予知夢とは、未来に起こる事象を夢の中で見てしまう現象を指す。
日本では同類の言葉として「正夢」がある。
夢の中に誰かが現われて警告などを行う「夢のお告げ」と呼ばれる現象も、予知夢現象の一つである。
また、夢で見た事象を、未来において本人がそのまま体験する「デジャ・ビュ現象」も予知夢現象の一つである。
超能力者や霊能者といった特殊能力の有無に関わらず、多くの人が予知夢を経験しているが、意図的に予知夢を見れる人は歴史上ごくわずかである。
これまでに正確な予知夢の記述をしたとされる人物には、エドガー・ケイシー、ジュセリーノ、アリソン・デュボア、クリス・ロビンソンなどが知られている。
人間が夢を見るのは、浅い睡眠状態である「レム(REM)睡眠」中がほとんどである。
心理学・大脳生理学において夢とは、このレム状態の際に、体験の記憶の断片を脳がフラッシュバックさせて合成して作り上げている「仮想の事象」だとしている。
しかし実際には、夢に誰かが現われて未来を告げる「夢のお告げ」が現実化したり、夢で見た光景・事象を本人が体験する「デジャ・ビュ」が数多く起こっている。
こうした予知夢現象が起こるひとつの仮定として、「アストラル・トリップ説」がある。これは人間のアストラルボディと呼ばれるエネルギー体が、睡眠中に抜け出して、アストラル界と呼ばれる仮想次元で何かしらの体験をしてくる現象を指す。
このアストラル次元は、多層構造を持っているが、稀に肉体が体験している時間軸の未来を垣間見てしまうことがあると言う可能性が指摘されている。
また「夢のお告げ」も、このアストラル・トリップによって、高次元にアクセスした結果であるという仮説もある。
臨死体験者も同様のアストラル・トリップを体験することが知られており、従って、臨死体験から生還した人が、正確な未来予知を行ったと言う現象も実際に確認されている。
ブラジルのジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルースは、「世界中で起こるさまざまな事象を予知夢の中で見させられている」ことで知られている。
ジュセリーノが見る夢の多くは、大災害や大事故、あるいは有力者や著名人など影響力を持つ人にまつわる凶兆などが多く、中には地球全体の未来に関わる事象などもある。
こうした夢を見た際にジュセリーノは、すぐさまその内容をメモする。
そして対象者となる人物の名前、その事象が起こる日時・場所などのデータを夢の記憶から分析した後、「警告書」として、本人や関係者などに郵便で送るという活動を行っている。
このジュセリーノの能力の真贋については、賛否両論ある。
そのことについては後に触れる。
ジュセリーノの睡眠状態には、ある特殊性があることがわかっている。
来日した際に日本の科学機関がジュセリーノの睡眠状態を調べたところ、ジュセリーノは1回の睡眠の間に、多い時で10回ほどの「レム睡眠」状態に入ることがわかった。
専門家によれば、通常の人の場合、多くて2,3回なので、この検査からジュセリーノが普通の人よりも「夢を多く見やすい脳波状態にいる」ことがわかると言う。
筆者は何度か、ジュセリーノに会って、直接いろんな話を聞いている。
ジュセリーノはまず1本夢を見たら、起きてすぐにメモをするそうだ。
そしてまた寝て、他の夢を見たらまた起きてメモをする。
こうした生活をもう何十年も続けているそうだ。
本人いわく「これはもう子供の頃に同意した、いわば神との約束。ですから誰が否定しようと、私は自分のミッションを続けるだけです」と語っていた。
ジュセリーノが発信する予知夢からの警告を、信じるか信じないかは、受け取り手次第であろう。
パリにある通称「奇跡のメダイ教会」は、奇跡を起こすと言うマリア様のロザリオ、ペンダントヘッドで世界的に有名である。
このメダイ(マリア様が彫られたペンダントヘッド)が誕生した背景にも、予知夢が大きく関係している。
1830年にフランスのシスター、カタリーナ・ラブレ のもとに聖母マリアが現れ、このメダイの製作を依頼し、現在にも伝わる奇跡伝説が始まった。
メダイをすることで、多くの人が救われるように祈りが込められたもので、現在でも希望者には無償提供されている。
このカタリーナ・ラブレ がシスターになったのは、彼女が見た夢がその発端となった。
12歳のある晩、カタリーナはこんな夢を見る。
夢の中で彼女が教会でお祈りしていると、一人の年老いた神父様が現われる。
そして神父様はこう語る。
「あなたはいつか私を見つけるでしょう、神さまはあなたに託す一つの計画をもっておられます」。
