真霊論-地に足のついた生活を~悪徳霊能者・霊感商法にだまされないために

地に足のついた生活を~悪徳霊能者・霊感商法にだまされないために

スピリチュアルと出会ったことで人生が変わったという読者は多いはずだ。
マスメディアによるスピリチュアル関連の報道の仕方には、たしかに問題点も数多く存在する。過剰にエンタテインメント性を重視していたり、さほど有能とはいえない霊能者を出演させていたりなど、誤解を招くようなことも多い。
それでも、一人でも多くの人たちがスピリチュアルの素晴らしさに目覚めたのであれば、近年のブームにも一定の意味はあったといえるだろう。
しかし、プラスの方向へ人生が変わったのであればよいが、なかにはマイナスの方向に人生が変わってしまったという人もいるかもしれない。
悪徳霊能者や霊感商法の存在である。
スピリチュアルの効果が広く知れわたれば知れわたるほど、こうした悪徳業者も増える。
かつて、1980年代の終わりに新興宗教ブームがおとずれたときにインチキ宗教が乱立したが、あれと同じ構造だ。
最近話題になったニュースを交えながら、悪徳業者にだまされないための対策を考えていきたい。
人気キャスターが霊感商法の広告塔となっていた
霊感商法関連の報道で、最近最も注目をあつめたのは、フリーアナウンサーの宮根誠司の一件だろう。
宮根といえば、現在最も勢いのあるフリーアナウンサーである。
もともと朝日放送(ABC)の局アナであった宮根は、ワイド番組などの司会で知名度をあげると、2004年3月に退社、フリーへと転身した。
以後も関西地区では引っ張りだこで、「浪速のみのもんた」との異名をとるようになる。
2006年からは帯ワイドショー『情報ライブ ミヤネ屋』が放送開始される。当初は関西ローカルの番組だったが、これもすぐに人気番組となり、2008年からはネット局が全国に拡大された。
同時間帯の視聴率は関東でも関西でもダントツの1位であり、文字どおり宮根はお昼の顔となったわけである。
そんな宮根が、霊感商法の広告塔をしていると報じられたのである。
ただでさえ、芸能人は影響力が大きい。
好きな芸能人が宣伝をしているということでその商品を買おうとする人もいるだろうし、この人が宣伝しているならという安心感をあたえることにもなる。だからこそ広告契約には高い報酬が支払われるのであり、その分責任も大きいということになる。
これが悪徳商法の宣伝であるとすれば、広告塔となった芸能人は、その悪徳商法の片棒を担いだことになるのだ。
過去にも、歌手の細川たかしや長山洋子など、マルチ商法などの広告塔をしていたことがわかって糾弾された芸能人は多い。被害者からすれば、この道義的責任を追及する声が出てくるのも当然である。
だから、悪徳団体とは知らずに広告塔になっていた場合でも、彼らは謝罪をするケースがほとんどだ。それが広告に出ることの責任なのである。
まして、人気ワイドショーのキャスターをしている宮根となれば、責任追及は免れないだろう。
かつてのような地方ローカルのフリーアナウンサーであるならば、そこまで騒がれることもなかっただろうが、今や日本中の誰もが知る立場となったのだ。
そしてワイドショーこそ、こうした芸能人のスキャンダルを強く追及するメディアでもあるはずだ。日本で最も視聴されているワイドショーのキャスターという立場は、視聴者からすれば、公正であり信用に足る人間だということの証明でもある。
また、ワイドショーの視聴者層の多くは中高年女性だ。この層は、最も購買力の大きな層でもある。
つまり、宮根が霊感商法を宣伝していたとするならば、被害の大きさもかなりのものになりうるということである。
霊感商法に没頭することのおそろしさ
事実関係はどうなのだろうか。
2月9日発売の週刊文春によれば、事の発端は、宮根の実母がとある霊感商法団体を熱心に信奉していることにあるのだという。
この団体は「エヌ・インターナショナル」といい、風水を利用した家相鑑定をメインにおこなっている。定期的に風水セミナーを実施しており、参加者は自分の家の図面を持参することになっているのだ。
そのうえで、参加者の不安を煽るような鑑定結果を出し、高額な風水グッズを売りつけているのようである。
