真霊論-よい睡眠のために(3)~自己暗示からつくる豊かな人生

よい睡眠のために(3)~自己暗示からつくる豊かな人生

よい暮らしはよい睡眠とともにある。
前回までの記事では、睡眠が効果的なスピリチュアル・ヒーリングであることや、自己暗示をするための絶好のチャンスであることなどを解説してきた。
・よい睡眠のために(1) ~睡眠を見直してよい暮らしを
・よい睡眠のために(2) ~睡眠時間をより価値あるものに
生きていくうえで必要不可欠なものだからこそ、睡眠との向き合いかたを見直すことに価値がある。
睡眠のクオリティは人生のクオリティに等しいのである。
今回は前回の内容を受け、自己暗示のための具体的な方法を紹介していきたい。
自己暗示とは、想像力という翼で自由になること
よりよい睡眠のためには環境づくりが大事だとこれまでに書いたきた。
自己暗示の際においても、これは同様である。心身がリラックスできる状態をつくりだすことがベストである。
自己暗示は、自分自身の想像力との戦いなのだ。理性が想像力に勝ってしまうようではむずかしい。
理性に邪魔されないためにこそ、眠る直前という最も脳が自由な状態を利用するのである。よりよく眠れる環境が自己暗示に最適であることはうなずけるだろう。
環境づくりの一環としては、前々回も書いたが、寝具にこだわることが最も容易である。
ただし、使い慣れていない寝具では寝付きにくいということもありうる。自己暗示をしたいときには、ふだんから慣れ親しんだ環境であることもプラスにはたらくので、そのあたりは各々がよく考えて判断してほしい。
好きな音楽やアロマなどで環境づくりをするのもよいだろう。だが、主張の強すぎるものは避けるようにしたい。
自己暗示は自分との対話である。よけいな外的情報が多すぎると、それに影響されてしまうだろう。外界での情報が夢に出てくるという事例は多い。
一方で、だからこそ反対に、この影響力を利用する手もある。これから自分がかけようとする自己暗示と関連しているものを選ぶのである。
準備ができたら、いよいよ具体的な方法に入りたい。
(1)全身から力を抜く – 肉体を自由に
リラックスのためには姿勢も重要である。
自己暗示をしようというケースでは、心身によけいな力を加えないことが求められる。これは、スピリチュアル的な儀式においては共通のことである。
ベッドに入ったらまず、力を抜いて大の字になろう。大の字といっても、大きく両手両足を広げる必要はない。それぞれが触れあわない程度に広げればよい。
このとき、手足が家具などがぶつからないことが望ましい。外部からの無関係な刺激は極力シャットアウトするのである。
姿勢がつくれたら、深呼吸をゆっくりと何度かする。これは、すべての力を抜いて背中を床面にぴたりとつけるためである。
わずかでも力が入っていると、背骨の構造上、どうしても腰のあたりと床面には隙間が生じてしまうのだ。これでは、わずかながら肉体に負担をかけてしまう。些細な点だと思われるかもしれないが、心身への負担が少なければ少ないほどよい。
ただ、慣れないうちはなかなか隙間をなくすことはむずかしいかもしれない。その場合は、膝を軽く立てるとよい。そうすると自然と背中がつくはずだ。また、深呼吸の際だけ両手を腹のうえに置くことも、力を抜くことにつながるのでおすすめだ。
それでもどうしてもこの姿勢がつくれない場合は、やわらかいタオルケットやバスタオルなどを体の下に敷くとよい。
力が抜けたら目をつぶろう。目をつぶることは、それだけで体に対して「リラックスしろ」というサインを送ることになるのだ。
(2)現実との境界線をなくす – 精神を自由に
肉体を自由にしたあとは、精神を自由にしよう。
自分の体の先端がどこまでも伸びていくようなイメージをするのである。両手と両足と頭が、そのまま延長線上にまっすぐと伸びるイメージだ。家具や壁の存在は忘れてしまおう。そういった概念すら消して、なにに遮られることもなく、体を広げていく。
