「念力」とは、「念ずる力」を意味するが、この念力が「物体等に何かしらの影響を与える・作用する」ことによって超能力のひとつとされる。
英語ではPsychokinesisと綴り、「サイコキネシス」もしくは「PK」と略して呼称する。
「念力による現象」が起こった場合、その発生源の多くは、意図した生きている人間であるが、現象によっては必ずしもそうとは限らない。
例えば物が勝手に動いたりする「ポルターガイスト現象」の場合、生霊やその他の霊的エネルギーの発する「念」が念力の発生源と考えられる。
ちなみに超心理学では、「ポルターガイスト」を「反復性偶発性念力」と呼んでいる。
また、物体に作用をする念とは、物理・科学的に考えれば、「ある種の電磁波」となるため、念力の発生源としては、何かしらの電磁波を放出する電気器具類も、これに該当する可能性がある。
超心理学部、もしくは超心理研究が行われている大学機関などではこれまで、度々、念力実験が行われている。
実験モデルとしては「二つのサイコロを振り、念じた目を出させる」、「乱数発生器に念を送り数値を操作する」等である。
こうした超心理学者たちの共通見解としては、「人間の意識・念は物体に対してわずかながらも作用はする」という。
しかし、超心理学では「念力の物体作用」を認めたとしても、これが科学全体の結論ではない。
●念の直接作用・間接作用
「念力の物質への作用」としては、大きく二通りの結果があることが知られている。
ひとつは念力の「直接作用」である。
これは念力によって物質の形を変えたり、破損させたりすることである。
この場合、対象物に触れる場合もあるが、触れずにこうした現象が起こることもある。
例としては、スプーン曲げや、方位磁石を念で動かす、などがある。
対象物に対して「直接作用」を働きかけるような念力の持ち主は、多くの場合、超能力者といわれる類の人物であり、この念力は、天性・生まれつきのものであることが多い。
「ポルターガイスト現象」は、この念の直接作用によるものと考えられている。
そしてもうひとつは念力の「間接作用」である。
これは念写がその好例となる。
例えば2つのポラロイドフィルムを用意する。
一方には念を送り、片方には何もしない。
念写能力のある人がこれを行えば、念を送った方のフィルムには、何かしらの像などが写りこむ。
この場合、念を送ったフィルムも送っていないフィルムも、外見はどちらも同じ未使用のポラロイドフィルムであるが、その中身は違ったものになっている。
これは対象物の「物性」(物の性質)を変化させた「念の間接作用」である。
また、人にネガティブな念を送る「呪い」等も、念力の応用であり、念の「間接作用」を活用するものと言える。
何かしらの呪いをかけ、それが効果を見せると、相手に病気が発生したりするなどである。
一方で、ポジティブな念を送る行為は「祈り」と呼ばれる。
この場合も、それが効果を見せれば、相手の病気が完治したりもするのである。
人間の想念・意識力が、なぜ「念力」として直接・間接的に物体に作用するのか、科学的な解明はなされていない。
しかし、多くの超能力現象が実在するように、このことはもはや現象としては既成事実である。
そこで念力の発生するメカニズムを推論する、二つの仮説を提示しておこう。
●脳=コイル説
物体に作用する見えざる力の代表格は電磁波である。
そこで人間の念力をある種の電磁波と考える。
ではどこから電磁波が出るのかというと、人体組織がコイル状になった脳から出る、という推測である。
人が強く何かを念じた時、血流が早くなり脳を駆け巡る。
電流がコイルを通過すれば電磁場ができ電磁波が生まれるのと同じように、血流がコイル状の脳を巡り、電磁波ならぬ「念波」が出ると考えるわけである。
●霊的存在のサポート説
超能力者になると、念力によって物質を消したり、空間から物質を出現させたりも可能である。
このように念力で完全に物質コントロールができる能力などは、もはや人間独自の生体メカニズムの作用ではなく、何かしらの霊的な存在の力を得ている、と考える説である。
例えばヒンドゥー教の能力者たちは、物質コントロールをする際には、ハヌマン神に祈りを捧げるマントラを唱えたりする。
これはハヌマン神が時空を操る神だからであり、その力を借りることで物質のコントロールが可能になるのである。
これはほんの一例だが、超能力者や霊能力者など、特殊な念力の持ち主の場合、何かしらの霊的存在の守護・サポートを得ることで、強い念力を身に付けられるというわけである。