その後18歳になったときに、訪れたとある町の修道院の玄関に見覚えのある神父様の肖像画が飾ってあったのを発見する。
「この神父様はどなたですか?」と聞くと、シスターは「この方は愛徳姉妹会を創立された聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ神父様ですよ」と答た。
そして23歳になったとき、念願が叶いカタリーナは、愛徳姉妹会のシスターとなり、その後何度もマリア様との幻視体験を重ねるのだ。
この奇跡伝説をより強固なものにしたエピソードがある。
それはカタリーナの亡骸が腐敗していなかったという事実だった。
湿気の多い地下墓地に埋葬されていたカタリナ・ラブレ修道女の遺骸は、死後56年たって発掘されたが、死体に腐食の後が一切見られず、その美しい姿は、現在でも「不思議のメダイ教会」で参拝することができる。
予知夢とは、未来の出来事を予想させるような内容の夢のことを言う。「正夢」と呼ばれる場合もある。
大別すると4種類に分類される。
1. 正夢・逆夢
ごく近い未来に起こる出来事を忠実に予知・再現している夢のこと。
映像はカラフルで、音もはっきりとしていて記憶に残りやすい。目覚めたとき、現実と夢の区別がつかないくらい、夢にインパクト・現実感があり、不思議な感覚に襲われるのが特徴と言える。また、起こる事象を象徴するような場所、イメージ、シーン、色、数字、音などが繰り返し出てくる、またはより強い印象を持って記憶されるという傾向が強い。身近な人の死、事故、馬券や宝くじの当選などがよく見られている予知夢である。
これは偶然ではなく、動物的感覚(生存本能)や・第6感などがはたらいて見せられるというケースが多い。
正夢を見たときには、まるで現実にその出来事が起こったように疲れが出る。例えば走り回る夢をみたなら、足が何故かくたびれている・筋肉痛に使い状態になっている等の現象が起こる。その他、夢と言うのは普通前後の整合性が薄く、「自分の住む町を歩いてふと角をまがると、何故か外国の見知らぬ場所へ出た」のようなことはしばしばおこるが、正夢であるときは時間・空間の感覚は現実とほとんど変わらず、夢特有の、「とびとびに事象が現われる」という状態が出るのはまれである。
また、夢の中で起こったことと正反対の現象が起きる夢のことを逆夢と言う。これも正夢と同様に、時間の流れや、空間・身体状況などは現実感覚の濃いものが多い。ただ逆夢は「実際に起きてほしくない」ことをあえて夢の中で起こすことにより、あらかじめ危険を意識化に表層化させるという、明快な生存本能・危機意識によって見るのでは、と推測されている。
2.象徴夢(典型夢)
色や形、数字、季節、天気、場所などを比喩的に扱い、明快な予知ではなく象徴、イメージによって未来に起こる出来事を間接的に表現している夢のこと。一般的に一番よく見られている予知夢である。
象徴夢には2種類あって、本人・あるいは身近な人の内面や心身の状況をあらわしたものと、近未来・または現在進行形の出来事の行く末をあらわしたものとがある。例えば、母親が嵐の海へこぎ出していく、という夢をみてしばらくすると、母が不治の病に侵された、と言うようなケースである。
しかし、読解がやや難解なせいか普通の夢として流されてしまうことも多く、予知夢と受け止められる人は少ない。
3.デジャヴ
デジャヴとはフランス語で、日本語では「既視感」の意。
今まで全く経験をしていない事象にもかかわらず、あたかも見たことがある、もしくは自分が経験したことがあるような感覚に襲われること。
デジャブの大きな特徴は、「かつて、確かにこれを見た(聞いた・感じた)覚えがあるのだが、どこでそれを経験したのかを思い出せない」と言うような妙な感覚に囚われてしまうことだ。この「かつて経験した感覚」は、夢の中で行われているのでは、と推測される。
これは心理学者ユングにより実証されている、集団的無意識から記憶が呼び起されているとする説もあるが、定かではない。また、単なる度忘れやアルツハイマー、年齢・性格による忘れっぽさを原因とするのも違うようだ。デジャヴを見たものは、「証拠はないが、かつて経験した感覚が強くある」と主張する。いずれにせよ、原因はいまだはっきりと解明されていない。
4.霊夢
守護霊や天使などからメッセージを伝えられる夢のこと。 霊夢は目覚めたとき、妙にすっきりしている、あるいは自分も霊的存在になったような現実感の薄い感覚になり、内容は細かいところまでよく覚えていることが多い。色彩は鮮やかなカラーで構成されている。