やがて地平線の果てまで全身が広がる様子がイメージできれば、そのとき、体は宙に浮いているかのような感覚になっているはずである。
体が宙に浮いたら、今度はどんどん高度を上げてゆくのである。やはり天井も存在しない。上昇をつづけるうち、自分の家が小さく見えるようになるだろう。やがて住んでいる街も小さくなり、日本列島もはるか遠くなり、ついには青い地球を見下ろすイメージがもてるはずだ。
最後には、なにもない空間に漂っているような感覚になる。
上下も左右もなくなり、すべての現実的な枷から解き放たれた状態である。
このとき、あるのは自分自身のみだ。自分と世界がひとつになるような状態を想像できるとよい。
もとより世界とは、自分の心のことなのである。生まれるまえの世界も、死んだあとの世界も、けっして覗き見ることはできない。自分が世界そのものなのだと捉えることは、自己暗示をするうえで重要な感覚だ。
向いている人ならば、はじめての挑戦でこの境地に達することができるかもしれない。だが、多くの人は、いきなり最初からここまでのイメージをもつことはむずかしいかと思われる。
だが、それはなにも、精神の優劣に起因するものではない。単に、日ごろから現実世界のしがらみにがんじ絡めになっているというだけのことである。
練習を重ねることで、誰しもこのイメージに到達できるはずである。人間の脳にはそれだけの能力が備わっているのだ。
(3)想像力を羽ばたかせる – 脳を自由に
ここまでいけば、あとは最終段階である。
自己暗示をあたえることの基本は、自分をコントロールすることにある。
まずは、そのなかでも最もコントロールしやすい、肉体の末端に焦点を合わせてみたい。
手足が重くなったり軽くなったりするイメージをしみてほしい。
心身が自由になったあとならば、このイメージは比較的簡単にできるはずだ。重りをつけられて足が沈んでいくようなイメージや、見えないなにかに手が持ち上げられるといったイメージをすると、実際にそう感じやすい。
それができたら、次は温かくなったり冷たくなったりするイメージをしてみよう。
こちらも難なくできることが多い。
これに慣れてきたら、手足の一本ずつそれぞれに別のイメージをあたえてみる。たとえば右手と右足は重くなって、左手と左足は軽くなるというようなイメージである。
これが達成できたなら、基礎はもう身についたといってよい。
次第に、自分の意志ではコントロールしづらい部分に暗示の対象を変えていこう。たとえば耳や髪の毛であったり、内臓であったりだ。
自己暗示が上手になれば、少々の肩凝りや胃の痛みなどは睡眠時のこうした想像で解消できるようにもなる。
そして、自分の体のコントロールがある程度できるようになったら、次第に、コントロールの対象を外的なベクトルへと向けていけばよいのである。
世界を自分の意志でつくりかえてしまうようなイメージをもとう。
睡眠から豊かさの好循環をつくる
もちろん、自己暗示をかけたからといって、それがすべて達成されるわけではない。
たとえば空を飛んでみたり急に身長が伸びたりといった、物理法則に反したことは不可能である。
だが、暗示によってエネルギーの流れに作用することはたしかである。
ポジティブな気を自分がもっていれば、それは周囲に伝わることになる。結果的に、自分が目標を達成するために必要な環境が生まれやすくなることは間違いない。
そして、強い自己暗示にかかっていれば、その環境を味方につけることもしやすいはずだ。
「達成できる」と強く信じることは、よりいっそうの努力を導くし、前向きな心は心身にもよい影響をあたえるため、確実に潜在能力を引き出してくれるだろう。
よい睡眠は生活をよくすると繰り返し述べてきたが、それは逆も真なのである。
よい生活をおくれば、快適な睡眠をとることだってできるだろう。
こうした好循環は、人生を豊かなものにしてくれる。
隠された自分の可能性をいまいちど見直してみたいものである。