13世紀頃(鎌倉時代中期)に日蓮が清澄寺にて興した宗派。法華宗、日蓮法華宗とも称される。根本経典は法華経。法華経の最勝を唱えたのは日本思想史上、聖徳太子以来。法華経は、自身の悟りのみ追求し他人を救おうとしない人々(これを二乗という 禅宗信者などのこと 二乗の人々は大乗仏教の教義では成仏できないとされる)さえも成仏できるという経典で、日蓮は法華経の教義に従い、題目「南無妙法蓮華経」を唱えることで人は即身成仏し、世界は浄土になると唱えた。
この題目の意味について解説すると、まず「妙法蓮華経」は鳩摩羅什が法華経の八巻二十八品目の題名(サッダルマ・プンダーリカ・スートラ)を漢字で当て字したもの、つまり法華経の翻訳題である。「南無」はサンスクリット語では「ナモ」「ナーモ」「ナマス」等と発音し、仏に帰依するという意味。つまり題目の「私は法華経の教えに帰依します」ということを意味する。因みに「妙法蓮華経」でも題目という意味であるが、一般的に「南無妙法蓮華経」の七字でのみ題目と呼称する。仏教では五・七の数を神聖視するため漢訳された経典は五音・七音であることが多い。
また日蓮宗は、他の鎌倉新仏教と同様に、世は末法(仏教が正しく理解されず誤った思想に人々が苦しむ)時代に突入していると見做した。よって「真言亡国、禅天魔、念仏無間、律国賊」(これを四箇格言という)と激しく他の宗派を攻撃した。その上国難を予言したため、政教両界から徹底的に迫害された。開祖日蓮は伊豆・佐渡国に流罪になっている。
現代では身延山久遠寺を総本山とする宗教法人・日蓮宗を指す場合もある。久遠寺は、日蓮が晩年こもり弟子の育成に努めた場所。日蓮正宗とは区別される。
また現在の創価学会が日蓮正宗より分裂して独自の法人格を取得した事が有名である。