虫の知らせが起こるかというと、そこには人間同士の「思いやり」が介在しているからである。筆者を含め、筆者の知り合いにも数多くの「虫の知らせ体験者」がいる。そうした体験者に話を聞くと、決まって「あの人どうしているかな? となんとなく思いやった瞬間に、ふっと相手の情報が入ってきた」と口を揃えている。また、親子のような関係であると、特に思いを馳せなくても常に心が相手に向いていると言えるだろう。つまり親子の愛情というのは無意識的に、お互いの心が送受信の状態になっているのである。これによって虫の知らせが起こるのだと考えられる。そして「思いやる」とは、テレパシー情報の受信に必要な心のアンテナを相手に向けてスイッチをオンする、ということと等しいのである。
テレパシー的な感覚と愛情が無関係ではないことを示す、他の実験の例も記しておこう。これはテレパシー実験ではないが、ロンドン大学の神経研究所のタニア・シンガー博士は、ラブラブのカップル16組の被験者を集め、各々の手には電気刺激を遅れるように電極をつなげ、カップルの内女性の方にMRIを装着させて、脳の活動の様子を観察した。その結果、パートナー男性が電気刺激を受けているときに、ちゃんと女性のほうにも、精神・感情的な痛みを感じる領域で脳が活発に活動している様子が観察されたのである。つまり、「パートナーの痛みを自分のものとしてテレパシックに感じている」ことが証明されている。つまり「愛情」は、テレパシーの難題である「受信能力」の向上に欠かせない重要なキーワードなのである。
これまで見てきたように、テレパシー能力の中でも多くの人にとって難題とも言える「受信能力」を高めるには「愛情」「思いやり」が、ひとつのキーワードになる。しかし、私たちが行うコミュニケーションの中には、「愛情」や「思いやり」を介さない、もっとニュートラルな関係の人たちとのコミュニケーションもある。こうした場合に有効なのが「直感力」である。結論的に言ってしまうと、テレパシー「受信能力」とは、「直感力」とほぼイコールと考えられている。愛情や思いやりは、直感力をさらに研ぎ澄ますものなのだ。「直感力」とは、将棋の名人の脳を分析した結果からも、「約0.01秒」くらいの瞬時のスピードで脳をよぎる情報である。例えば、あなたが二者択一を迫られているとしよう。あなたが「どちらを選ぼうかな?」と考えたその0.01秒後には、じつはあなたの直感もう答えをあなたに示しているのである。しかし多くの場合、人はその直感を無視し、「どっちが得か、損か」などと延々と思考による選択を優先する。これがテレパシーの受信能力を低下させている根本原因だといえるだろう。脳の思考力ではなく、心に浮かぶ直感力を優先させられるようになったとき、テレパシー受信力は向上するようになると考えられている。もしテレパシー能力を身に付けたければ、いや、正しく言うなら本来持っているテレパシー能力をフルに活用したければ、「愛情」「思いやり」「直感」をキーワードにあなたの心のアンテナに磨きをかけ、受信感度を精巧なものにすることをオススメする。
テレパシーとは、超感覚的知覚(ESP→念力、透視、千里眼など五感以外の感覚を使って情報を得る力)の一種である。
道具などを一切使わず、言葉も交わさずして、精神力(念力)だけで他人と意思の疎通をはかる能力のことを指す。
今では特殊能力の一種と呼ばれているが、古代の人間、その他のほとんどの生物が持つ力だったという説もある。
テレパシーに関しては1800年代より研究が進められており、今ではさまざまな能力開発法が提唱されている。
また、実験により科学的な裏付けが立証されたという報告もある。
しかし、テレパシー被害を訴えているものには精神疾患(統合失調症など)が疑われる場合も多い。
・ガンツフェルト法
ロバート・モリスとホノートンという超心理学者によって提唱された方法。
「ガンツフェルト」とは全体野という意味である。
その段取りを以下に説明する。
1 テレパシーの送信者と受信者を別々の部屋に隔離する。
2 受信者の目の上にはピンポン球を半分にしたものを乗せる。 その上から赤い光を浴びせ、視界を均一化し遮断する。 耳にはヘッドフォンをし、ホワイトノイズ(ラジオの雑音のようなもの)を流す。
3 送信者に、意図なしに選んだ画像、または映像を見せる。
4 送信者は心の中で、画像を強くイメージし、送信する