予知夢を見る理由は実際のところはっきりと解明されているわけではないが、現在推測されているものは以下の2つである。
【無意識の整理と予測】
日々の生活の中で、人間の脳には実に多くの記憶が蓄積されている。しかし、普段からよく使われるごく一部のものしか表面上には出てこない。我々は、自分が思っているよりもずっと多くの物事を、意識することなく記憶の海に沈めている。勿論私達はもっと沢山の物を見て、観察し、無意識のうちに記憶の海へと沈めているのだ。
睡眠時、脳はその膨大な記憶を、夢を見ながら整理する。それを元に、自分の現在や将来について、希望の達成や危機の回避をするために策が練られ、さまざまな予測が行われると考えられる。そこでは無意識の内に記憶した事象も用いられ、夢として表現される。要するに「知らないことを夢が教えてくれる」というよりは「綿密な片づけの結果、見えたこと」という科学的なものなのではないか、と推測される。
【アカシック・レコードからの贈り物】
スピリチュアルな世界では、人間の潜在意識には、過去・現在・未来の全てのデータが記録された「アカシック・レコード」と呼ばれる部分が存在する、と言われている。深い眠りに落ちたとき、人生の光明や、使命・運命などについてアカシック・レコードがインスピレーションを与えてくれるらしい。霊性の目覚めた人や感受性の鋭い人はそこへアクセスし、夢の中でさまざまなヒントを受け取っている。
<予知夢を見る方法>
●夢を記憶してメモする
予知夢を見る方法の基本は、「夢の内容を把握すること」である。
これは簡単なようでいてとても難しいことは、多くの人が毎日体験しているだろう。
個人差はあるが、夢はよほど「印象的」でなければ、目覚めると忘れてしまっている。
そこで枕元にノートとペンを用意しておき、夢を見た後、できればすぐにそれをメモするという習慣を作るのである。
予知夢が予言の源泉となっているブラジルの能力者、ジュセリーノ氏の場合、一晩の睡眠で10回程度の夢を見るのだが、その際、「夢を見るごとに1回1回、起きてメモをする」と語っている。
●夢日記の分析
夢のメモは心理学では「夢日記」と呼ばれている。
予知夢を見るためには、まず夢日記を分析してみることである。
特に「何度も出てくる現象、象徴、人物」などの、「夢に登場する頻度の高いもの」が無いかどうかのチェックを行うのである。
例えば、予知夢で有名になった実例で、ある男性が「自宅の庭から温泉を掘り出した」というケースがある。
この男性は何度も「自宅の庭から温泉が出る」という夢を見た。
そしてある日、周囲の反対を押し切り、意を決して本格的に自宅の庭の掘削作業を行ったのである。
その結果、本当に夢の通りに温泉が湧き出て大富豪になったのである。
これは「夢に頻出する現象」を信じた結果である。
●ガイドの存在をチェックする
夢日記のチェックにおいて重要なのは、「ガイド的存在」のチェックである。
「ガイド」とは、夢に頻出する人物・存在のことである。
印象に残った夢に、共通して出てくる人物のようなものはいないだろうか?
もしいたとすると、それがあなたの霊的なガイドである可能性もある。
これはジュセリーノ氏も認めており、「予知夢である場合は、ガイドが現われて夢へと案内する」と語っている。
もしあなたのガイド的な存在がわかれば、とてもラッキーである。
以降の夢からは、その人物に注目し、さまざまなコミュニケーションを取ることで、より自分が見たい予知夢を見るように夢の時間をコントロールできるからである。
●「明晰夢」で予知夢を見る
「明晰夢」とは、「自分がコントロールする夢」である。
夢は自分が様々にコントロールし、デザインできることが心理学研究からもわかっている。
「明晰夢」は、夢を見ている際に「これは夢である」と、夢の中で気づくことで始まる。もし「これは夢だ」と明確に自覚でき、それでも夢の中にいたとしたら、それ以降の夢は「自分が思いのままにデザインできる」のである。
そこで夢が「明晰夢」になったら、「自分のガイド」を登場させ、「予知夢を見たい」と夢のデザインを始めてみるのである。
もちろんこの場合、自分の潜在意識でデザインするのでは単なる「願望・欲望の世界」になってしまう可能性が高いため、ガイド的存在に「未来を見せて欲しい」等とリクエストするだけにする方が望ましいだろう。
これに成功すれば、「明晰夢」を「予知夢」に変えることが可能である。
ただし、「明晰夢」は、「夢である」と自覚した瞬間に覚めてしまうことが多いため、毎晩の訓練が必要である。
この場合、「夢ある」と自覚できたら、「夢の中の何かに手でつかまることで夢の世界を持続させる」のがコツである。