真霊論-魔術結社

魔術結社

魔術結社とは、魔術を実践・伝承するために秘密裏に構成される組織である。
大きい枠としては「秘密結社」という総称があり、その中の一群を指す。
秘密結社には、大きく二つ政治結社と魔術結社がある。
これらは歴史的に見ても互いに接触を行っている。
そのため、フリーメイソンのような秘密結社においても、執り行われる独自儀式などが存在しており、それらは多分に魔術結社の影響を受けているものである。
近代西洋における魔術結社としては、19世紀末にイギリスで創設された「黄金の夜明け団」(黄金の暁会、ゴールデンドーンなどとも訳され、GD団と略される)が有名である。
魔術結社のひとつの特長は、何かしらの「儀式魔術」のノウハウを所有しているか、もしくは、独自ノウハウの開発を試みている点にある。

儀式魔術・召還魔術とは

「儀式魔術」とは、「召還魔術」であり、霊的な存在との交渉・交流を目的とする魔術である。
召還魔術は、魔術の効果を最も強く出せる秘法とされ、それだけに扱える魔術師になるためには、かなりの修行・素質等が求められるとされる。
召還魔術において言う「霊的な存在」とは、神的な高次元存在、天使、悪魔、人霊、異星人、その他のエンティティなどが含まれる。
これらのうち、どういった存在を召還(儀式によって呼び出す)し、どんな目的を果たそうとするのかによって、その魔術結社の性質が決まってくるといえるだろう。
「黄金の夜明け団」などは、魔術を「古代から連綿と伝わる叡智」と位置づけ、その秘儀を継承しようとする点で、善悪を超えたニュートラルなスタンスの魔術結社である。

黒魔術・白魔術

これまでの歴史においては、創設者や参加メンバーたちの私利私欲を満たすための魔術結社も存在している。
こうした魔術結社においては、時に人や社会に不幸や災いをもたらすような、呪いにも似た魔術を行うことがある。
その場合に召還されるのが、俗に悪魔と呼ばれる存在である。
これら悪魔崇拝的な魔術結社なども歴史上実在し、こうしたグループは黒魔術(ブラックマジック)をメインとすることから「ブラック・ロッジ」と呼ばれる。
一方、社会的なメリットや人間の霊性の進化等を目的とした魔術結社は、白魔術(ホワイト・マジック)の使い手であり、「ホワイト・ロッジ」と呼ばれる。
魔術界においては、黒魔術を様々に駆使するには、悪魔界の頂点的な存在である「ルシファー」との契約が必要とされている。
ただし、この契約に成功をしたとされる魔術師がすべて反社会的な行為者かというと、そうではない。
一般に黒魔術はネガティブな行為とされるが、黒魔術を社会のためといったポジティブな効果のために使うこともできるとされている。
「黒魔術」などと言うと、最近では映画『ハリーポッター』を始め、ゲームやアニメ等の主題となることが多く、架空の話とも思われがちであるが、今現在も実際に、世界のどこかに「ブラック・ロッジ」、「ホワイト・ロッジ」が共に存在しているのである。

近代魔術結社の代表格「黄金の夜明け団」

「黄金の夜明け団」は1888年3月1日、ウィリアム・ウィン・ウェストコット、マグレガー・メイザース、ウィリアム・ロバート・ウッドマンの三人によって結社された。
最盛期には100名以上の団員を擁したが、内紛により1902年をもって黄金の夜明け団は、暁の星団(The Order of the Stella Matutinal)へと名を変え、歴史の表舞台から姿を消した。
構成メンバーには、その後大魔術師として魔術界に名を馳せた「アイレスター・クローリー」もいる。
教義はユダヤの神秘思想「カバラ」を中心に、オカルト結社「神智学」の東洋哲学、薔薇十字団の伝説、錬金術、エジプト神話、占い、グリモワール(魔術書・奥義書)などのエッセンスを習合させたものとされる。
所属メンバーを階級制にするなど、後の魔術結社のモデルともなった。

召還魔術と陰陽師

魔術結社が行う儀式魔術(召還魔術)の中には「使役術」もある。
これは例えば映画『ハリーポッター』の中でフクロウなどが使役されるように、動物や、その他の霊的存在を術者の意図に沿って自由に使役するようにする魔術である。
使役術は自分の意図を達成させるだけでなく、使い方によっては社会的なメリットをも得られるとされる。
例えば旱魃がひどい場合などは、自然精霊の使役によって天候操作なども可能であり、また、病気を治すための薬草作りなどにも応用ができるとされる。
この「使役術」は、平安時代に栄華を築いた陰陽師たちにも、その教えが伝わっていたことで知られている。
こうした相関関係から、儀式魔術のエッセンスを多く秘めるとされる「カバラ」の秘儀が、何かしらの形で陰陽師にも伝わっていた可能性が考えられるだろう。

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