5 受信者は、送信者から情報をキャッチしようと試みる。
この方法は、何千回と繰り返し行うことで精度の高いテレパシーが送れるようになるそうだ。
・カード法
ESPカードを用いる方法。ESPカードとは、星や波の線、四角、丸などの図形が書かれているカードのことで、超心理学の実験でよく用いられる。
1 テレパシー送信者は、5枚のESPカードの中から無作為に1枚選ぶ。
2 選んだカードを心に念じる。
3 受信者に向かってイメージした図形を発信する。
4 受信者が受け取ったイメージのカードを選択する。
ガンツフェルト法と同じように、繰り返し実験を重ねていくと、正解する確率が上がっていく。
これはESPカードの他に、普通のトランプを用いたり、コップや鉛筆などいくつかの物体を使って進めたりする方法もある。
また、送信者と受信者が同時に選択物を指さしてテレパシーを確認する場合もある。
・思念送信法
最もポピュラーなテレパシーのやり方。
1 送信者と受信者が向かい合って座る。
2 送信者は、受信者に伝えるための短い文章や言葉を自由にイメージする。
3 送信者と受信者は、静かに見つめあう。首から下は動かさないようにする。
3 受信者がスタートの合図を出す。
4 送信者はイメージした言葉を、声を出さずに送る。目はそらさないようにする。
5 受信者がメッセージを受け取る。
これは、送・受信者の関係性が重要な実験である。身内や仲間など、近しい間柄だと成功確率が高い。読心術に近いことから、演劇のメソッドなどでも活用されることがある。
・テレフラッシャー法
ファイデルマンによって提唱された、光のパルス(点滅信号)を使ってテレパシーの送受信をする方法。
1 送信者と受信者を、離れた部屋に隔離する。
2 同時に、光のパルスを見せ始める。
3 送信者はそれに合わせて画像のイメージをし、伝達する。
4 受信者はパルスをみながら送信者のイメージが送られてくるのを待つ。平均して約10秒後に、パルスのリズムに乗って送られてくる。
この方法はかなり精度が高いといわれる。
ある実験によれば、135個の画像イメージを送った時、間違いはおよそ35個程度だったらしい。
・ワッカーマンとラディンによる実験
2003年、ワッカーマンたちのグループがテレパシー実験に関するレポートを発表した。内容はこうである。
「幅広い年齢層で、17組のペアを組ませた。近しい関係と他人同士のグループを作成、それぞれをとなりあった別室に隔離。音も光も互いに見えない環境にする。
ペアの一方には一定の間隔で光による刺激を与える。もう一方には何もしない。
そうして脳波を測定した。
すると、刺激を与えた方にも、与えていない方にも、光に対して反応する脳波が記録された。」
ラディンらの実験報告は以下の通り。
「近しい関係にある12組のペアを作成。互いに思いあっていると感じられる品物を持ってきてもらい、手で握らせた。
ペアを別室に隔離し、送信者側の方だけに、受信者をモニタリングしている映像を流す。その時、ゆかりの品を握って受信者のことを強く思う。
すると、送信者にも受信者にも、脳波にゆらぎが認められた。」
これは量子もつれといって、隔離された物理的な系のものが、相関性のある行動を見せるという性質が作用したのでは、と言われている。この場合、ふたつの系は実はさほど隔離されていないと考えられる。
・DNAがテレパシーを使う
2008年、ACSジャーナルにDNAに関する神秘的な論文が発表された。以下の通り。
「DNAは、似通った配列を持っているもの同士が互いを認識して活動することは、既に解明されている。
しかし、その間に物理的接触やタンパク質のやりとりがなくても、DNAの二重螺旋は、遠方から自分自身に合う分子を何の科学的根拠もなく集めてきている。これは、DNAが引き合う「テレパシー」の力によって引っ張ってきているとしか思えない。」
人間でも「類は友を呼ぶ」などと言われるが、遺伝子レベルでのやりとりが行われているとは、興味深い事実である。
統合失調症の患者の中には、「テレパシーが使える」「誰かの声が聞こえてくる、自分はテレパシーを受信している」「テレパシーによって、何者かが自分の思考を盗んだ」と訴えてくるケースがある。
これはそれぞれ、誇大妄想、幻聴、思考伝播または被害妄想(自分で話したことを忘れているなど)の症状である。
周囲の物はよく見極め、疾患が疑わしい場合は病院に連れていった方がよい。