タロット占いとは、「タロットカード」(原語:TAROT DECK)と呼ばれている紙製のカードを様々な展開方法でテーブル等の上に開き、あらゆる自分の運勢や相手の気持ちなどを占うものである。
占いには一般的に命・卜・相(めい・ぼく・そう)の3種類に分類されるが、タロット占いは、卜占の一種だ。これは他者と相談者との関係性に着目して占うものである。ト占は意志の決定や選択、相手の気持ちを知りたいなどによく用いられる。
タロットカードは、大アルカナカード22枚と小アルカナカード56枚で構成される。
呼称であるアルカナとは、「古代の秘密教義」の意を持ち、それぞれに生きる秘訣・奥儀や人の一生の中で起こる出来事などを絵によって象徴的に表したもの。
大アルカナは、0番の愚者から始まり、21番の世界で終わる。これは「愚者」という名の人間の成長過程を表しながら、宇宙の根源や誕生・創造に至る事象を象徴画として芸術的に描いている。
小アルカナは、16枚のコートカードと、40枚の数札に分かれる。
コートカードは別名宮廷カード、または人物カードと呼ばれ、キング・クイーン・ナイト・ペイジの4人の人物が描かれている。
一方数札は、1(エース)から10番まであり、4種類のスートで構成されている。
スートとは「属性」の意で、ワンド(棒)・カップ(聖杯)・ソード(剣)・ペンタクル(金貨)とがあり、これらは、火・水・風・地の4大元素を象徴する。
ちなみに、コートカードにもスートは描かれ、ワンド・カップ・ソード・ペンタクルのそれぞれに、キング・クイーン・ナイト・ペイジ(小姓)が存在する。
これらは、人間の日々の生活に密着したさまざまな営みについて絵にしている。
タロットはよく聖典などの書物のように認識され、善なる生き方や、神や宇宙など高次元の意識への到達を、絵に表わしている。
タロットカードには大きく分けて2種類の源泉があり、それぞれ、ウェイト・スミス版とマルセイユ版と呼ばれている。
両方ともアルカナは全く同じだが、絵柄にやや違いがある。
ウェイト・スミス版とは、1910年にイギリス人アーサー・E・ウェイトが、画家のパミラ・コルマン・スミスと共に作ったもの。アーサー・E・ウェイトは当時の魔法結社に所属し、薔薇十字やカバラ・錬金術・フリーメーソン等の秘密教義に精通し、霊感を受けていた人物である。
特徴は、伝統的なカードの順序を少々変えたことと、数札がそれぞれに象徴する絵柄を描いたことが特徴だ。そのため、カードの1枚1枚に象徴的に意味が込められるようになった。これは発行時大ヒットしたそうで、現在ではウェイト・スミス版に基づいたおよそ700種類以上もののカードが普及している。現在使われているものの多くはウェイト・スミス版である。
一方、マルセイユ版は、数札には絵が描かれておらず、数字とスートのみの抽象的なものになっている。これは古来から伝統的に使われていたカードである。
呼称の由来はかつて17世紀のヨーロッパにおいて、タロットカードがマルセイユで多く製造されていたからである。その時代は、今でいうトランプのように遊びの中で用いられるのが中心であったようだ。
カードを裏向きにして机の上に置きシャッフルする。
シャッフル方法は占い師によって異なり、正式なルールというのは明確化されていない。
以下に、一般的に用いられる方法を挙げる。
・占い師だけがカードに触ってシャッフルする
・相談者が占い師の指示でシャッフルする
・シャッフル後にカードを切る場合、
・シャッフルはせずにカットだけする
・シャッフルせず相談者の話を聞く中でカードの順序や向きを入れ替える
シャッフルが終了したカードから数枚を選択し並べる。この並べ方は多くの種類が存在し、展開方法はスプレッドと呼ばれている。
