真霊論-ニューエイジ

ニューエイジ

ニューエイジは1960年代から米国西海岸を拠点として始まった、西洋と東洋の精神的文化の融合を目指した運動である。
ニューエイジが起こるきっかけにはいくつかの要因があった。
まず最初に「ベトナム帰還兵の社会復帰支援」だった。
ベトナム帰還兵の肉体的なダメージは、西洋医療でも補えるものであったが、精神的なダメージは従来の西洋医学では役不足だった。
そこでインドや東洋などからも思想体系を導入して、あらゆる角度からベトナム帰還兵たちの精神的ダメージやトラウマを払拭させる必要があったのである。
そのため、インドのヨガを筆頭に、中国の気功、台湾の道教他、宗教にこだわらず、さまざまなスピリチュアルな教えやボディ・ワーク(肉体的に実践するためのメソッド)などが、米国に集結し始めたのである。
他の要因としては、反戦運動に派生するヒッピーカルチャーなどの影響により、米国の若者層のキリスト教以外のスピリチュアルな教えに対する関心が高まったこと。
また、60年代当時は使用が合法だったLSDの幻覚性薬物のなどの使用により、変性意識等、人間の精神性・メンタリティへの探求意欲が大学研究者などの間にも沸き起こったこと、などによる。
米国発のニューエイジは現在では、ヨーロッパ、日本など、世界中に広がっている。

ニューエイジ情報の発信拠点、エサレン研究所

「エサレン研究所」は、1962年に米国カリフォルニア州のビッグ・サーに設立された、宿泊教育研修センターである。
このエサレン研究所の設立こそ、まさにニューエイジの始まりだった。
エサレン研究所の設立主旨は、西洋と東洋の合流、古代と現代、科学と宗教、学問と芸術の統合である。
ここで最初に行われたのは、「ゲシュタルトセラピー」などを始めとした、より精神性を重視した新たなカウンセリングの手法だった。
また、アメリカン・インディアン他、世界各地の先住民族たちの文化研究、各種心理学、瞑想、アート、シャーマニズム、ヨーガ、ボディワーク各種などが次々に導入され、世界中のスピリチュアル文化の情報集積地であり、また情報発信基地となっていったのである。

日本も席巻したニューエイジとチャネリング

60年代は心理学をベースにしていたニューエイジ運動だが、80年代以降は、交霊術などのスピリチュアリズムをも含有したものへと幅広く展開していく。
これはネイティブアメリカンのメディスンマン、その他先住民族のシャーマンたちが、「宇宙の存在たちとの精神交流」を行っていたことなどの影響によるところが大きい。
つまり、人間の霊との交霊のみならず、宇宙存在との交流=チャネリングというスタイルが可能であることがわかり、ニューエイジにおける重要テーマのひとつなったのである。このチャネリングを世界に知らしめたのは、ハリウッド女優シャーリー・マクレーンの著書『アウト・オン・ア・リム』だった。
90年が近づく頃、日本でもこの著者はベストセラーになり、また、同時期に来日したチャネラー(宇宙存在とのコンタクトを行う人)のダリル・アンカによる「バシャール」(地球外生命体の意識体)も日本で大ブレイクし、ニューエイジ旋風が日本でも吹き荒れることになる。
なぜバシャールがブームになったかといえば、宇宙哲学をわかりやすいポジティブ・シンキング論で展開したことが大きいだろう。
チャネリングによるメッセージは当時まだ日本人にはなじみの無いものだったが、バシャールの代表的なメッセージだった「ワクワクしましょう!」は、著名人にまでも浸透し、当時の日本の隠れた流行語大賞だった。

スピリチュアル・ブームのさきがけとしてのニューエイジ

ニューエイジが登場する以前の日本においては、霊の世界やスプーン曲げに端を発する超能力の世界、その他UFOなどの未知なる世界など、さまざまなテーマが分散してマスコミなどに取り上げられるだけであった。
これらの散らばった各点を、線で結びつなげていったのがニューエイジという言葉だったといえるだろう。
従って、ニューエイジには上記のどんなテーマも含有した、ワークショップやイベントが行われている。
さらには、前世療法やヒプノセラピー、アロマテラピー他、さまざまな代替医療分野をもニューエイジは取り込んでいくことになる。
こうして90年代に、ニューエイジ=スピリチュアルとして、日本で花開いたわけである。しかし、同じく90年代に起こった「オウム事件」によって、これらのブームは一旦は沈静化することになる。
その後スピリチュアルが再びブームになるのは、江原氏と三輪氏によるテレビ番組「オーラの泉」のヒットによるところが大きいだろう。

ニューエイジの落とし穴

現在も、さまざまな会社がニューエイジをテーマにしたセミナー、イベント、個人セッション(対個人での相談など)などを行っている。
ニューエイジという場合、主に外国人の講師が招聘されることが多い。
そのためか、イベントや個人セッションは高額な料金設定のものが多いようだ。
例えば、1日のワークショップで1万前後。
何かしらの資格認定のあるワークショップは、最低でも10万くらいはかかる。
講師に個人的に相談ができる個人セッションは、3万から5万くらいが相場のようだ。
人によっては、セミナーや個人セッションを中毒のように受けまくる人もいる。
しかし、その結果、必ずすばらしい恩恵が与えられるという保証はどこにも無い。
また、ニューエイジだからと言って、霊感商法と無縁であるという保証も無い。
従って、高額なイベント等に参加する際には、講師の人柄やイベント内容、さらには主催会社のリサーチなどを十分に行うことをオススメする。
頻繁に来日する講師などの情報は、インターネット上にも口コミ情報があるので、参考にするといいだろう。

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