先週末の1月14日と15日、2012年度の大学入試センター試験が全国各地の会場で実施された。55万6000人もの受験生が挑戦したこの試験結果は、全国の約1500もの学部入試において利用されることとなる。
センター試験が終了してからは、いよいよ本格的な受験シーズンの到来だといえる。
私立大学の一般入試は早いところで1月下旬からはじまり、3月の半ばごろまでつづく。国公立大学では2月下旬に前期試験があり、3月中旬に後期試験がおこなわれる予定だ。
これからの数か月は、受験生にとって非常に重要な時期だといえよう。
安泰といえる職業がほとんどない不景気の現在、受験の結果がそのまま一生の行方ををきめてしまうという時代ではもうないかもしれない。しかしそれでも、受験が人生の選択肢に大きな影響をあたえることに変わりはないのである。
こういった大事な節目の際には、頼れるものにはなんでも頼りたいと考えてしまうのが人情だろう。ふだんはけっして敬虔な信徒とはいえない人々であっても、受験の直前や就職活動中などは神頼みをすることが多い。
そこで今回からは、数回にわけて、スピリチュアル的な観点からみたさまざまな受験対策や合格祈願について紹介していきたい。
今まさに受験のまっただなかだという若い読者も、受験生を子どもにもつ読者も、この記事を参考に最善を尽くしてもらえると幸いである。また、今年は関係なくとも、来年以降に自分もしくは家族・友人などが受験をひかえているといった読者にも、今後のためにぜひ目をとおしておいてもらいたいところである。
受験勉強には精神面の充実も必要
この時期いちばん大変なのは、誰よりもまず、受験する本人である。
志望校に合格するためには、直前ともなれば寝る間も惜しみ、一日に10時間以上勉強することもめずらしくないかもしれない。
そうなると、受験は学力のみの戦いではなく、体力や健康面での戦いだともいえる。
また、周囲からのプレッシャーもあるだろう。自分自身のプライドとの戦いもあるはずだ。さまざまな面に気を張り巡らせなければならないため、その緊張感はすさまじいものとなる。
実は受験における失敗の原因としてかなり多いのは、精神的な疲労からダウンしてしまうことなのである。疲れすぎていてはモチベーションもあがらず、勉強が疎かになってしまうだろう。そうして怠けてしまったことによって、ますます自己嫌悪に陥るという悪循環を招く可能性もある。
問題集を解くことと同じぐらい、精神面での充実を図ることも受験には大事なのである。
その面でのケアなしには、この時期を乗り切ることはできない。
勉強する際の対策
スピリチュアルの観点からみた受験勉強対策は、主に3つのポイントに集約することができる。
(1)勉強に対するモチベーションを保ちつづけること
この(1)に関しては、一般的な受験対策においてもよく取り上げられるため、知られている対処法も多いのではないだろうか。モチベーションがなければそもそも勉強がはじまらないのだから、無視することはできない。
たとえばよく知られるのは、寝室の壁や天井など、朝起きてすぐ目に入る場所に大きく目標を書いて貼っておく方法である。また、勉強机の正面に書いておくのもよいだろう。このとき、その目標は具体的であればあるほどよい。
また、「春に志望校の校門をくぐる自分」の姿を毎日強く想像するという方法も有名だろう。これも、景色や小物などのディテールが具体的であればあるほど効果を発揮する。高校受験の場合であれば、その志望校の制服を見ることもよい。
これらはいずれも、自分で自分をだますための方法である。
強い想像を繰り返すことで、人間は自分自身に自己暗示をかけることができる。やがてその暗示は現実にかわるだろう。精神は本来、ありたいと思う自分であろうとするものだからだ。心身両面において気持ちよい状態であろうとするのが自然なのである。
保護者側の対応としては、怒鳴ったり命令したりしないように留意しながら、上手に勉強をするよう促すことが求められる。
これは各家庭の教育方針によって対処が変わってくるものであり、一概にはいえないが、モチベーションを削ぐようなことだけはしないというのは一致している。たとえば、すでに本人が自分なりの勉強を終えて休憩しているときに口うるさく勉強するよう言うというのは、完全な逆効果だといえる。
また、教育的観点からはあまり推奨されない方法だが、「ご褒美で釣る」という方法は心理学的な側面からは確実に有効である。
