「洗脳」と「マインドコントロール」はどちらも、「人間の思想体系・観念システムを目的とする方向へ導く」という共通のゴールを持ったものである。
その違う点は、手法の違いである。
「洗脳」は、対象者を「物理的に拘束し、暴力・薬物等の媒体などを使いながら、直接的に特定の思想・観念・意識等を植え付けるシステム」である。
例えば、インチキ宗教団体やカルト宗教団体などが、入信者を拘束し、様々な手法により教団側の思想をインプットさせることなどがその典型である。
また、対面型のサロン等に客を通わせ、カウンセリング等により高額を払わせるよう思想を導く、「神世界事件」で知られるような霊感商法にも、「洗脳」が使われている。
そもそも「洗脳」という言葉は、朝鮮戦争中にアメリカ人の戦争捕虜が受けたとされる「共産主義化」の尋問と、教化のパターンを指して生まれた言葉である。
一方の「マインドコントロール」の場合は、「物理的な拘束等は行われず、思想・観念・意識等を植え付けるシステム」である。
その典型例が教育である。
例えばある思想体系を持った教育機関があるとしよう。
そしてその機関が幼稚園から大学まで、ある一貫した教育を行えば、その学生には「ある思想」が自然と根付くものである。
また、テレビや雑誌などを使って、「ある思想を潜ませたブーム」を作ろうと考えたとしよう。
この場合、繰り返しテレビやメディアであるブームに関する報道を繰り返せば、多くの人たちが自然と、その「ある思想を潜ませたブーム」を受け入れていくようになる。
これが「マインドコントロール」である。
「洗脳」、「マインドコントロール」は、多くの場合、「かけられた対象者が不利益を被る」というネガティブな要因をはらんでいることが多いが、時には「人間の更生」、「犯罪の抑止力」等の社会に対してポジティブな結果となる活用もある。
「洗脳」が行われる際の主な手法を紹介しておく。
●拷問による洗脳
ここで言う拷問は何も肉体的な暴力だけではない。
例えばカルト宗教や霊感商法を行う団体、個人らが、被害者に対して行う各種の「言葉の暴力」も立派な拷問であることを忘れてはいけない。
・飢え、不眠、疲労
長時間にわたる不眠、飢え、労働、尋問などの環境を与えると、やがて人間の観念システムや理性は崩壊していく。
そのどん底まで追い詰めた後に、目的とする新たな思想体系をインプットする。
・脅迫、暴力
脅迫は言葉による暴力であり、脅し、罵り、蔑み、時にはウソの情報を与えながらターゲットを追い込む。
霊感商法を行う団体が最も活用する手法である。
・監禁、集団監禁
オウム真理教などの一部信者たちは、まさにこの状態にあった。
監禁には完全に孤立状態にするものと、逆に全体行動が個人に優先する状態を生み出すもの(集団監禁)がある。
どちらもターゲットに恐怖感を与えることによって命令に従わせるのである。
●薬物による洗脳
薬物によって精神や肉体に混乱を与える方法である。
特に精神に変調を与える物質が洗脳には有効で、薬物によって抵抗力を奪ったり、判断能力をマヒさせたり、逆に高揚感、恍惚感を与えたりすることで、思想を植え付けていく。
●催眠術による洗脳
催眠術はサブリミナル、つまり「潜在意識コントロール」の代表的なテクニックである。当初は医療に使われていた催眠術だが、軍事や諜報活動を目的とした研究も1920年代から始まったといわれ、世界的な暗殺事件のいくつかが「催眠コントロール下」で行われた可能性が非常に高いと言われている。
●その他の洗脳手段
・サブリミナル効果
音や映像等の中に、あるメッセージやイメージなどを潜ませ、それを無意識的に対象者の潜在意識の中に植えつけていく技術である。
・ロボトミー(脳切除)
前頭葉を物理的に破壊するとどんなに暴力的で反抗的な人間も従順にすることができる。現在は世界の多くの国で「ロボトミー手術」は禁止になっている。
日本では1975年以降は行われていない。
以下に、「神世界」という霊感商法集団が経営するサロンでだまされた人の告白を記しておこう。
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最初は1,000円の体験ヒーリングから始まりました。
それからは3,000円のヒーリングをしばらく続け・・・
確かに何かしら熱いものも感じたし・・・