販売されているグッズを具体的に挙げると、1本1000円の「運気が上がる水」(部屋の四隅に置くことが推奨されているため、実質的には4000円)だとか、1枚15万円のエネルギーをあたえてくれる金属板(家のなかに24個設置することで効果が最大限に発揮されるとされているため、総額では360万円)といった品々だ。
さらに、ここでは紹介者にもお金が分配される仕組みにもなっている。つまり、霊感商法とマルチ商法との合わせ技なのである。
宮根の母も、もともと風水セミナーに通ったことでエヌ・インターナショナルと出会ったようだ。そして上記の水や金属板も購入しており、その効果で孫(=宮根の子)が生まれたのだと信じているという。
このことはエヌ・インターナショナル側にも報告されているようで、そうした証言が広告として使われている模様だ。
こうした指摘に対して、宮根本人は「全然知らない」と答えている。
本当に無断で宮根の名前が使用されているのならば、本人としてはむしろ被害者の側となる。身に覚えがなければ徹底的に反論すべきだろう。
ただ、母親がエヌ・インターナショナルに傾倒していることは事実のようであり、母の判断でなされたのだとすれば、宮根も強くは出られないのかもしれない。
古くより、家族のトラブルによって足を引っ張られる芸能人は多い。宮根もこのケースだとするならば、同情の余地はある。
しかし、一部証言によれば、宮根の自宅にも多くの風水グッズが存在するともされる。
芸能人がスピリチュアルに傾倒しやすいことは周知のとおりだ。
つい最近も、オセロの中島知子が霊能者によるマインド・コントロール下にあることが報道されたばかりである。ほんの数年まえまで、見ない日のないほどテレビに出ていた中島でさえ、霊能者にはこれだけ依存してしまうのである。
どれだけ高い人気を誇ろうとも、いつ転落し仕事がなくなるかわからないのが芸能界だ。人気や流行という科学では推し量れない世界で生きる彼らが、同じように科学では解明できないスピリチュアルの世界へ没頭することは不思議なことではない。
とはいえ、本人が信じるだけならさほど問題はない。心から効果を信じているのであれば、自分の財産を自分のために使うのは自由だし、自分の意志であるかぎり第三者がそれをやめさせることもできない。
ただ、広告塔になるということは次元の違う話である。自分のファンや支持者を売っているのと同じなのだ。
正しいスピリチュアルと悪徳業者を見分けるには
こうした事例があると、スピリチュアルにネガティブなイメージを抱いてしまって、敬遠するようになる人もいるかもしれない。
悪いところに捕まってしまうと、数百万単位の金銭が簡単に飛んでいってしまうだろう。
ただ、悪いのは、あくまでもスピリチュアルを食い物にしようとする悪徳霊能者や霊感商法団体であって、スピリチュアルという概念そのものがいけないわけではない。この点を誤解しないようにしたい。
だまされないようにするための最善策は、信頼できる人からの紹介だからといって、安易に信じてしまわないことだ。自分のことは自分の深層心理にしたがって決定すべきである。スピリチュアルの基本理念はこれだったはずだ。
そして、「すぐにお金を要求する」ようなカウンセラーや霊能者、業者に注意をすることである。
人生を豊かにするためには、なにも、必ずしも高価なグッズに頼る必要はないのだ。
心のもちようだけでも内面が変わり、それが外面にまで影響するのだということは、これまでにもこのブログにおいて解説してきたとおりだ。
もちろん、なかには実際に効果のあるグッズもあるかもしれない。場合によっては、良い気を得るためのチャンスをみすみす逃すことにもなる。
だが、金銭にものをいわせて幸運を得ようとする行為が、はたしてスピリチュアル的に健全なのかどうかを考えてみるとよいだろう。
スピリチュアル・グッズを買うならば、日常生活に影響のでない範囲の出費におさえること。この意識をもちつづけることが重要である。
地に足のついた生活をできない人間は、どれほど大きなエネルギーを外部からもらおうとも、結局はエネルギーに振り回されるだけなのだ。身の丈の幸せこそが本当の幸せといえるはずである。