「勉強をさせよう」と考えるよりも、「よいイメージを抱かせる手伝いをしよう」という心構えをもって接すれば、受験生をよい方向へ導くことができるだろう。
(2)プレッシャーに耐えうる強い精神力をもつこと
つづいて、プレッシャー耐性を養う方法である。
まず誤解してはいけないのは、プレッシャーに負けないようにするということは、けっして緊張しないということとイコールではない点だ。
最初に述べたとおり、受験はそののちの人生に大きな影響をあたえるターニングポイントである。これだけ重要な大舞台をまえにすれば、程度の差こそあれ誰でも大なり小なり緊張はするはずである。緊張すること自体はまったく問題ない。
肝心なのは、そのプレッシャーに押しつぶされないようにすることだ。
適度な緊張はむしろ、集中力を研ぎ澄ませ、思考能力を上昇させることにもつながるだろう。プレッシャーに耐えるというのは、いわば、プレッシャーをコントロールして味方につけるという意味なのである。
そのための最善の対策は、緊張に慣れることである。
通常、勉強は家や学校や学習塾など、きまった場所ですることが多いものだが、試験会場はいつもの勉強場所ではない。ふだんから、たまには慣れない場所で勉強するようにすることもよいだろう。また、試験本番と同じ鉛筆や消しゴムを用いて勉強するのもよいかもしれない。
受験まえには生活のサイクルが乱れがちだが、試験当日と同じ時間に起きる癖をつけるというのも有効だ。同じ時間から勉強をはじめて同じ時間に食事をとることで、頭がはたらくべき時間を覚えてくれるのである。
具体的なイメージトレーニングをするというのもよい。
学校説明会等で実際の試験会場を覗くことができているならば、詳細を鮮明に記憶にやきつけておいて、毎晩眠るまえに目をつむって試験当日をシミュレーションしておこう。たったこれだけのことでも効果はある。
保護者側の心がけとしては、過度なプレッシャーをかけないことが望ましい。「落ちたらどうするんだ」といったようなネガティブな言葉で受験生を追い詰めるようなことは逆効果である。
もっとも、子どもの性格をいちばん把握しているのも親であるはずだ。プレッシャーに強い性格の子どもであるならば、多少のプレッシャーはモチベーションに変わることもある。
本人の性格を見極めたうえでの対処をしたい。
(3)メンタル面での健康を維持すること
これは(1)および(2)とも通じる点であるが、精神的に健康でなければなにもはじまらないのである。
この点への対処は、しっかりと休息をとることに尽きるだろう。
試験直前ともなると、休む暇も惜しんで少しでも頭に知識を詰め込みたいと思ってしまう気持ちはわかる。だが、心が疲れていては頭のはたらきも鈍る。それでは、いたずらに時間と体力を消費するだけで、結果的にはマイナスしか残らない。
時間を消費するかわりにしっかりと回復をするほうが、長期的には絶対に得策であることを肝に銘じておきたい。
また、疲弊した精神では、悪いイメージも浮かびやすくなってしまう。ポジティブなイメージを浮かべつづけることはエネルギーがいることであり、ネガティブなほうへ流れたほうが楽だからだ。
根を詰めて勉強しすぎるとノイローゼ状態になるというのは、こういった精神の仕組みなのである。
たしかに受験勉強は、多少の無理をしなければ成り立たないものだ。だが、無理をしすぎると、心も体もいつか必ず反発がくる。それを防ぐためには、無理は少なければ少ないほうがよいし、毎日少しずつガス抜きをしておけばよいのである。
絶対に見たいテレビ番組がいくつかあるならば、それだけは我慢せずに見ればよい。入浴が趣味であるならば長風呂をしてもよい(ただし湯冷めには注意)。好きな音楽を聴きたければ聴けばよいし、世の中には音楽を聴きながらのほうがリラックスして集中できるという人だっている。
自分のなかで節度をもって、制限する部分としない部分とのメリハリをつけておくことが大切である。
保護者側としては、子どもが遊んでいるようにみえても頭ごなしには叱らないことだ。
本人の話を聞いたうえで、しっかりとその日すべき勉強をこなしてから節度をもって娯楽に親しんでいるならば、そこは本人の意思を尊重すべきである。
そのためには、ふだんから制限する部分のラインを本人と一緒に話し合って確認しておくとよいだろう。