知らない間にプチいいことが起きたらヒーリングのおかげ・・・と思っていました。今から思うとバカですね。
しばらくはみんなで3,000円のヒーリングを受けるだけで、中には今日はお金がないからといってサロンに来るだけの人もいました。それだけでも、「おこぼれ」といって、くるだけでもなにかしら効果はでるかもって言われてたからです。
それから数ヶ月お会主様の次に偉いといわれる先生がサロンに登場するようになり、ヒーリングも5,000円にアップ。
その先生が来るようになってから急速に宗教めいたことを発するようになり、挙句の果てには私とそのほか数名の人が会主様じきじきに呼び出され、スタッフの人から直接電話がありました。
「会主様が今あなたたちに会っておかないといけない!って思ってくださりました。この機会を絶対に逃してはいけません。10,000円でいいとおっしゃってくださってます。ぜひ会ってみていただかないといけません」って言われたのです。怖くなったのであるところで会うことに。。。
そのほかの人たちとは時間差でした。
まずは霊視鑑定で案の定、悪いこと言われました。「今すぐ何とかしないといけない! 先祖の中に悪行をした人のたたりがあなたに食いついている。今何とかしないとあなたの子供が危ない。そうならないためにあなたの子供の改名も必要!!早くライセンスだけでも取りなさい!!」てね。。。
さすがに怖かったのでライセンス(105,000円)をその場で購入。
そのほかの人たちもそうしたらしいです。
そしたら今度は、「除霊祭を特別してあげますから10,000円と御玉串料(1万円以上)を用意すること」といわれ、日にちまで言われました。そのときまでには神書(10,500円)も必要といわれたので購入しました。そのときは本当にマインドコントロールに陥っていたのだと深く反省しております。
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「強迫観念」を与えることで高額を引き出すように誘導しているのがわかる。
また「そのほかの人たちもそうしたらしい」と、集団洗脳的な要素が巧みに盛り込まれているのもわかる。
霊感商法の犠牲者の中でも、「なぜそんな大金を?」と一般の人が不思議に思うくらい高額を払っている犠牲者もいる。
そうなった人たちは、特に長い時間をかけて洗脳されてしまったケースである。
根深く洗脳をされてしまうと、もはや「別人」になってしまうのである。
こうした洗脳に対しては多くの対処法があるが、「霊感商法対策」として、主なものを挙げておこう。
・悪質商法やカルト宗教に関する知識を得る。
・「初回無料」等のイベントは要注意イベント。
・「なんとなく変だぞ」と感じたらすぐにその場を立ち去る。
・無料の話が有料になる等、勧誘の内容が変わってきたら、即座に断る。
・「あなただけ」「今回限り」などと言ってきたら危険である。
・恐怖心を煽ってきたら、直ちにその場を去る。
・専門性、信頼性を疑うこと。
・「悩み相談」は特に警戒すべきシチュエーション。
・見せ掛けの「やさしさ」「親身さ」にだまされないようにする。
・相手の使っているテクニックは何かを見抜く
・早い決断を避けること
洗脳(マインドコントロール)を利用した霊感商法に騙された人は人生を台無しにするほどの膨大な危害に及ぶ事が多い。
マインドコントロールとは様々なその人にとって不利益となる情報や人体的な痛み等の苦痛を与え続けたり、膨大な規則を徹底させることで人間の本来ある健全な精神状態を保てなくなるまでに追い込む事から始める。
その追い込まれた人間に規則や考えに従う事を命じ、それに屈するまで徹底的に苦痛を与え続ける。
逆にその規則や考え方に従うと賞賛し、その人の脳をコントロールしていく手法である。
まるで犬のしつけのような人間の扱いにより、その人間は服従する事に慣れ、服従する事が当たり前と思い始める。
最終的には、服従する事に快楽を覚え、言い成りになるのである。
国内で大きく取り上げられた事件としてはオウム真理教のマインドコントロールである。
この様なカルト集団は、今現在でも日本国内には多数存在し、マインドコントロールした人間から多額な金品の押収をしたり奴隷的な扱いを行い続けている。
また屈しなければ霊的災いを与える等の恐喝と洗脳を繰り返し、霊能者や除霊師として活動している者が多い。