真霊論-手かざし療法のメカニズム

手かざし療法のメカニズム

「手かざし療法」とは、その名の通り相手に手をかざしてエネルギーを送る(またはコントロールする)ことで、心身(もしくは霊的)のさまざまな症状等の改善を目的とする補完療法である。
手当て療法、ハンドヒーリングなどとも呼ばれる。
イエス・キリスト、ブッダなども「手かざし療法」をしていたとされ、日本においては、大正時代から昭和の初頭にかけて大ブームになった「霊術」と「教派神道各宗派」が、その実践的な業として「手かざし療法」が積極的に採用したことで一般人にも広まった。
手かざし療法は、心身の治療・霊的治療(いわゆる除霊・浄霊)のどちらにも用いられているが、日本においては薬事法により、「病気目的」としての営業・勧誘等は一切禁止されている。
また、手かざし療法による効果は、史実として、さまざまな体験者がその効果を認めてはいるが、実践者によって方法は様々に違うことなどもあり、科学的に効果が認められたものではなく、あくまでも正当医学を補完する「補完療法」「民間療法」である。
にも関わらず、医学を拒否して「手かざし療法」のみに依存した結果、死亡事故につながるケースや事件などもあり、社会的に問題視されている部分もある。

手かざしと教派神道

「教派神道」は、戦前に政府から宗教団体として公認されていた、御嶽教、黒住教、金光教、天理教などの神道系教団を指す。
これらの教祖の多くは「手かざし療法」を秘儀として取り入れていた。
そして教派神道から派生した大本教、さらには崇教真光等においては、より実践的に「手かざし療法」を導入している。
中でも崇教真光は、入信することで「誰もが手かざしの業を活かせる」とし、それまで教祖もしくは一部の人間の奥義・秘儀であった「手かざし療法」を信者へも広く普及させたことで知られている。
ただし、これら教派神道系宗教団体、もしくは新宗教団体の「手かざし療法」の本来の目的は、病気治療ではなく「霊的治療」である。
そのため、手かざしの実践の際には、各宗派独自の祝詞などを唱えたり、御霊などと呼ばれる身に付けるものがあったりしており、単に手をかざしているだけではない。
こうしたノウハウにより神霊界の聖なるエネルギーに繋がることを可能とし、それが手かざしを効果的なものにすると信じられている。

レイキと米国の手かざし療法

手かざし療法は、「Hands on Healing」として、米国でも補完医療として取り入れられている。
米国NIH(国立衛生研究所)は、補完・代替医療としてさまざまな伝統医療や民間医療などの研究と整備を行っているが、以下が、NIHが補完医療として認めている手かざし療法である。
・気功(Qi gong)
・霊気(Reiki)
・セラピューティック・タッチ(Therapeutic touch)
・磁気療法(Magnetic fields)
上記の手かざし療法は、医師・看護士らも学び、病院によっては、西洋医学の手術とセラピューティック・タッチを併用する病院などもある。
日本で「レイキ」として知られる霊気は、臼井 甕男氏(うすい みかお、1865-1926)によって創始された手かざし療法のメソッドである。
臼井氏がこの療法を広め始めた初期に、ハワイ在住の日系人にまず伝わったことから、日本よりも欧米で広まったのである。
このように米国でも広く知られる手かざし療法だが、欧米では霊的治療というよりも、心身の改善目的に利用されることが一般的である。

手かざし療法 事件簿

一般人であれば、病気になった際に、手かざし療法だけに固執するということはまずない。
しかし、手かざしを実践し、そのパワーを教義にまでしている新宗教団体信者にとっては、「身体に毒を入れられる西洋医療等は避けるべきもの」であり、その教団の教える手かざしを実践すべきと刷り込まれてしまうのである。
その結果、2011年1月にも、痛ましい事件が起こった。
その報道をいかに記す。
手かざしは意義のある民間療法であるが、疾患がある場合はまず、正統的な医療機関のアドバイスをもらうべきであろう。
「アトピー治療させず「手かざし」、乳児死亡」 (読売新聞 - 01月13日 23:44)
福岡県警は13日、病気の長男(生後7か月)に医師の治療を受けさせず、死亡させたとして、両親で宗教団体職員の福岡市東区唐原4、高月秀雄(32)、邦子(30)両容疑者を殺人容疑で逮捕した。 
両容疑者は、患部に手をかざす「浄霊」という行為で病気を治そうとしていた。容疑を認めているという。
発表によると、両容疑者は、長男の嘉彦ちゃんが重度のアトピー性皮膚炎などで衰弱しているのに、病院で治療を受けさせず、昨年10月、自宅で寝かせたまま敗血症で死亡させた疑い。 
この宗教団体の本部は福岡市東区にあり、全国に約1万人の信者がいるという。秀雄容疑者は小学生、邦子容疑者は中学生の時に入信し、両容疑者の親も信者だった。
嘉彦ちゃんは昨年2月に生まれ、2、3か月後にアトピー性皮膚炎を発症。黄色ブドウ球菌などの細菌に感染して気管支肺炎を併発し、衰弱した。死亡時の体重は平均の半分の4・3キロだった。両容疑者は、宗教団体の教義に従い、手をかざすなどの行為を繰り返していたという。秀雄容疑者が嘉彦ちゃんが呼吸をしていないことに気づいて119番し、搬送先の病院で死亡が確認された。
秀雄容疑者は「信仰を重んじて病院へ行かなかった。子供を見殺しにしてしまった」、邦子容疑者は「人間本来の自然治癒力で良くなると信じていた。後悔している」と供述しているという。
宗教団体は県警に対し、「自然治癒を勧めているが、信者に病院に行くことは禁じていない」と説明しているという。

手かざし療法のメカニズム

手かざし療法の効果・有用性は、科学的に検知はされていない。
従って、以下のメカニズムはあくまでも実践者、研究者たちによる推論・持論である。

●電磁場によるオーラの修正説
手かざし療法を行う場合、レイキや気功など多くのメソッドが、肉体より浮かせた形で手をかざす。
この手を離すという行為には、身体の周囲にあるオーラに、手のひらから放出される微量の電磁波が影響を与える、というメカニズムに基づいている。
このオーラの修正により、心身への改善効果が見られるとする。

●霊的エネルギーの授受による効果説
手かざし療法を行う者は、まず自身が心身共にバランスの取れた健康体であり、霊的に高次元とつながれることが条件だ、とする手かざし療法のメソッドがある。
これは、自分の身体を高次元パワーと繋げ、そのエネルギーを手のひらに集約し相手に放つことで、相手の心身・霊的側面に改善が見られるとするものである。

●手のひらの血流を使ったエネルギー効果説
特殊な能力や特定のメソッドを使わずとも、手かざし療法が実践できるのは、手のひらの血流に変化が起こるから、という説がある。
人は意識をある部位に集中させると、その部位の血流が促進されるという。
つまり相手に手をかざす行為は、自分の手のひらに意識を集中するという行為につながる。
その結果、手のひらの血行が良くなり血流が早く動く。
この血流効果は、手のひらから出る微量の電磁波をより増大させ、結果として遠赤外線のような効果を相手に与えるとする。

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