数百種類あると言われるスプレッドであるが、ここでは主に用いられがちなもののみに触れる。
・ケルト十字法:「悪魔の10カード」と呼ばれる。別名大十字架占い。
・ホロスコープ法:黄道十二宮のように12のジャンルに分けカードを配置する。
・ヘキサグラム法:六芒星(ヘキサグラム)の形にカードを並べる。
・変形ヘキサグラム法:ヘキサグラム法を12枚で行う。過去からの流れを明確にし、より詳細に占えるようにしたもの。
・フォーチュン・オラクル法:カードをVの字型に7枚配置、Vの中央に3枚配置する。
・セブン・テーリング法:7枚を並べる。対人関係を占うときよく使われる。
・大三角の秘宝法:3枚のカードを3角に配置し、それにキーカードも1枚置く。
・二者択一展開法:Vの字型に5枚を配置する。
・ファランクス法:小アルカナの人物カードのみを使用する。16枚のカードを4×4の配列に並べる。
・大ピラミッド法:ピラミッド型にカードを並べる、最下段には12枚、上に行くごとに1枚ずつ減らし最上段は1枚置く。
・グレゴリウス法:10枚を3段に並べ、さらにその右横に1枚ずつ置く。その後、またその右横に1枚ずつ並べていく。
・陰陽法:2枚のカードを縦に配置するもの。
大アルカナカードはタロット占いの中で最もよく用いられ、それぞれに意味を持つ。そして、展開したとき上向き(正位置)か、反対向き(逆位置)かによって意味が変わる。
以下にそれぞれを説明する。
0 愚者:正位置=冒険、無知、片思い 逆位置=夢を見る、純粋、軽率、愚考
I 魔術師:正位置=創造、技術、物事の開始 逆位置=優柔不断、臆病、知識不足
II 女教皇:正位置=深い洞察、知識、聡明さ 逆位置=潔癖すぎる、残酷、偏った判断
III 女帝:正位置=幸福、安らぎ、豊穣、母性 逆位置=成果がない、過剰、家族とのトラブル
IV 皇帝:正位置=勝利、目標を達成する、強い意志、責任、 逆位置=ワンマン、未熟、傲慢、尊大
V 法王:正位置=援助、教え、寛大、精神的な満足 逆位置=謝った情報、悪意の助言、狭量、
VI 恋人:正位置=二者択一、恋愛、快楽 逆位置=選択を間違える、誘惑に負ける、嫉妬、裏切り
VII 戦車:正位置=努力の末成功する、前進、勝利 逆位置=負ける、暴走、挫折
VIII 力 :正位置=大胆な行動力、パワー、勇気 逆位置=権威に屈する、本性、自惚れ
IX 隠者:正位置=隠れた事実、探索、思慮深さ 逆位置=陰湿、助言を無視する、閉鎖的、貪欲
X 運命の輪:正位置:チャンス、状況が好転する、一時的な幸運 逆位置=悪循環、誤算、不運、落とし穴
XI 正義 :正位置=よいバランス、平和、正当 逆位置=偏見、不正、非常識
XII 吊された男:正位置=自己犠牲、試練、忍耐 逆位置=無意味な犠牲、自己中心的、盲目
XIII 死神 :正位置=物事の終わり、停止、損失 逆位置=死からの再生、新しい始まり、やり直し
XIV 節制:正位置=自己コントロール、調和、堅実 逆位置=感情が乱れる、浪費、不安定
XV 悪魔:正位置=欲望に溺れる、邪心、束縛、堕落 逆位置=解放、悪循環からの目覚め
XVI 塔:正位置=破壊、破滅、災難 逆位置=必要とされる破壊、小さなトラブル、解決の見通し
XVII 星:正位置=よい未来、希望、憧れ 逆位置=物事が過剰、幻滅、悲哀
XVIII 月:正位置=不安、裏切り、曖昧、混沌 逆位置=移り気、不安の解消、明瞭、混沌の終り
XIX 太陽:正位置=喜び、繁栄、満足 逆位置=わがままからの失敗、延期、失敗
XX 審判:正位置=復活、発展、精神的目覚め 逆位置=幻滅、失望、再起不能
XXI 世界:正位置=大幸運、念が叶う、完全 逆位置=計画の中止、未完成、報われない