占いサイトを入り口にした振り込み詐欺
占いサイトの名を語った悪質な詐欺サイトが増加している。
運気アップ中とおだてて、数十万だまし取る
とある長崎県在住の20代女性は、占い情報を提供するというサイトに登録した。同サイトで提供されている無料占いを楽しむためだ。
占いでは「今は運気アップ中!積極的に行動して吉」などと幸運を匂わせる結果が出たとのこと。
その直後、「○○さんの絶好調の運気を分けて下さい。内職をしませんか? 僕の話し相手になってくれたら、御礼として○万円お支払いします」と書かれたメールが同サイトより到着。続けて、サイト業者を思わせる文面で、報酬を受け取るためには手数料がかかる、という内容のメールが送られてきた。すっかり信じた女性は、数度に分け数十万円を支払ったという。
しかし何度問い合わせてもサイトより支払いは行わなかった。不振に思った女性が消費者センターへ相談した結果、この事実が発覚した。
悪い運気で不安にさせるケースも
このように、昨今ではいわゆる「振り込み詐欺」への勧誘方法が巧妙化している。まず人気コンテンツである占いを悪用、そこへ不況・就職難・先行き不透明な世相などを巧みに混ぜ込み、内職などをちらつかせ誘導するというものだ。
また、悪い運気で不安にさせてだますケースもある。出会い系サイトをリンクさせたものだ。
ある女子大生は、登録料数百円の有料占いサイトを利用していた。恋人との相性占いや来るべき就職に際して仕事運などを鑑定し、楽しんでいた。
利用を初めて数日後、「あなたの運気が気になります」と当サイトの占い師を語る人物からメールが届いた。「あなたは今までにないタイプの運命の持ち主です…吉と転ずるか凶と転ぶか、とても危ういものを抱えている」と書かれていた。不安に思った彼女は記載されていた占い師の専用サイトにアクセス、登録を行った。するとそこは出会い系サイトで、登録料と称し十数万円の請求が。支払いが遅れたら学校や家庭へ連絡すると再三脅され、泣く泣く提示された金額を支払ったと言う。
占いサイトを装った出会い系サイト
かつて「出会い系サイト」と呼ばれるインターネット上のマッチングシステムは、異性を紹介する、有料メール交換の仲介するサービスだった。サイトの会員に登録し、そのプロフィールなどから興味を示した異性からリアクションがあると、サイトの管理者が本人へメールで一部を開示・連絡をする。そこに併記された専用URLをクリックすると相手から送られてきたメッセージ全文が読める、というシステムだ。これらは利用料金設定が不明瞭なため、金銭トラブルや性犯罪などの温床となり、社会問題化していた。そのため、以前に比べると利用者側の警戒心やリテラシーが高まっている。
被害メールや振り込み記録は、保存しておく
これを受け、「出会い系サイト」はその目をかいくぐるように新たな方法で利用者を獲得しようとしている。占いや内職・収入などを装った振り込め詐欺や出会い系サイトについての相談は、平成18年度は300件程度だったが、22年度は5371件と急増した(消費者センター調べ)。
特徴は女性の相談者が多く、約7割を占める。これまで出会い系と縁の薄かった30―50代が中心だ。中には被害額が3700万円に及ぶと言う高額詐欺のケースもあると言う。
占いサイトのみならず、在宅ワークサイト、内職あっせん、また懸賞サイトなどでもこのような例が報告されている。基本的にはサイトへ違法性などを訴えても知らぬ存ぜぬで、それどころか更なる請求を行い泥沼になるパターンもある。
国民生活センターは、インターネット利用時の危機管理の徹底を呼び掛け、「もし被害に遭った時には、メールや支払いの記録を保存し、近隣の消費生活センター・弁護士会などへ相談してほしい」と語っている。